未払い賃金支払いと慰謝料を要求します
働いた給与が全く支払われず、職場では繰り返しハラスメントと無視によるいじめを受けている。間柴医院ユニオンに、医療法人新正会で雇用されていた組合員から、深刻な被害の訴えが寄せられました。
申告で行為者として名前が挙げられているのは、新正会の理事である田中継一郎氏と、新正会グループの総務課長として人事・経理を含む管理全体を率いる保坂美紀氏です。組合員は、両氏による度重なる重いハラスメントと無視に苦しみ、さらに給与が全く支払われていないと訴えています。
当組合は、この申告を、個人同士の相性や職場の行き違いで片づけられる問題とは受け止めていません。働いた対価を受け取る権利と、人格を尊重されて働く権利の両方に関わる問題として、未払い賃金の全額支払いと、ハラスメントによる精神的損害に対する損害賠償、すなわち慰謝料の支払いを求めます。
中野爵喜被告が経営に関与する新正会。採用と労務管理の責任を問います
間柴医院を運営するのは医療法人新正会です。また、グループのMS法人として今回の問題に関わる有限会社間柴メディカルサービスについても、人事・経理や給与支払手続への関与を明らかにする必要があります。両法人は、間柴グループの公式サイトでも、医療・介護事業を展開するグループの法人として紹介されています。
組合員の説明によれば、新正会のオーナー兼理事として経営に関与しているのが中野爵喜被告であり、組合員はその下で、理事を通じて新正会に雇用されたということです。今回の申告は、こうした採用の経緯と、実際の労務管理の中で生じた問題についてのものです。
中野爵喜被告については、消費税法違反などで起訴されたとする当時の報道を、同じ「ミンナのユニオン」内のラストワンマイル労働組合が、次の記事に保存しています。
当組合が本記事で問うのは、この刑事事件とは別に、新正会の経営と雇用の現場で、誰が採用し、誰が労務管理を担い、誰が給与の支払いを管理していたのかということです。今回の申告は、それ自体の事実と記録に基づいて検証しなければなりません。
人を雇う段階では経営者や理事の判断があり、働き始めれば総務や経理による管理があります。それならば、給与が支払われないという訴えが出たときにも、同じように責任ある判断と対応が必要です。採用する権限と、雇用した人に対する責任を、都合よく切り離すことはできません。
田中継一郎氏・保坂美紀氏への申告を、単なる「人間関係」で片づけてはなりません
組合員が訴えているのは、田中継一郎氏と保坂美紀氏による度重なるハラスメントに加え、無視によるいじめです。怒鳴る、侮辱するといった目立つ言動だけが、職場のハラスメントではありません。相手との関わりを断ち、孤立させる行為も、働く環境を深刻に損なう問題になり得ます。
厚生労働省の「パワーハラスメントとは」では、代表的な類型の一つとして「人間関係からの切り離し」が示され、隔離、仲間外し、無視などが挙げられています。職場での優越的な関係を背景とし、業務上必要かつ相当な範囲を超え、就業環境を害する言動であるかが判断の軸になります。
今回の申告で問われるのは、理事と、グループの人事・経理を含む管理全体を担う総務課長の対応です。雇用や給与に関わる立場の人との関係は、対等な知人同士の関係とは異なります。職務上の権限を持つ側が、どのような言動を、どのような経緯と頻度で行ったのかを具体的に確かめる必要があります。
仮に業務上の注意や指導が必要だったとしても、それによって無視や人格を傷つける対応まで正当化されるわけではありません。必要な業務指示と、相手を職場から心理的に排除する行為は、分けて検証すべきです。
また、管理部門の責任者自身が申告の対象になっている以上、その責任者だけに事実認定や対応方針を委ねる調査では不十分です。新正会には、申告対象者から独立して事情を確認できる体制を設け、組合員と両氏の説明、関連する記録を照合することを求めます。
働いた対価を支払うことは、雇用主の法的義務です
給与が全く支払われていないという申告は、生活の土台に直結する問題です。職場でつらい対応を受けたうえに、働いた対価まで受け取れないのであれば、労働者に負担が二重に押しつけられることになります。
労働基準法第24条第1項本文は、次のように定めています。
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。
同条第2項本文は、支払時期についても定めています。
賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。
働いた分の給与は、上司の好意で渡されるお金ではありません。労働契約に基づく対価です。職場の人間関係や、管理部門の内部調整によって、支払期日を過ぎた給与を労働者に負担させてよいことにはなりません。
