エンジェル税制は免罪符ではない
「エンジェル税制を使った投資だった」
この一言を聞くと、行政が認めた安全な制度であり、その制度を使って行われた資金調達も当然に適法だったような印象を受けるかもしれません。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。
エンジェル税制とは、一定のスタートアップ企業へ投資した個人投資家に税制上の優遇を設ける制度です。投資そのものについて、元本保証を認める制度でも、勧誘内容の適法性を国が保証する制度でもありません。
むしろ国税庁は、エンジェル税制の対象株式について、売却によって損失が生じた場合や、投資先企業の破産などによって株式そのものが価値を失った場合の特例まで設けています。
つまり、本来のエンジェル投資には、投資したお金が戻らないリスクがあります。
では、その株式投資について、実際の勧誘では「結局お金は戻る」「損はしない」「別の形で回収できる」などと説明されていたとしたらどうなるのでしょうか。
さらに、その投資判断を促すため、行政機関への照会結果、公認会計士という専門家の肩書き、上場会社の経営陣という信用まで組み合わされていたとしたら。
そこで初めて見えてくるのが、「出資詐欺」と出資法違反という、税法とは全く別の二つの問題です。
「出資詐欺」という独立した罪名があるわけではありません
最初に法律関係を整理します。
一般に「出資詐欺」と呼ばれる行為は、多くの場合、刑法246条の詐欺罪として検討されます。
典型的には、投資判断にとって重要な事実について虚偽の説明を行い、その説明を信じた投資家が錯誤に陥り、その結果として金銭を交付した、という構造です。
したがって、単に投資先企業の業績が悪化した、株価が下がった、事業計画が失敗したというだけでは、当然に詐欺になるわけではありません。
問題になるのは、投資を受ける時点で何が説明されていたのかです。
実際には存在しない事業を存在すると説明した。実際には返済能力がないのに確実に戻ると説明した。行政機関が個別案件を承認していないのに「国が認めている」と説明した。専門家が検証していないのに「公認会計士のお墨付き」と説明した。
こうした重要な虚偽が投資判断を生み、資金交付につながったのであれば、刑法上の詐欺の問題が浮上します。
そして出資法は、詐欺とは別の方向から資金募集を規制しています
出資法1条は、何人であっても、不特定かつ多数の者に対し、後日、出資金の全額またはそれを超える金額を払い戻すことを明示又は暗黙に示して、出資金を受け入れることを禁止しています。
ここが非常に重要です。
詐欺罪と出資法1条は、同じものではありません。
例えば、本当に会社が存在し、本当に事業を行い、本当に株式も発行されていたとしても、勧誘時に「投資額は全部戻る」と不特定多数へ約束しながら資金を集めていたのであれば、出資法の問題は別途残ります。
逆に、明確な元本返還の約束がなかったとしても、「国がこの案件を個別に承認している」「この会社には確実な資産がある」など重要事項について虚偽を述べて資金を出させたのであれば、詐欺罪が問題となり得ます。
そして、虚偽説明と元本返還の約束が両方存在したのであれば、詐欺罪と出資法の双方から検討される余地が生じます。
エンジェル税制という名前を付ければ、元本保証が消えるわけではありません
本件で最も重要なのは、「エンジェル税制を利用した株式取得だった」という形式だけを見ないことです。
本当の株式投資なら、投資家は会社の成長によって利益を得る反面、株式の価値が下落し、最悪の場合には投資額を失うリスクを負います。
ところが、株式取得という形式を取りながら、実際には別の契約、買戻し、コンサルティング報酬、第三者からの返金その他の方法によって、最初から出資額を回収できる仕組みが示されていたとすれば、外形と実態がずれてきます。
特に確認すべきなのは、「元本保証」という四文字が契約書に書かれているかだけではありません。
出資法1条は、全額以上を払い戻すことを「暗黙のうちに示す」場合も対象としています。
「結局は全部戻ります」
「株を買ってもらう形だけど、お金は後から回収できます」
「税メリットだけ取って、元のお金は戻る仕組みです」
「別の契約で同額を戻します」
こうした趣旨の説明が投資前に行われていたのかどうかが、極めて重要になります。
中野爵喜氏の「中野メモ」は、安心材料だったのか、それとも欺罔の道具だったのか
