【間柴医院ユニオン】身柄拘束をめぐる発言と新正会の経営責任を問います

目次

中野爵喜氏は組織犯罪対策部門に何を話したのか

自分の事情を捜査機関に説明していたというのであれば、医療法人新正会で働く人や、事業に協力した人への責任についても、説明していたのでしょうか。間柴医院ユニオンは、中野爵喜氏が警察との相談関係を語っていたとする情報を、新正会グループの経営と資金管理の問題につなげて検証します。

当組合には、中野氏の指示で労務サポートや助成金事業の補助作業を担当した組合員から、給与が支払われていないこと、助成金の入金後も外注先や出向関係者への約定した支払いが行われていないこと、連絡が無視されていることについて申告が寄せられています。

一方、別媒体の検察ユニオンには、中野氏が組織犯罪対策部門への相談を周囲に語っていたという情報に加え、日本での逮捕を国外での追及回避に利用する趣旨の発言情報が掲載されています。本人の身柄をめぐる動きと、法人に残された契約、資金、働く人への責任を、別々の話として終わらせてよいのでしょうか。

当組合が問うのは、中野氏が自分の安全について何を期待していたのか、そして、その間に新正会グループを誰が動かし、誰が資金を管理していたのかということです。本人の説明を確かめることと、関係法人の実態を確かめることの両方が必要です。

検察ユニオンが紹介した「組織犯罪対策部門へ相談している」という発言

別媒体「オカミのユニオン」の検察ユニオンは、2026年9月2日の中野爵喜氏と組織犯罪対策課との関係を扱った記事で、中野氏が逮捕前から周囲に、次の趣旨を語っていたとの情報を紹介しています。

「鹿児島県警の組織犯罪対策部門へ相談している」

この記述は、中野氏が周囲に何を説明していたかについての情報です。警察側が新正会をどのように位置づけ、何を調べていたかを公表したものではありません。だからこそ、次に明らかにすべきなのは、その相談の中身です。

実際に相談していたのであれば、中野氏は、何が起きていると説明したのでしょうか。自分に向けられた要求や国外での問題だけを伝えたのでしょうか。それとも、新正会、有限会社間柴メディカルサービス、株式会社PRC、株式会社Nにおける自身の役割や、事業の契約、資金の動きまで説明していたのでしょうか。

また、警察から何らかの事情聴取を受けていたのであれば、その対象は何だったのでしょうか。新正会グループの取引や指示系統に関する質問があったのか、それに対してどのように回答したのか。単に担当部署の名前を挙げるのではなく、話した内容と聴かれた内容を具体化する必要があります。

組織犯罪対策部門との接触があったという話だけで、新正会が既に「トクリュウ」として取り調べられていたとは決まりません。しかし、その接触の中で法人や関係者の問題が扱われていたのであれば、何が説明され、何が記録されたのかは重要な検証対象です。扱われていなかったのであれば、今回の申告に基づき、改めてどの事実を確認すべきかが問われます。

カンボジアでの追及と、日本での逮捕を結び付けた発言情報

中野爵喜氏をめぐるカンボジアでの問題については、同じ「ミンナのユニオン」内のラストワンマイル労働組合が、2026年5月18日付の記事に現地発信の内容を保存しています。

同記事は、詐欺・横領被害を訴える現地発信を紹介し、現地の捜査機関等への問い合わせで、当時カンボジア国内で指名手配中との説明を受けたと記載しています。これは記事掲載時点の報告であり、現在の手配状況や日本への正式な要請内容を示す資料とは区別して扱います。

また、検察ユニオンの2026年8月1日の中野爵喜氏と捜査機関との関係を取り上げた記事は、中野氏が事件化以前から、日本で逮捕されることで海外での追及を避ける趣旨を語っていたとの情報を紹介しています。同記事も、発言の真偽や文脈を検証する必要があるとしています。

