上場申請期の架空売上について検察ユニオンが金融庁へ情報提供
コールセンターの売上として計上したのであれば、その仕事を、誰が、いつ、どこで行ったのでしょうか。何を受注し、どの業務を提供し、誰が完了を確認したのでしょうか。会社の売上は、経営者の説明だけで生まれるものではありません。現場の仕事と会社の数字が一致しているかは、そこで働く労働者にとっても、会社の将来を左右する問題です。
「オカミのユニオン」の検察ユニオンは、10月12日、ラストワンマイルの上場申請期における架空売上と開示書類の虚偽記載疑義について、金融庁へ情報提供を行ったと公表しました。掲載された文面では、工藤健二氏・渡辺誠氏・中野爵喜氏の関与、馬見塚メモの裏付け資料、国税当局による押収物の返還と証拠保全が取り上げられています。
検察ユニオン「ラストワンマイル(9252)の上場申請期の架空売上と開示書類の虚偽記載疑義」
ラストワンマイル労働組合が会社に求めるのは、この問題を当局同士の資料のやり取りだけで終わらせず、自社の仕事、自社の帳簿、自社の経営判断として説明することです。誰が取引を作り、誰が売上を計上させ、その数字で誰が経営上の成果を得たのか。調査の対象を現場の入力担当者だけにせず、指示と判断を行った人物まで遡る必要があります。
工藤健二氏・渡辺誠氏・中野爵喜氏による「実態のない売上」の指摘
当組合は、10月12日に公開した会社への返答で、上場申請期に、当時取締役であった工藤健二氏が渡辺氏及び中野氏と共謀し、渡辺氏と中野氏が支配する別会社から実態のない売上を付け、それをラストワンマイルのコールセンター売上として無権限かつ無断で計上していたとの情報を取り上げました。
その返答では、取引先の名称と実質的な支配関係、取引の時期・金額・契約内容、実際に提供されたとする業務、各人の関与を具体的に調べるよう求めています。会社が正当な売上として説明するのであれば、契約と入金だけでなく、その金額に対応する仕事を示す必要があります。
同記事では、渡辺氏と中野氏が関わったとされる労働組合関連の交渉・支援活動と、この売上との関係も質問しています。誰が誰に何を提供し、どのような対価を受け取ったのか。会社のコールセンターが何に使われ、その活動がどの勘定で処理されたのかという問題です。
ここには、取引が実際に存在したかという確認と、存在した業務が適切な権限と方法で行われたかという確認があります。実際に電話対応をした人がいたとしても、その仕事が契約で説明された役務と一致するかは、別に確かめなければなりません。反対に、書類だけ作られた取引であれば、存在しない仕事を誰の判断で売上にしたのかが問われます。
「コールセンター売上」という科目名は、どのような仕事でも正当な売上へ変える包装紙ではありません。その名前で市場へ説明した以上、会社には中身を示していただきます。従業員には細かな業務報告を求めながら、経営者が関わった売上になると科目名だけで説明を済ませるのであれば、管理の精度が相手によって変わってしまいます。
売上の実在性は、契約・入金・現場の仕事を一件ずつつなげて確認できます
今回、当組合が特に重視するのは、コールセンターで働いていた人の実際の業務です。売上台帳に金額が記載されているだけでは、どの担当者がどの仕事をしたかは分かりません。会社がその売上を現場の成果として計上したのであれば、取引ごとに業務へたどれる説明を求めます。
確認は、請求書を一枚見て終えるものではありません。契約が定める業務と対価、実際の稼働、委託元への報告、検収、入金、会計処理を、同じ案件として照合する必要があります。会社と取引先がそれぞれ保有している当時の記録を比較することも重要です。
- 契約・発注の記録では、誰が、どの業務を、どの期間と料金体系で依頼したかを確認します。
- 現場の記録では、案件番号、担当部署、受発信履歴、対応記録、稼働時間、作業報告など、契約内容に対応する仕事を確認します。
- 会計と金融取引の記録では、請求・検収・売上計上・入金の対応と、その後の返金、別名目の支払い、仕訳修正を確認します。
料金体系によって、見るべき記録も変わります。対応件数に応じた請求なら件数との対応を、一定期間の業務受託なら契約した体制や役務が提供されていたかを確認できます。重要なのは、一律に電話の本数だけで判断することではなく、会社が売上として説明した契約の中身と、実際の提供内容を突き合わせることです。
取引先から入金されている場合も、確認はそこで終わりません。入金の原資を誰が用意し、その後、どの名目で資金が動いたのかを追う必要があります。会社や関係者から出た金が、別会社を経由して売上代金として戻るような構造がなかったか。取引先側の帳簿と、会社側の支出も併せて確認してください。