ラストワンマイル労働組合が把握している情報では、中野爵喜氏は、行政機関への問い合わせや回答を整理した、いわゆる「中野メモ」を周囲へ示し、エンジェル税制を利用する仕組みの適法性を説明していたとされています。
行政へ問い合わせること自体には、何の問題もありません。
むしろ、複雑な税制について事前に確認し、その回答を正確に投資家へ伝えていたのであれば、それは中野爵喜氏に有利な事情にもなり得ます。
問題は、行政へ実際に何を質問し、行政が何について回答し、その回答を投資家へどのように説明したかです。
例えば、行政が一般論として「一定の要件を満たせばエンジェル税制を利用できます」と回答しただけなのに、投資家へ「このスキームは行政が確認済みです」「この資金の戻し方まで国が認めています」と説明していたのであれば、話は全く違います。
行政回答の一部だけを切り取り、実際の取引条件を行政へ知らせないまま、あたかも個別取引全体について公的なお墨付きが出たかのように利用していたのであれば、そのメモ自体が投資家を誤信させる材料となった可能性があります。
逆に、中野メモに原文どおりの質問と回答が掲載され、実際の取引条件も全て行政へ伝えられていたのであれば、それも明らかにすればよいのです。
必要なのは「中野メモ」だけではありません。
行政へ実際に送った問い合わせ原文、添付資料、行政側の回答原文、回答日時、担当部署、そして投資家へ配布した説明資料を横に並べることです。
それだけで、「行政確認」が本当に安心材料だったのか、それとも信用を作るために加工された材料だったのかは、かなり見えてきます。
齊藤悟志氏の存在は、一般の営業担当者とは重みが違います
もう一人、投資家の信用形成という観点で極めて重要なのが齊藤悟志氏です。
齊藤悟志氏は、公開されている経歴上、公認会計士であり、2020年8月には株式会社ラストワンマイルの経営企画室長へ就任しています。
当組合へ寄せられた情報では、齊藤悟志氏について、自ら制度を先行利用し、他の投資家へ説明し、営業や紹介に関与し、投資資金の送金時にもフォローしたとする資料や証言があり、いわゆる馬見塚メモにも記載されています。
これらが事実であるならば、単なる知人の紹介とは意味が違います。
税務や会計に詳しくない一般の投資家が、公認会計士から「問題ない」と説明されれば、その専門性を信頼するのは自然です。
しかも、公認会計士が自分自身も同じ制度を利用していると説明したなら、「専門家本人も利用しているのだから大丈夫なのだろう」という極めて強い信用補強になります。
そのため、齊藤悟志氏について確認すべきなのは、単に誰を紹介したかではありません。
何を説明したのか。
元本返還の可能性を知っていたのか。
行政回答の範囲を正確に理解していたのか。
投資家へ「公認会計士として」の専門的判断を示したのか。
そして、その説明によって投資家が金銭を交付したのかです。
公認会計士の肩書きを信用補強に使っていたなら、職業倫理の問題も避けられません
日本公認会計士協会は、公認会計士について、常に品位を保持し、公正かつ誠実に業務を行うことが求められ、信用を失墜させる行為も禁止されると説明しています。
日本公認会計士協会による公認会計士の法令・倫理遵守に関する説明を読む
したがって、仮に齊藤悟志氏が、投資の実態や元本回収の仕組みについて問題を認識しながら、公認会計士としての信用を利用して投資家へ安全性を説明していたのであれば、刑事責任とは別に、公認会計士としての職業倫理や信用失墜行為の問題まで検討されます。
もちろん、公認会計士であるというだけで、投資案件の結果について責任を負うわけではありません。
しかし、「公認会計士だから信用された」という事実と、「その公認会計士自身が資金募集へ積極的に関与した」という事実が重なれば、その専門資格が投資家の意思決定へどのような影響を与えたのかは無視できません。
そして最も上流に渡辺誠氏がいたという情報は本当なのか
ここで、渡辺誠氏の問題です。
渡辺誠氏は現在、株式会社ラストワンマイルの代表取締役会長兼CEOです。
当組合へ寄せられている情報では、中野爵喜氏と齊藤悟志氏による一連の業務、営業、資金調達について、渡辺誠氏が実質的な指示又はマネジメントを行っていたのではないかとの疑義が示されています。
この点は、現時点で裁判所によって認定された事実ではありません。
また、渡辺誠氏がラストワンマイルの代表者であったという事実だけで、中野爵喜氏や齊藤悟志氏のあらゆる行為について刑事責任を負うものでもありません。