当組合には、カンボジアでの問題の発覚と追及を避けるために、中野氏が日本へ戻ったという情報も寄せられています。この帰国経緯の情報と、国外の問題を伝えた記事、逮捕をめぐる発言情報は、それぞれの出所を区別しながら時系列で照合する必要があります。

帰国を決めた時期、警察との接触時期、法人の役員や口座管理者を変更した時期、未払いが生じた時期。それらを並べたときに、どのような判断と連絡があったのか。本人の説明だけでも、周囲の評価だけでもなく、その時々に残された記録が重要になります。

国外の捜査機関による法的な追及と、私人からの要求や接触も、同じものとして扱うべきではありません。中野氏が何を恐れていたと説明し、その説明にどのような根拠があったのかを確かめなければ、日本側の対応を検証することもできません。

身柄拘束を「無料のシェルター」のように考えていたのか

日本での逮捕によって海外での追及を避けると、本当に事前に語っていたのであれば、身柄拘束を自分のための避難先として期待していたのかという疑問が生じます。「無料のシェルター」という比喩で問題にするのは、この発言情報が示す本人の発想です。拘束施設がそのような目的で用意されたという事実を意味するものではありません。

裁判所の刑事事件Q&Aが説明するように、勾留は、犯罪の嫌疑や逃亡・証拠隠滅のおそれ、必要性などを裁判官・裁判所が審査する身体拘束です。本人が「逮捕されたい」「日本にいれば安全だ」と期待しただけで、その希望どおりに決まる処分ではありません。

では、中野氏が捜査機関を欺こうとしていたのか。この点を調べるには、実際に何を説明したのか、その説明のどの部分が客観的な記録と食い違うのか、その食い違いを本人が認識していたのかを確認する必要があります。本人が周囲に語った話と、警察や検察に実際に述べた内容を、同じものと決めつけることはできません。

仮に、本人の安全に関する説明の一方で、自身の契約上の役割や資金処分について重要な事実を隠していたのであれば、その具体的な説明と省略の経緯が検証対象になります。関係者にも同じ説明をするよう求めていたのか、法人の記録と一致していたのか。確認すべきなのは、このような行為です。

当組合は、捜査機関の能力を罵ることで、この問題が明らかになるとは考えません。どの説明を受け、何と照合し、何を確認したのかを問います。本人の自称する「警察との関係」を、そのまま捜査機関の実際の判断に置き換えず、対応の記録に即して検証することが必要です。

本人の安全を確保することと、本人や関係法人の行為を調べることは両立すべきです。安全への配慮があるから取引を調べなくてよいわけでも、疑惑があるから身の安全を軽視してよいわけでもありません。必要なのは、安全確保と事実確認の両方です。

新正会を「残した」のか。それとも、外にいる関係者を通じて関与を続けたのか

間柴医院ユニオンにとって、本人の身柄と同じくらい重要なのが、その前後に新正会グループの経営がどう変わったのかという問題です。中野氏が直接対応できない状況になったとしても、法人には事業があり、従業員がいて、履行すべき契約があります。

当組合への提供情報では、新正会の社員総会に中野爵喜氏、中野なぎさ氏、中野景太氏、田中継一郎氏が関わり、理事会にも中野氏と田中氏らが名を連ねています。また、間柴メディカルサービスとPRCには中野景太氏が代表者として関わり、人事・経理を含む管理実務には保坂美紀氏が関与しているとされています。

こうした構成であれば、誰が正式な権限を持ち、誰が実際の判断をしていたのかを確認する必要があります。本人が不在になった後に独立して経営判断をしたのか、以前の指示をそのまま実行したのか、本人との連絡を通じて新たな指示を受けたのかによって、確認すべき記録も責任も異なります。

この点に関し、検察ユニオンの2026年8月27日の株式会社Nと新正会の関係を扱った記事には、中野氏が勾留後も外部の関係者を通じてNグループの意思決定に関与していたとの記載があります。これは同媒体による指摘であり、具体的な連絡や決裁への関与を確かめる必要があります。