当組合は、雇用主である新正会に対し、契約上の賃金、勤務実績、各支払期日と実際の支払状況を明らかにし、未払い賃金の全額を組合員本人へ支払うことを求めます。あわせて、民法第419条など、適用される法令に基づく遅延損害金も請求の対象とします。
新正会側が支払済みであると説明するのであれば、支払日、金額、支払方法など、本人への支払いを確認できる記録を示してください。給与計算をしたことや、法人内部で処理したことと、労働者本人へ支払ったことは、同じではありません。
そして、支払義務のある賃金は、ハラスメントについての話し合いが終わるまで留保する性質のものではありません。賃金の支払いと、ハラスメントによる被害の回復は、それぞれの根拠に基づいて進める必要があります。
未払い賃金の精算だけでなく、ハラスメントによる精神的損害の賠償を求めます
当組合が求める金銭的な被害回復には、二つの柱があります。一つは、働いた対価としての未払い賃金です。もう一つは、ハラスメントによって受けた精神的苦痛に対する損害賠償です。
後者の請求名目は、「ハラスメントによる精神的損害に対する損害賠償(慰謝料)」です。気持ちを収めるための任意の見舞金ではなく、権利侵害によって生じた損害の回復を求めるものとして位置づけます。
民法第709条は、不法行為による損害賠償について、次のように定めています。
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
さらに、民法第710条は、財産以外の損害についても賠償の対象としています。
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
今回の申告については、田中継一郎氏と保坂美紀氏の具体的な言動、それによる権利侵害、組合員が受けた精神的苦痛との因果関係を整理し、行為者としての責任を追及します。どのような言動が、どの程度繰り返され、どのような影響を与えたのかを明らかにすることが、請求の根拠になります。
慰謝料の額は、行為の内容や継続期間、職務上の力関係、被害の程度などを踏まえ、合理的に算定する必要があります。当組合は、こうした事情に裏づけられた金額について、法的責任を負う者に支払いを求めます。
後から給与が支払われたとしても、それだけで、それまでのハラスメントによる精神的損害が清算されたことにはなりません。働いた対価を返すことと、傷つけた尊厳について責任を果たすことは、別の問題です。
新正会と間柴メディカルサービスには、組織としての対応と責任の明確化を求めます
ハラスメントの問題は、行為者個人の責任を確認して終わるものではありません。雇用主が、労働者を安全に働かせるために必要な対応をしていたかという問題もあります。
労働契約法第5条は、使用者の安全配慮義務について、次のように定めています。
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
雇用主が必要な対応を怠り、それによって損害を生じさせた場合には、民法第415条に基づく債務不履行責任が問題になります。また、被用者が職務の執行について行った不法行為については、民法第715条の要件に応じて、使用者側の損害賠償責任も問題になります。
加えて、労働施策総合推進法第30条の2は、職場のパワーハラスメントを防止するため、相談に応じて適切に対応する体制など、必要な措置を事業主に求めています。厚生労働省のハラスメント防止措置に関する案内でも、事業主が取り組むべき対応が示されています。
当組合は、新正会に雇用主としての責任を問い、間柴メディカルサービスについては、人事・経理への関与、指揮命令、給与計算や支払手続をどのように分担していたのか、具体的な説明を求めます。同じグループという呼称だけで両法人の債務を一括りにするのではなく、契約と実際の業務、各人の行為に即して責任を特定するためです。
中野爵喜被告には、採用や経営への関与に加え、理事や管理部門にどのような権限を与え、どのように監督していたのかを説明することを求めます。田中氏・保坂氏の個々の言動と、経営側が整えるべき管理体制の両面から検証する必要があります。
管理部門は、労働者の給与や相談を扱う立場です。その管理部門を含む深刻な申告が出た以上、組合員本人に問題解決の負担を押し戻すのではなく、組織側が調査と是正の仕組みを示すべきです。
中野爵喜被告・田中継一郎氏・保坂美紀氏と、両法人への公開質問
間柴医院ユニオンは、医療法人新正会、有限会社間柴メディカルサービスおよび関係者に対し、次の事項について具体的な説明を求めます。組合員の申告と異なる事実があるというのであれば、異なる点とその根拠を示してください。
