【ラストワンマイル労働組合】団体交渉の際の正式な通知先について

前回当組合がお知らせいたしました株式会社ラストワンマイルの連絡先窓口(伊藤美和取締役および市川康平取締役の両名)につきまして、2026年6月11日付の社内メール「当社名を用いた外部サイト等に関する対応窓口について」(以下「6月11日通知」といいます。)におきまして、新たに下記のメーリングリストアドレスが連絡窓口として一方的に指定されましたので、組合員各位にまずもって周知いたします。

しかしながら、本通知の内容につきましては、組合員から多くの疑問および強い不信の声が上がっており、その内容は、当組合が前回において指摘した労働組合法上およびコーポレートガバナンス上の問題を、解消するどころか、むしろ深刻化させるものとなっております。以下、6月11日通知の問題点を法的構成およびガバナンスの観点から指摘し、併せて当組合の立場を改めて明らかにいたします。

目次

第1 ラストワンマイル労働組合の公益性の高い目的の再確認

当組合の目的は、繰り返し申し上げますとおり、会社との敵対や対立そのものではなく、使用者である株式会社ラストワンマイル(東証グロース上場・証券コード9252)が、社会的責任を負う上場企業として、また持続可能な発展を遂げるべき事業者として、健全な企業統治と労使関係を実現することにあります。

当組合は、株主、取引先、顧客、そして従業員自身を含む全てのステークホルダーの長期的利益にかなう、透明で実効性のあるコーポレートガバナンスの確立を求めており、本書もまた、当組合のこの公益性の高い目的に沿って発するものです。

単なる労使対立団体としての要求活動ではなく、貴社の持続可能な発展を志向する建設的な団体として、社会正義の実現を目指す立場からの正当な指摘である点を、ここに改めて明確に申し述べておきます。

第2 6月11日通知の問題点

1 連絡窓口の急な変更─情報統制および「握りつぶし」の準備という疑念

2026年5月11日付本件周知の末尾において、会社は問合せ窓口として「伊藤取締役(Miwa_Ito@lomgrp.co.jp)」「市川取締役(kohei_ichikawa@lomgrp.co.jp)」の取締役個人2名を明示されておりました。

しかるに、6月11日通知においては、何らの合理的説明も付されることなく、これが「lomlomlom@lomgrp.co.jp」という新規のメーリングリストアドレスに一方的に変更されています。当該アドレスの実体および管理者は外形的には明らかにされておりません。

組合員の間では、本件変更につき、以下の重大な疑念が、強い不信感を伴って広がっております。

  • 取締役個人宛てに直接到達する経路を遮断し、特定の管理者のみが内容を取捨選択できる体制を作ることで、不都合な申入れや内部通報情報を「握りつぶし」「誰が握りつぶしたか分からなくする」ための準備ではないかという疑念。
  • 複数名による情報の遮断・選別を可能とすることにより、申入れの存在そのものを、取締役会、監査等委員、社外取締役、監査法人および主要株主等のチェック機能に到達させない、会社法等の各種法令や制度を不正に掻い潜りながら行う情報統制の意図ではないかという疑念。
  • 社内向けの全社員宛て公式通知であるにもかかわらず、本通知は、送信元・宛先ともに「lomlomlom@lomgrp.co.jp」というメーリングリスト自身のアドレスとされ、各受信者が「誰に対して送信されたのか」「配信範囲はどこまで及ぶのか」を不明確にするためにBccを用いた形式により配信されていること。社内通達という性質上、本来は配信範囲が受信者に対して透明であるべき公式通知において、配信先が受信者から特定しづらくするBcc形式を用いて送信すること自体が極めて異例の運用であり、誰に何を伝えたのかを各従業員から把握できないようにする、情報統制および恣意的な配信範囲調整の意図を、強く疑わせるものであるという疑念。

当組合は、過去の内部通報の握りつぶし、通報者の徹底的な特定(「犯人探し」)、および嫌疑をかけられた者に対する一方的・不当な配置転換による不利益処分という、すでに社内で広く知れ渡った会社の体質を踏まえ、本件変更が同様の文脈に位置付けられる蓋然性を、極めて重く受け止めざるを得ません。

また、前回の5月11日付通知においては、当組合の匿名性を「身元不明」「不正利用」と厳しく問題視されたにもかかわらず、6月11日通知における会社の窓口運用そのものは、責任ある発信者を外形上明示せず、かつ配信範囲をも受信者に対して秘匿するという、極めて不透明な構造になっている点は、明白な二重基準であり、上場企業のコーポレートガバナンス上、看過しがたい矛盾です。