この情報がある以上、単に「新正会を置き去りにした」とだけ整理して終えることもできません。関与をやめたのか、権限を引き継いだのか、それとも表に出ない形で関与を続けたのか。本人の所在とは別に、経営上の判断がどこで行われていたのかを調べる必要があります。

特に、助成金の入金確認、外注先や出向関係者への支払い、組合員の給与計算と支払手続について、誰が最終判断をしたのかを明らかにしてください。支払いを実行する権限があったのか、なかったのであれば誰の承認を必要としていたのか。その説明は、現在対応できる法人の責任者にも求められます。

一人に連絡が取れないことと、法人として何も判断できないことは同じではありません。事業を続けるための判断をしていたのであれば、働いた人への支払いや取引先への回答について、誰がどう判断していたかも説明していただく必要があります。

「トクリュウ」の検証は、部署名ではなく、具体的な行為と資金の流れから

警察庁は、令和6年警察白書の「匿名・流動型犯罪グループの特徴」で、犯罪収益を受け取る中核部分の匿名化や、犯罪実行者の流動化などを説明しています。指示する側と実行する側を分け、誰が利益を得ているのかを見えにくくする構造が、実態解明の課題とされています。

新正会グループにこのような特徴があるかを調べるなら、まず、どの具体的な行為に犯罪の疑いがあるのかを特定する必要があります。そのうえで、誰がその行為を認識し、どのような意思連絡と役割分担があり、誰が利益を得たのかを確かめます。相談相手の部署名や親族関係だけでは、この検証の代わりになりません。

当組合が確認を求めるのは、次のような事項です。

  • 外注先や出向関係者への契約時の説明と、実際の支払意思・支払計画に食い違いがなかったか。
  • 契約、業務指示、支払判断、会計処理について、関係者の間でどのような認識と役割が共有されていたか。
  • 法人に入った資金を誰が管理し、どのような根拠で支出し、最終的に誰が受け取ったか。
  • 本人の帰国や身柄拘束の前後に、名義上の責任者と実際の指示者の関係が変わったか。指示者や受益者を隠すための変更がなかったか。

助成金を受け取ったこと自体が不正を意味するわけではなく、不払いという結果だけで契約時の詐欺が証明されるわけでもありません。そこで、事業への協力を求めた段階から、入金、支払いに関する判断、その後の資金処分までをつないで調べる必要があります。

また、担当者の交代があったことと、犯罪実行者が流動的に入れ替わることも別です。新正会の職員を一括して犯罪組織の構成員と扱うのではなく、個々の行為と認識、権限を確認しなければなりません。従業員として補助作業をした人に、事業全体の責任を押しつけるような検証では不十分です。

当組合は、「トクリュウ」という呼称だけを結論にするのではなく、該当性を判断できる具体的な事実の確認を求めます。中野氏個人の身柄に注目が集まっても、法人の意思決定と資金管理が見えないままであれば、組織的な関与の有無は明らかになりません。

中野爵喜氏、新正会グループ、関係捜査機関への公開質問

間柴医院ユニオンは、以下の事項について具体的な説明を求めます。捜査機関に対しては、捜査上の秘密や関係者の権利を害しない範囲での説明と、権限を持つ機関による実質的な検証を求めます。