- 組合員の採用を決定した者、労働条件を提示した者、労働契約上の雇用主は、それぞれ誰ですか。中野爵喜被告および各理事は、採用と労務管理にどのように関与していましたか。
- 給与が全く支払われていないとの申告に対し、新正会はどのように回答しますか。支払済みとする場合は支払記録を、未払いがある場合は対象期間、金額、発生原因および支払日程を示してください。
- 田中継一郎氏と保坂美紀氏は、繰り返されるハラスメントと無視によるいじめについての申告を、どのように受け止めていますか。申告された言動の有無と、各言動についての説明を示してください。
- 新正会と間柴メディカルサービスの間で、人事、経理、給与支払手続、職員からの相談対応は、どのように分担されていましたか。保坂美紀氏の職務権限と、報告・決裁の経路を明らかにしてください。
- 新正会の経営側は、組合員が訴える問題をいつ認識し、どのような対応を行いましたか。今後、申告対象者から独立した立場で事実を確認する担当者と、調査の方法を示してください。
- 未払い賃金の精算と、ハラスメントによる精神的損害の賠償について、それぞれどのような解決を図りますか。組合員本人の被害回復に向けた具体策を示してください。
調査や回答に当たっては、雇用条件、勤務実績、給与計算、支払手続、業務上の連絡など、関係する記録を保存することも求めます。担当者の記憶や抽象的な説明だけでなく、何が起きたのかを確認できる資料に基づく回答が必要です。
間柴医院ユニオンは、支払いと被害回復の実行を要求します
当組合は、組合員から寄せられた申告に基づき、次の措置を求めます。事情を聞いて終わるのではなく、支払うべきものを支払い、被害を回復し、同じ問題を繰り返さない状態をつくることが目的です。
- 新正会は、未払い賃金の全額を組合員本人に支払ってください。対象期間ごとの計算根拠と支払日を明らかにし、適用法令に基づく遅延損害金も精算してください。
- ハラスメントについて法的責任を負う行為者および法人は、精神的損害に対する損害賠償(慰謝料)を支払ってください。具体的な被害の内容と責任関係を踏まえ、金額を含む解決協議に応じてください。
- 申告されたハラスメントと無視によるいじめについて、継続・再発を防ぐ措置を講じてください。申告対象者だけで判断を完結させず、独立性を確保した調査と、組合員の意向を踏まえた対応を行ってください。
- 新正会と間柴メディカルサービスの人事・経理・相談対応の分担を明確にし、必要な記録を保存してください。問題が認められた場合は、個人への注意だけで終わらせず、決裁や監督の仕組みを改善してください。
- 相談、事実確認への協力、正当な組合活動を理由とする不利益な取扱いを行わないでください。当組合との協議には、事実関係を説明でき、解決について判断する権限を持つ担当者が対応してください。
当組合は、組合員本人の意向を確認しながら、未払い賃金についての労働基準監督署への申告、ハラスメントについての労働局への相談、弁護士と連携した法的請求など、問題に応じた対応を検討します。
雇用主との間で賃金などの民事上の紛争が解決しない場合には、労働審判手続や訴訟による解決も選択肢になります。行為者個人への損害賠償請求を含め、請求先と内容に適した手続を選び、実際の被害回復につなげます。
地域医療への責任は、働く人への責任と切り離せません
間柴医院は、公式の医院紹介で、「地域にとって『なくてはならない』クリニックであり続ける」という姿勢を掲げています。地域の医療や介護を支える仕事には、大きな社会的意義があります。
だからこそ、その仕事を支える人の生活と尊厳にも、同じ真剣さで向き合っていただきたいと考えます。患者さまや利用者の暮らしを大切にする組織が、職員から寄せられた給与未払いとハラスメントの訴えに、どのように対応するのか。その姿勢は、組織が掲げる理念の実質を問うものです。
今回の問題は、地域医療のために尽力している職員全体を批判するものではありません。経営と管理の権限を持つ人に、その権限に伴う責任を果たしてもらうための要求です。現場で働く人の善意や責任感を、給与や尊厳を後回しにする理由にしてはなりません。
同じような問題に直面している方は、ご自身の雇用条件、勤務実績、給与の支払状況、受けた言動の日時と経緯を整理してください。
医療法人新正会、有限会社間柴メディカルサービス、そして中野爵喜被告、田中継一郎氏、保坂美紀氏に求めるのは、それぞれの関与についての具体的な説明と、責任に応じた対応です。未払い賃金を支払い、ハラスメントによる被害を回復し、働く人が同じ苦しみを繰り返さずに済む職場をつくることを求めます。
働いた対価と、人としての尊厳。そのどちらも、労働者が諦めなければならないものではありません。