2 「労働組合を名乗る団体」という表現を用いた使用者による組合存在の継続的な否認

6月11日通知は、当組合を一貫して「労働組合又は労働組合を名乗る団体」と表現しています。

しかしながら、労働組合法第2条は、労働組合の成立要件として、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体であることのみを定めており、使用者の承認や認知は労働組合の成立要件ではございません。

「労働組合を名乗る団体」という表現は、当組合の法的存在自体を留保的に否認するものであり、これは5月11日付本件周知における「当社とは一切関わりのない外部団体」との断定的記載と一連の流れにあって、依然として労働組合法第7条第3号の支配介入に該当する不当労働行為の継続と評価せざるを得ません。

3 当組合は団体交渉を申し入れていない─権利行使の範囲の意図的な誤認誘導

ここで明確に指摘しておく必要がある重要な事実として、当組合は、これまでに会社に対して、団体交渉(労働組合法第6条以下)を申し入れた事実は一切ございません。

当組合が現時点で行使している権利は、日本国憲法第28条が保障する労働三権のうち、

  • 団結権(労働組合を結成する権利)、および
  • 団体行動権(団体としての意思表明・情報発信、情報共有等を行う権利)

の二権であり、団体交渉権は、現時点において当組合が行使を選択した権利ではございません。

これは、過去の内部通報案件において、社内で正規ルートを通じた申立てが体系的に「握りつぶされて」きた事実、および通報者と疑われた者への報復的取扱いが現実に行われてきた事実を踏まえ、現時点で社内チャネルを通じた団体交渉が実効性を持ち得ないとの判断によるものです。

それを行ったところで、社内において握りつぶされて終わることが既に明らかになっているためであります。

しかるに、6月11日通知は、

「当社は、労働組合又は労働組合を名乗る団体から、労働条件その他労使関係に関する要望、申入れ、団体交渉の申入れ等があった場合には、関係法令に従い、誠実に対応いたします。」

と述べた上で、団体交渉の申入れを前提とした7項目の連絡フォーマットを長文にわたって展開しています。

これは、当組合が一度も申し入れていない団体交渉に話題を意図的に誘導する手法であり、その意図は、後述する「組合実体のあぶり出し」(=組合員の特定および不利益処分の準備)以外には合理的に説明することができません。

4 過剰かつ実質的に違法な「申入れ条件」要求─事実上の組合員特定の試み

6月11日通知は、団体交渉等を行う場合の必要記載事項として、以下の7項目を要求しています。

なお、繰り返しになりますが、当組合は団体交渉を申し入れておりませんため、本要求は当組合に対して向けられたものとしては前提を欠くものですが、念のため指摘いたします。

「1 団体名」
「2 代表者又は連絡担当者の氏名」
「3 所在地及び連絡先」
「4 代表者又は連絡担当者と当社従業員との関係」
「5 当社従業員のうち、貴団体に加入している人数」
「6 申入れ又は要望の内容」
「7 団体交渉を求める場合には、その議題及び希望日時」

特に深刻な問題があるのは下記の点です。

(1) 「代表者又は連絡担当者の氏名」、「代表者又は連絡担当者と当社従業員との関係」、および「当社従業員のうち、貴団体に加入している人数」

これらの開示要求は、当組合が、5月11日付本件周知における「外部団体」「身元不明」「不正利用」との断定的記載、および過去の報復的取扱いの実績を受けて、自衛上やむを得ず匿名性を選択しているという経緯を、正面から無視するものです。

会社は、当初から上場企業の使用者として不適格な「犯人探し」および不利益処分の体質を露呈してきたからこそ、当組合は匿名で設立せざるを得なかった旨を、当組合は繰り返し説明してまいりました。

それにもかかわらず、会社全体に向けてこれら情報の開示を強要するメッセージを一斉に発出する行為そのものが、会社全体に圧力をかける支配介入にほかなりません。

特に「貴団体に加入している人数」については、これを開示することは、組合員の特定およびその後の不利益取扱いに直結する情報であり、労働組合法および確立した裁判例・労働委員会命令例において、団体交渉の正式な前提条件として、組合員数の一律開示を法的に要求できる根拠はございません。