  1. 中野爵喜氏は、組織犯罪対策部門に相談していると周囲に語っていましたか。実際に接触した機関・部署、時期、相談の目的と、自ら説明した内容を明らかにしてください。
  2. その接触の際、新正会、間柴メディカルサービス、PRC、株式会社Nにおける自身の役割、契約、資金管理について説明しましたか。これらに関する事情聴取を受けた事実がある場合は、説明可能な範囲で対象事項を示してください。
  3. 日本での逮捕によって海外での追及を避ける趣旨を語っていたとの情報に、相違はありますか。その発言の経緯と、実際に捜査機関へ伝えた内容との関係を説明してください。
  4. 新正会および関係法人は、中野氏の帰国や身柄拘束の前後に、決裁権限、口座管理、契約の承認方法を変更しましたか。変更した場合は、その内容、決定者、引継先を明らかにしてください。
  5. 田中継一郎氏、中野景太氏、保坂美紀氏は、それぞれ助成金の入金確認と、給与・外注代金・出向関係費用の支払判断にどう関与しましたか。中野氏への確認や指示の伝達があった場合は、その内容と、自ら行った判断を説明してください。
  6. 両法人は、未払いと連絡無視の申告にどのように回答しますか。支払義務を負う法人、対象金額、計算根拠、支払日程と、解決を決裁できる責任者を示してください。
  7. 関係捜査機関は、本人との接触があった場合、相談内容をどのような資料や関係者の説明と照合していますか。国外の問題と国内の法人運営に関連する具体的な情報がある場合、適切な部署間連携によって確認する体制を取っていますか。
  8. 新正会および関係法人は、業務指示、決裁、契約、入出金、会計処理の記録を保存し、申告対象者から独立した立場による事実確認に協力しますか。調査と是正に責任を持つ担当者を明らかにしてください。

これらは、中野氏が話したとされる内容を、そのまま捜査機関の事実認定として受け入れるための質問ではありません。本人の説明、法人の記録、実際の対応を突き合わせるための質問です。回答の有無だけで犯罪の成否を決めるのではなく、確認できる事実に基づいて追及します。

経営者の身柄とは別に、給与と約定した代金を支払ってください

身柄をめぐる問題の検証と、未払いの解決は、並行して進める必要があります。刑事事件がどう進むのかを待つ間にも、労働者や取引先の生活と事業は続いています。

労働基準法第24条第1項本文は、次のように定めています。

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

雇用主である法人の賃金支払義務は、経営に関わる個人の身柄が拘束されたというだけで消えるものではありません。新正会には、組合員の契約条件と勤務実績、支払状況を確認し、未払い賃金を精算することを求めます。

外注先や出向関係者への支払いについても、各契約の債務者、履行内容、支払条件を整理し、支払うべき法人が対応してください。法人間で業務を分担していたのであれば、その分担を説明する責任があるのであって、相手方を法人間でたらい回しにしてよい理由にはなりません。

当組合は、組合員の申告と関連する記録を整理し、必要に応じて弁護士や各被害当事者と連携しながら、刑事告訴・告発、被害届の提出を検討します。その際は、本人の発言情報だけに依存せず、具体的な契約、指示、支払判断、資金処分を示し、関与した各人の行為を特定していきます。

中野氏個人の刑事手続上の権利は尊重されるべきです。同時に、法人としての資料保存、契約履行、業務の継続と説明は、それぞれの権限を持つ人が担うべき課題です。個人の刑事事件を理由に、法人が果たすべき対応まで止めてはなりません。

一人の身柄が確保されても、新正会の問題が解決したことにはなりません

中野爵喜氏が、自らの身柄拘束を国外での追及を避ける機会として期待していたのか。その点は、発言の経緯と実際の行動に基づいて確かめる必要があります。しかし、その検証だけで、新正会の働く人や取引先が抱える問題が解決するわけではありません。

誰が人を働かせ、誰が支払いを約束し、誰が入金を確認し、誰が資金を処分したのか。本人の帰国や身柄拘束の前後に、その判断はどのように引き継がれたのか。新正会グループには、こうした経営の実態を説明していただく必要があります。

当組合が追及するのは、地域医療や介護を支えている現場の職員ではありません。人を雇い、契約を結び、資金を管理する権限を持つ人の判断と責任です。現場の仕事を守るためにも、経営に関わる個人の事情と、法人が負う義務を分けて考える必要があります。

組織犯罪対策部門と話していたというのであれば、何を話したのかを示してください。新正会の事業を動かしていたのであれば、その指示と決裁を説明してください。そして、支払うべき賃金と代金があるのであれば、その解決を進めてください。

一人の所在が明らかになっても、資金の所在と支払責任が不明なままでは、問題は終わりません。

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