また、決算前に計上し、翌期に取り消したり、別の費用へ振り替えたりした処理がないかも確認対象です。現在の残高だけを見て相殺されていると説明するのではなく、上場申請や決算の各時点で、市場にどの数字を示していたかを調べる必要があります。
現場が働いた事実を示す記録は、正当な仕事をした従業員を守る資料でもあります。会社が今から説明を整える際に、当時なかった業務報告を作らせたり、記憶にない仕事をしたことにさせたりすることがあってはなりません。必要なのは、帳簿に合わせて過去の仕事を作ることではなく、過去の仕事に帳簿が合っていたかを確認することです。
架空売上が上場の前提に入ったなら、経営者の「成果」も再点検の対象です
上場申請期の売上という点は、今回の問題の中心です。会社が成長性や収益力を説明するために使った数字に、実態のない取引が含まれていたのであれば、問われるのは帳簿の一行だけではありません。その数字を基にした財務情報、事業の説明、内部管理体制への評価まで点検する必要があります。
会社には、対象取引を特定したうえで、売上高、利益、売上債権、翌期以降の残高へどのように影響したかを整理するよう求めます。上場時の有価証券届出書や目論見書、財務諸表、上場後の有価証券報告書と、東証への上場申請書類・審査回答を照合してください。どの資料のどの説明に対象取引が反映されたかを、取引単位から追えるようにすることが必要です。
取引先が渡辺氏と中野氏の支配する会社だったという指摘については、その関係がどう把握・説明されていたかも重要です。取引先の登記上の代表者だけでなく、誰が契約条件を決め、誰が資金を用意し、誰が実際に利益を得たかを確認してください。第三者との通常取引として扱った根拠があるなら、それを示していただきたいと思います。
労働組合の視点からは、その売上が社内で何の成果として評価されていたかも見逃せません。営業目標、部署の成績、役員の評価、報酬、予算、人員配置などへ使われていなかったかを確認する必要があります。実際の仕事と一致しない数字が基準になれば、現場は実現していない成果を前提に、次の成果を求められることになります。
仮に一部の経営者が実態のない数字で評価を得ていたのであれば、その数字を作っていない従業員が、届かない目標や厳しい査定を引き受ける構造になっていなかったか。会社は、対外的な訂正だけでなく、社内での利用まで調べてください。経営者の成功談に架空の上積みがあり、その後始末だけが現場の実労働になるのであれば、二重に不公平です。
東証の宣誓書違反に関する制度では、提出書類の虚偽記載等による宣誓事項への違反と、当時の上場基準への不適合が認められる場合の再審査が定められています。会社が確認すべきなのは、上場できたという結果を繰り返すことではなく、その審査へ示した前提が正しかったかです。
上場の実績を経営者の功績として語るのであれば、その実績を支えた数字についても、同じ経営者が説明してください。成果を発表するときは役員が前に立ち、数字の根拠を問われると経理担当者へ話を戻す。そうした責任の移動まで、売上と一緒に計上していたわけではないはずです。
馬見塚メモの「認定」を語るなら、その根拠を会社の取引と照合してください
検察ユニオンの今回の公表では、熊本国税局が鹿児島地方検察庁及び福岡高等検察庁の関与の下で馬見塚メモの内容を認定し、査察・捜査資料として扱ってきたとの情報を把握していると説明しています。その認定・検討に使われた資料へ、金融庁側が具体的に照会するよう求めています。
照会の起点として同記事が挙げているのは、本件関与時の鹿児島地検次席検事として記載された溝口修氏と、熊本国税局の査察担当者として記載された岡博史氏、そして各機関の資料保管・引継ぎ担当部署です。担当した個人の記憶だけではなく、機関が保有する資料とその移動記録を確認するという要請です。
また、検察ユニオンは7月18日の馬見塚メモの公開記事で、ラストワンマイルの現在籍者から、同社で保有されていた資料として提供されたと説明しています。公開された部分には、ラストワンマイルや渡辺氏、関係法人と資金移動が記載されています。
当組合が会社に問うのは、その資料をいつ入手し、誰が読み、自社に関係する記載をどのように扱ったかです。会社内に資料が存在し、経営陣が記載内容を知っていたのであれば、自社の契約や会計資料との照合を始める機会はあったはずです。誰かの事件を説明する資料として読むだけで、自社取引の確認には使わなかったのでしょうか。
金融庁側が捜査機関の認定資料へ照会する一方、会社側は自社が保有する原資料と突き合わせることができます。どの記載を、どの取引として特定したのか。会社の認識と当局側へ説明した内容は一致していたのか。異なる説明があるなら、その相違を何の資料で解明するのかを示してください。
馬見塚メモが他人の責任を語る場面では重い資料になり、自社の責任を問われる場面では単なるメモへ戻るような扱いでは困ります。資料の重みを登場人物によって変えるのではなく、記載された取引を一件ずつ確認してください。当局名を何度並べるかより、どの契約と送金にたどり着いたかが、会社の説明として重要です。