これらの情報を、団体交渉の前提条件として正式回答の形で会社側に開示することは、すでに「犯人探し」を強く示唆してきた会社に対し、組合員の身元を引き渡す行為に等しく、当組合がこれを受諾できる現実的余地はございません。

(2) 「厚生労働省関係の通知」への言及における出典の非開示

6月11日通知は、「厚生労働省関係の通知においても、団体交渉を開始する際に、使用者が相手方に対して明確な資料の提出を求め得る事項として、団体交渉に当たる者が使用者の雇用する労働者の代表者であるかどうか、団体交渉事項が何であるか等が挙げられています。」と述べていますが、当該通知の具体名(発出名・通知番号・日付等)を一切示すことなく社内に威圧的とも受け取れる通知を発しています。

そもそも、厚生労働省関係の通知の中において、組合員の人数を一律に開示することを使用者が要求できる旨を定めた通知は、当組合が確認した限りにおいて、存在しないものと承知しております。

当該言及は、抽象的な「お上の指示」の存在を匂わせることで、当組合に対する過剰な情報開示要求を正当化しようとする手法であり、出典の不明確にしての権威付けによって、組合員および従業員一般を萎縮させる効果を持つものといわざるを得ません。

5 企業内労働組合と合同労働組合の区別を無視した一方的な法解釈

6月11日通知は、「代表者又は連絡担当者と当社従業員との関係」を申入れ条件として要求していますが、これは、労働組合が貴社の従業員のみによって構成される「企業内労働組合」であることを暗黙の前提とした要求です。

しかしながら、日本の労働組合法体系においては、企業内労働組合のほか、特定の企業に所属しない労働者を含めて組織される、いわゆる「合同労組(ユニオン)」も、法的に保護された労働組合であり、合同労組の代表者または連絡担当者が当該企業の従業員ではないこと自体は、団体交渉応諾義務の対象となる労働組合性を何ら否定するものではございません。

「代表者又は連絡担当者と当社従業員との関係」を申入れ条件として明示的に求めるという形式そのものが、企業内労働組合・合同労組の区別および労働組合の構成原理に対する基礎的な理解を欠いた、自分たちに都合の良い一方的な法解釈であります。

これは、上場企業の使用者として求められる労働組合法の基礎知識および上場企業経営者としてのコーポレートガバナンス意識の水準に、強い疑念を抱かせるものです。

加えて過去に行われた内部通報制度に真っ向から反する行為をはじめとする多数の問題を抱えたままの経営体質からも、最低限の各種法令理解力やコンプライアンス意識の欠如が如実に表れています。このように、とても東証グロース上場企業の法的リテラシーとコンプライアンスを備えているとは言えず、株式会社ラストワンマイルの経営陣の経営者としての資質そのものに対しても、強い疑問を呈さざるを得ません。

6 外部サイト・SNSにおける発言制限─表現の自由および団体行動権への圧力

6月11日通知は、

「従業員の皆様におかれましては、外部サイトやSNS上の情報について、未確認の内容を拡散したり、憶測に基づく投稿・発言を行ったりすることのないようお願いいたします。」

として、従業員に対し、外部サイト・SNS上での発言を抑制するよう求めています。
しかしながら、

  • 労働者が、職場の労働条件、ハラスメント、内部通報の取扱い、企業統治上の問題等について、職場外の場(SNSおよび外部サイトを含みます。)で意見表明し、または労働組合の活動として情報発信を行うことは、日本国憲法第21条が保障する表現の自由の正当な行使であり、(同時に、これは日本国憲法第28条が保障する)団体行動権の正当な行使でもあります。
  • 会社の社内ネットワーク全体にこのような自粛要請を一斉に流す行為は、客観的に、組合員および従業員一般に対し、組合活動・労使関係に関する社外発信を萎縮させる効果を持つものであり、これは表現の自由および団体行動権に対する圧力に当たり、労組法第7条第3号の支配介入に該当する不当労働行為の、新たな追加事例として評価し得るものです。

7 「報復しない」との確約の信用性─過去の運用実態との矛盾

6月11日通知は、「相談や通報を行ったこと、又は正当な労働組合活動を行ったことを理由として、不利益な取扱いを行うことはありません。」と述べています。

しかしながら、当組合の結成は、まさに、過去に内部通報および類似の通報を行ったと疑われた従業員に対し、現実に報復的な不利益処分(本来の業務と全く関連性のない部署への一方的な配置転換等)が行われた事実を背景としております。この事実は、すでに社内で広く知られているところです。