しかし、もし資金募集の開始前から、渡辺誠氏が制度設計、営業方法、投資家への説明、元本回収方法、出口戦略を具体的に指示していたのであれば、評価は一変します。
共同正犯、教唆、幇助はそれぞれ別の概念です
ここは法律上、正確に分ける必要があります。
刑法60条は、二人以上が共同して犯罪を実行した場合の共同正犯を定めています。
刑法61条は、他人に犯罪を決意させ実行させた場合の教唆、62条は犯罪実行を助けた場合の幇助を規定しています。
渡辺誠氏がどの程度関与していたかによって、共同正犯なのか、教唆なのか、幇助なのか、それとも刑事責任を問えるほどの関与はないのかが変わります。
例えば、三人で事前に資金募集の目的と方法を共有し、渡辺誠氏が全体を統括し、中野爵喜氏が行政回答を使って説明し、齊藤悟志氏が公認会計士として信用を補強し、それぞれが役割を分担して投資家から資金を得ていたと立証されれば、共同正犯が問題となる余地があります。
渡辺誠氏自身は投資家へ直接説明していなくても、「この方法で資金を集めろ」「この説明をしろ」と犯罪実行を決意させたのであれば、教唆の問題になります。
既に他の二人が実行を決めている中で、顧客リスト、営業網、会社設備、説明資料、資金回収の仕組みなどを提供したのであれば、幇助の問題が検討されます。
つまり、投資家の前に誰が座っていたかだけを見ても、全体像は分かりません。
誰が後ろで設計し、誰が指示し、誰が実行したのかを見る必要があります。
「M&Aが得意」という話が、本件で意味を持つとしたら
渡辺誠氏については、自らM&Aや企業経営に関する能力を強く語ってきたとの情報も、当組合へ寄せられています。
M&Aに詳しいこと自体には、当然何の問題もありません。
PLを足し算して業績を積み上げること自体も、問題はありません。
問題となるのは、その知識が本件の「出口」を作るために使われていた場合です。
例えば、投資家へ株式を取得させた後、別会社への売却、事業譲渡、株式買戻し、会社間取引その他の方法によって、最終的に投資額を回収させる設計を事前に行っていたのであれば、その出口設計は出資法上の元本返還問題ともつながります。
また、「M&Aで最終的に回収できる」「上場会社の経営者が後ろにいる」「事業の出口まで設計されている」といった説明が、投資家の安心材料として利用されていたのであれば、その説明内容も重要です。
本当に合理的な事業計画としてM&Aを目指していただけなのか。
それとも、株式投資という外形を保ちながら、最初から出資金を戻すための仕組みとしてM&Aその他の取引を予定していたのか。
この違いは大きいものです。
上場会社代表という肩書きが使われていたなら、さらに慎重な検証が必要です
渡辺誠氏が上場会社の代表者であるという事実そのものは、当然、違法ではありません。
しかし、その肩書きが個人的な資金募集の信用補強に利用されていたのであれば別です。
「上場企業の経営者が関与しているから安心です」
「渡辺誠氏が後ろで見ています」
「ラストワンマイルの経営陣が関与している案件です」
このような説明が実際に投資家へ行われていたのか。
さらに重要なのは、渡辺誠氏本人が、そのような信用利用を認識し、了承又は指示していたのかです。
真実の肩書きを名乗っただけで詐欺になるわけではありません。
しかし、会社が関与していないにもかかわらず、上場会社が支援又は保証しているかのような誤解を投資家へ与え、その信用によって金銭を交付させたのであれば、その肩書きの利用方法は欺罔行為の評価に関わります。
上場会社代表という社会的信用が利用されていたのであれば、一般の無名な勧誘者による投資話より、投資家が信用してしまう力ははるかに強くなります。
民事ではラストワンマイル自身の責任も別途検討されます
刑事責任とは別に、民事上は株式会社ラストワンマイル自身の責任も検討する必要があります。
民法715条は、被用者が事業の執行について第三者へ損害を与えた場合の使用者責任を定めています。
したがって、齊藤悟志氏その他の関係者が、ラストワンマイルの業務として、又は外形上その業務と密接に関連する形で投資営業を行っていたのであれば、会社の使用者責任が問題となる余地があります。
一方、中野爵喜氏について、当時ラストワンマイルとの間にどのような雇用、委任、業務委託又は事実上の指揮監督関係が存在したのかは、別途確認が必要です。
単に渡辺誠氏の知人だったというだけでは、民法715条の使用者責任までは導けません。