貨物車で押収物が返還されたという情報に、会社は何を答えるのですか
検察ユニオンの公表記事で、証拠保全の緊急性を示す事情として挙げられているのが、熊本国税局が渡辺氏から威迫を受け、同氏にだけ貨物車を用いて押収物を返還したとの情報です。同記事は、反社会的な威迫によって当局の判断が左右され、金融庁の検証前に重要資料が散逸・改変・隠蔽される状態になっていないかを問題にしています。
この指摘は、国税側だけに答えを求める問題ではありません。返還を受けた側にも、誰が何を受け取り、その後どこで、誰が管理したかという記録があるはずです。渡辺氏個人の資料と会社資料が混在していたのか、会社の端末や会計・業務記録が含まれていたのか。会社は受領後の所在を説明できるのでしょうか。
確認すべきなのは、貨物車が来たという場面だけではありません。押収・取得時の目録、国税側の保管・返還決裁、返還対象の一覧、受領書、会社側の受入れ記録を照合し、最初に持ち出された物と戻ってきた物が対応しているかを確かめる必要があります。
紙資料を複写したのか、端末や記録媒体の内容をどこまで取得したのか、その複製を現在どの機関が保持しているのかも重要です。資料を一部抽出したものと、取得時点の全体を確認できる保存状態とでは、後から調べられる範囲が違います。何が残り、何が確認できるかを、内容と履歴で示してください。
検察ユニオンは、以前の記事でも、渡辺氏の端末が早期に返却されたとの情報と、データ保全・返却判断の適切性を問題にしています。今回の貨物車による返還情報についても、対象物と日時を特定し、それぞれの返還がどの資料に関係するかを確認する必要があります。
検察ユニオン「渡辺誠氏は中野爵喜被告・国税・検察をどう動かしたのか」
強く要求した人物だけが特別な扱いを得たという指摘に対しては、当局は判断基準と決裁を、渡辺氏側は要求の内容と受領後の管理を説明すべきです。会社を守るために必要な資料まで、会長個人の交渉成果のように扱ってよいのでしょうか。押収物が戻ったという話を、仕事の実在性まで保証された話へ変えることはできません。
貨物車が運べるのは資料や機器です。会社の説明責任まで社外へ運び出してくれるわけではありません。返還を受けたのであれば、その分だけ会社側で確認できる物が何なのかを、具体的に示していただきたいと思います。
「国税にある」「返してもらった」「見当たらない」で、帳簿の説明を止めないでください
国税ユニオンは、10月1日の記事で、熊本国税局が押収したとされるGSEファイルと、その中の資料の所在について、当局側の説明の相違を取り上げています。嶋崎剛氏の「見当たらない」という趣旨の説明に対し、岡博史氏は紛失していないという趣旨を回答したとする内容です。
国税ユニオン「熊本国税局が押収したが一度は消えたGSEファイルと『経産省ホワイトペーパー』」
この記事が扱うのはエンジェル税制の説明資料に関する問題ですが、当組合が今回注目するのは、資料の所在を担当者の言葉だけで確かめようとすることの危うさです。原本、複製、データ、移管先を具体的に特定しなければ、同じ資料について話しているのかどうかも確認しにくくなります。
ラストワンマイルでも、帳簿、契約、業務記録の保有状況を資料ごとに整理してください。国税が持っている資料、会社へ戻った資料、会社に元からある複製、取引先や金融機関が保有する記録を、分けて把握する必要があります。「国税に提出したはずです」という説明だけで、自社の取引の確認を停止しないでください。
特に、会計データ、共有フォルダ、業務システム、メール・チャットなどは、端末一台の所在だけで全体が分かるものではありません。会社が利用していた保存先、バックアップ、外部へ提出した資料、作成・変更・削除の履歴について、何が残っているかを調べる必要があります。保存期間の満了やシステム更新によって、調査対象の記録が失われない措置も求めます。
仮に資料を廃棄又は削除していたのであれば、誰が、いつ、どの範囲を、何の規程や判断に基づいて処理したのかを示してください。従業員の退職に伴うアカウント削除と、会社として残すべき業務情報の管理も切り離して確認する必要があります。担当者が辞めたことで、会社の取引まで説明不能になってよいわけではありません。
資料が失われると、会社の疑義を解明する機会だけでなく、指示を受けて正当に働いた従業員が自分の仕事を説明する機会も失われます。その意味で、記録保全は経営者の防御だけのためではありません。誰が決め、誰が実行したのかを公平に確認するため、労働者の側からも強く求める措置です。
組合員の名簿より先に、疑義を指摘された取引先と決裁者を確認してください