過去の運用実態と矛盾する宣言を、現時点において再度発出することは、組合員および従業員一般の不信感をさらに増幅させるものであり、組合員探しおよび報復への現実的懸念を解消するものとは到底なり得ません。
信頼回復のためには、本通知における一行の宣言ではなく、過去の事案に対する第三者調査の実施および結果公表、ならびに不利益処分を受けた者の原状回復という、具体的な行動こそが必要です。

8 「特定人物」に関する個別否認記載の不可解性

6月11日通知の末尾には、「外部サイト上には、特定の人物に関する真偽不明の情報が掲載されていることも確認しています。当該人物については、当社の現従業員又は元従業員ではなく、当社との何らの関係はありません。」との記載があります。

当組合は、特定個人に関するプライバシー侵害等の不法行為に与する立場をとるものではなく、組合活動として当該事項に直接関与することは予定しておりません。

もっとも、6月11日通知のような全社向けの公式文書において、特定個人につき、現従業員でも元従業員でもなく、会社とは「何らの関係」もないという、極めて積極的かつ全面的な否認の記載が公式に発せられたこと自体、その意図、根拠および対象が外形上は不透明であり、上場企業の公式コミュニケーションとして、かえって新たな憶測を呼ぶ表現となっております。

少なくとも、社内ガバナンス上の文書としては、こうした記載は、その目的・必要性・対象範囲が明示されない限り、適切な水準にあるとは言い難いといえます。

第3 当組合の見解および当面の対応方針

以上を踏まえ、当組合は、現時点における会社の対応について、以下のとおりの見解および方針を、改めて表明いたします。

  • 当組合は、現時点で団体交渉を申し入れる意思を有しておりません。当組合が現に行使しているのは、日本国憲法第28条が保障する労働三権のうち、団結権および団体行動権であり、当面はこの範囲で活動を継続いたします。
  • 当組合の代表者氏名、所在地、組合員数、ならびに組合員と従業員との関係といった、組合員の身元特定および「犯人探し」に直結する情報を、現時点の会社の運用および体質を前提として開示することは、組合員の安全および労働組合の組織防衛上、受け入れることはできません。
  • 会社が、不当労働行為(5月11日付本件周知および6月11日通知における支配介入)を是正し、過去の内部通報の取扱いに関する第三者調査の実施・結果公表、ならびに通報者・嫌疑者への不利益取扱いの是正など、組合員が安心して身元を明らかにできる客観的環境を整えた段階において初めて、当組合は、団体交渉の申入れの是非を含む、次のステップを検討いたします。
  • 当組合は、当面の活動として、組合員間および従業員一般に対する情報共有、社外関係者(必要な範囲で、上部団体、労働委員会、関係官庁、株主、報道機関等を含みます。)への問題提起、ならびにコーポレートガバナンス上の論点の整理および公表を、団体行動権の正当な行使として継続いたします。
  • 6月11日通知に含まれる、外部サイト・SNS上の発言の自粛要請については、これを表現の自由および団体行動権の正当な行使に対する萎縮要請として認識し、当組合および組合員は、これに服する法的義務を負うものではないと考えております。

第4 ラストワンマイル労働組合における公益性の高い目的の再確認

当組合は、前回抗議において繰り返し申し上げたとおり、株式会社ラストワンマイルが、東証グロース上場企業として、また社会的責任を負う事業者として、持続可能な発展を遂げることをこそ最大の目的として、活動しております。

健全な企業統治、実効性のある内部通報制度、報復のおそれのない労働環境、対等かつ誠実な労使対話。これらは、株主、取引先、顧客、従業員、そして社会全体の長期的利益にかなうものであり、当組合の活動は、これらの公益性の高い目的の実現を志向するものです。

株式会社ラストワンマイルにおかれましては、本書面の指摘事項を真摯にお受け止めいただき、6月11日通知の運用および前提となっている認識を根本から見直していただくとともに、上場企業の経営者として求められる労働組合法の基礎理解および誠実なコーポレートガバナンス意識を、早急に確立されることを強く要請いたします。

組合員各位におかれましては、6月11日通知に過剰に意識することなく、引き続き当組合の方針に沿って、冷静かつ毅然と日々の業務にあたっていただきますよう、お願い申し上げます。

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