ただし、複数人が共同して不法行為を行った場合には民法719条の共同不法行為があり、教唆や幇助をした者も民事上、共同不法行為者として扱われ得ます。
つまり、会社の使用者責任だけでなく、三人それぞれの共同不法行為責任という別のルートも検討されることになります。
会社のメール、顧客、会議室、肩書きが使われていたか
ラストワンマイルの責任を考える上で必要なのは、抽象的な人間関係ではありません。
実際に何が使われたかです。
投資家との連絡にラストワンマイルのメールアドレスや電話が使用されていなかったか。会社の会議室で説明をしていなかったか。会社の取引先や従業員を勧誘対象としていなかったか。
会社の顧客情報、営業網、従業員、経費、交通費、資料作成環境が利用されていなかったか。
そして何より、集めた資金又はその資金から生じた利益が、ラストワンマイル、渡辺誠氏又はその関係先へ流れていなかったか。
ここまで確認して初めて、「個人的な投資話だった」のか、「会社の信用や営業基盤を使った事業だった」のかを区別できます。
三人がそれぞれ別の信用装置を担当していた可能性
仮に、当組合へ寄せられている情報が客観的証拠によって裏付けられた場合、本件には極めて特徴的な役割分担が見えてきます。
中野爵喜氏は、行政照会と「中野メモ」によって、公的機関が確認しているという安心感を作る。
齊藤悟志氏は、公認会計士という専門資格と自らも利用したという経験によって、専門家が安全性を確認しているという安心感を作る。
渡辺誠氏は、会社経営やM&Aの能力、そしてラストワンマイルの代表者としての社会的信用によって、事業としての実現性や出口に対する安心感を作る。
行政。
専門家。
上場会社経営者。
この三つの信用が一つの投資勧誘に重ねられていたのであれば、一般の投資家にとって極めて強い説得材料になります。
そして、その信用の土台となる説明に重要な虚偽が含まれていたのであれば、単なる投資判断の失敗という説明では済みません。
一番重要なのは「投資前に何を言ったか」です
現在、金本重徳氏への取調べなどでは、「元本が戻ると思っていたのではないか」という点が問題にされているとの情報があります。
しかし、投資家側へ「元本が戻ると思っていたのか」と聞くだけでは、捜査は半分です。
その認識を誰が作ったのかを確認しなければなりません。
金本重徳氏その他の投資家が、自分たちだけで突然「お金は全額戻る」と思い込んだのでしょうか。
それとも、中野爵喜氏、齊藤悟志氏その他の勧誘側から、そのように理解させる説明が行われたのでしょうか。
さらに、その説明の元になる資金回収の設計を、別の人物が作っていたのでしょうか。
ここを確認するために最も価値があるのは、逮捕後の現在の感想ではありません。
出資前のLINE、メール、Telegram、説明会録音、投資資料、Excel、契約書、サイドレター、買戻しに関する通信です。
捜査機関が検索すべき言葉は極めて単純です
関係者の端末やクラウドデータが適法に保全されているのであれば、まず次の言葉を検索すべきです。
- 元本
- 返金
- 返還
- 戻る
- 保証
- 買戻し
- 回収
- エンジェル
- 税メリット
- M&A
- 出口
- 行政確認
- 公認会計士
誰が、投資前に、誰へ、どのような文章を送っていたのか。
その通信と実際の送金日を時系列で並べれば、「後から投資家が勝手に勘違いした」のか、「勧誘側が元本回収を示していた」のかは相当程度明らかになります。
詐欺罪と出資法を分けて考えると、事件の見え方が変わります
本件については、四つの可能性を区別する必要があります。
一つ目は、本当にリスクのあるエンジェル投資であり、行政回答も説明も正確で、元本返還の約束もなく、結果的に問題が起きただけという場合です。この場合、少なくとも今回論じている詐欺罪や出資法1条とは距離があります。
二つ目は、元本保証はしていないものの、行政の承認、事業実態、資金用途、専門家の確認などについて重要な虚偽を述べて投資させた場合です。この場合には詐欺罪の問題が中心になります。
三つ目は、事業自体や行政説明に虚偽はなくても、不特定かつ多数の投資家へ出資金全額以上を戻すことを明示又は暗示して資金を集めていた場合です。この場合には出資法1条が中心的な論点になります。
そして四つ目が、重要事項について虚偽を述べながら、同時に元本回収も約束していた場合です。
この場合には、詐欺罪と出資法の双方について捜査する必要が生じます。
ラストワンマイル、渡辺誠氏、中野爵喜氏、齊藤悟志氏への公開質問
- エンジェル税制を利用した一連の投資について、制度設計、営業方法、説明資料及び資金回収方法を最初に企画した人物は誰ですか。
- 投資家へ、出資金の全部又はこれに近い金額が後日戻る、回収できる、買い戻されるなどの説明を、明示又は暗黙に行いましたか。
- 「中野メモ」に記載された行政照会について、行政へ実際に提出した質問全文と回答原文を開示し、投資家へ説明した内容との一致を確認できますか。
- 齊藤悟志氏は、公認会計士として投資家へ適法性、安全性、税務処理又は元本回収についてどのような説明を行い、その営業又は資金調達から報酬を受けましたか。
- 渡辺誠氏は、投資募集開始前又は募集期間中、中野爵喜氏又は齊藤悟志氏へ営業方法、資金調達、M&A、株式の出口、返金又は買戻しについて指示・助言を行いましたか。
- 投資勧誘の際、株式会社ラストワンマイルの社名、渡辺誠氏又は齊藤悟志氏の役職、会社メール、事務所、従業員、取引先その他の会社資源が使用されましたか。
- 投資家から集められた資金について、最終的に中野爵喜氏、齊藤悟志氏、渡辺誠氏、株式会社ラストワンマイル又はそれぞれの関係法人へ移動した金額を開示できますか。
- 株式会社ラストワンマイルの取締役会及び監査等委員会は、今回の出資法、詐欺、使用者責任及び共同不法行為の可能性について、渡辺誠氏の影響を排除した独立調査を実施しますか。
投資家を追及するなら、その認識を作った人物も調べてください
現在の捜査が、投資家に対して「元本が戻ると思っていたのではないか」と追及しているのであれば、捜査機関自身が極めて重要な論点を提示しています。
元本が戻る認識が犯罪性を判断するほど重要なのであれば、当然、その認識を誰が投資家へ与えたのかを調べなければなりません。
投資家だけを取り調べ、「戻ると思っていました」と言わせれば事件が完成するわけではありません。
その一言の前に、誰が何を説明したのか。
中野爵喜氏の行政照会。
齊藤悟志氏の公認会計士としての説明。
そして、渡辺誠氏による指示、マネジメント、出口設計が本当に存在したのか。
そこまで遡って初めて、資金募集の全体像が見えます。
三人の役割が本当に一本につながるなら、これは「投資が失敗した」で終わる話ではありません
エンジェル税制は免罪符ではありません。
行政へ問い合わせをしたという事実も、公認会計士が関与したという事実も、上場会社の経営者が関係しているという事実も、それだけで個別の資金募集を適法にするものではありません。
むしろ、その三つの信用が投資家を安心させるために組み合わされていたのであれば、誰が何を説明したのかを、通常の投資案件以上に厳密に確認する必要があります。
中野爵喜氏が「行政が確認している」という信用を作る。
齊藤悟志氏が「公認会計士が確認している」という信用を重ねる。
そして渡辺誠氏が、経営者としての立場、M&Aやマネジメント能力、上場会社代表という社会的信用を背景として全体を統括していた。
もし客観的証拠によってそこまで一本につながるのであれば、これは三人が偶然同じ投資案件の周辺にいたという話ではなくなります。
共同して資金を集めたのか。
誰かが他の二人へ指示したのか。
会社の信用と設備が利用されたのか。
そして何より、投資家に対して本当は何を約束していたのか。
その答えによって、刑法246条の詐欺、出資法1条、刑法60条以下の共犯、民法715条の使用者責任、719条の共同不法行為、公認会計士としての職業倫理という複数の問題が、一つの資金募集を中心として交差する可能性があります。
ラストワンマイル労働組合は、先に三人を犯罪者と決め、その結論に合わせて証拠を集めるつもりはありません。
それは、私たちが国税や検察へ繰り返し批判している「見立てありき」の捜査そのものだからです。
だからこそ、逆に簡単です。
投資前の通信、行政照会の原文、投資説明資料、銀行送金、株主名簿、買戻しや返金に関する記録、三人の通信、ラストワンマイル社内のメールと会議記録を保全し、時系列で並べてください。
本当のエンジェル投資だったのであれば、その記録が三人を守ります。
反対に、エンジェル税制という看板の裏側で、行政、公認会計士、上場会社経営者という三つの信用を使いながら、元本回収を示し、不特定多数から資金を集めていたのであれば、その記録が何を意味するのかは、改めて説明するまでもありません。