10月12日の当組合記事では、療養と労災等の申請協力を求めた従業員に対し、会社が組合員名簿、組織図、活動報告、収支計算書などを求めてきたことも公表しています。会社は、相手方の組織や会計については、具体的な資料を並べて確認を求めています。
その具体性を、自社の架空売上の指摘にも向けてください。どの会社から売上を付け、誰が実際にその会社を支配し、誰が計上を決め、どの役員へ報告したのか。会社が先に整理すべき名簿は、療養中の従業員が加入する組合の名簿ではなく、疑義を指摘された取引と意思決定の関与者です。
もちろん、帳簿へ入力した人が関わったことと、その人が架空取引を作ったことは、同じではありません。契約の実態を知らされず、上司から渡された請求書に基づき処理したのか、売上を作るための指示を認識していたのかを、それぞれの資料と説明で確認する必要があります。
監査等委員会には、取引を設定した人、計上を指示した人、入力した人、監査や上場審査へ説明した人を分けて調べるよう求めます。入力者の名前はシステムに残りやすい一方、口頭で指示した人物の判断は別の確認が必要です。残っている名前だけを便利に拾い、指示した側の名前を調査の外へ置かないでください。
当組合は、渡辺氏が「仕掛けた」「個人を訴えた」と幹部へ説明することと、会社の問題への無回答を対比した記事も公表しています。経営者に不都合なことを話すと自分が不利益を受けると感じる職場では、調査への協力も難しくなります。正確な会計調査を行うためにも、事実を話せる環境が必要です。
会社を守るという理由で、従業員へ同じ説明を求めたり、記憶にない事実を認めるよう迫ったりしてはなりません。会社のために必要なのは、経営者に都合のよい話をそろえることではなく、それぞれが実際に見聞きし、行った仕事を確かめることです。指示した側の記憶が曖昧だからという理由で、実務担当者の責任だけを鮮明にしないでください。
監査等委員会は、会社の回答を待つ側ではなく、回答を作るために調べる側です
ラストワンマイルの公式役員紹介には、監査等委員である社外取締役が掲載されています。過去の取締役会・監査機関が何を確認したかと、現在の監査等委員会が新たな指摘へどう対応するかは、それぞれ検証されるべき事項です。
会社法第399条の2第3項第1号は、監査等委員会の職務として、次の内容を定めています。
取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の職務の執行の監査及び監査報告の作成
日本監査役協会の制度案内でも、監査等委員会設置会社について、取締役の職務執行の監査と、会社法第399条の3に基づく調査に関する権限が示されています。必要な報告を求め、会社の業務や財産の状況を確認するための権限を、具体的な疑義に対してどう使ったかが問われます。
今回、渡辺氏自身の指示や支配関係が確認対象です。その本人が選んだ資料だけを読み、本人の説明だけで判断すれば、調査範囲の設定から結論まで、検証対象者の影響を受けることになります。関係先への直接確認、会社資料への独立したアクセス、個別の聞き取りを確保してください。
会計監査人へも、何をいつ報告し、どの資料を見せ、どの追加確認を求められたかを示す必要があります。監査法人が過去に監査意見を出していたという説明だけで、新たに指摘された取引の検証を終えることはできません。その意見の前提として何が説明され、今回の情報がそこへどう影響するかを確認する仕事が残ります。
当組合が9月28日に公表した要求では、齊藤悟志氏と衛藤和也氏の業務・報酬・情報共有に関する疑義と、監査及び上場審査の前提について、既に調査と回答を求めています。架空売上の取引を誰が説明したかを調べる際にも、実際の上場実務担当者と、その担当範囲を確認してください。
JPXの不祥事対応のプリンシプルは、必要十分な調査範囲、独立性・中立性・専門性、実効的な再発防止、迅速かつ的確な情報開示を重視しています。経営陣の信頼性や内部統制に相当の疑義がある場合には、第三者委員会の設置が有力な選択肢であるとも示しています。
会社には、調査主体、対象期間、対象取引、記録の保全状況、確認済みの事項、今後の予定を説明するよう求めます。金融庁側が何をするかを待っている間も、会社自身が行うべき確認はあります。当局から質問されて初めて自社の帳簿を開くのであれば、監査機関を常設している意味が薄れてしまいます。
工藤健二氏・渡辺誠氏・取締役会・監査等委員会への公開質問
ラストワンマイル労働組合は、現場の仕事と会社の数字を一致させ、責任の所在を明らかにするため、次の事項への回答を求めます。担当者の感想や抽象的な「適切な処理」ではなく、取引、記録、判断者が対応する説明を示してください。
- 工藤氏・渡辺氏・中野氏が関与したと指摘されている別会社との取引について、正式な会社名、実質的な支配関係、対象期間、売上計上額、契約内容を特定しましたか。各人の役割を何の資料で確認しますか。
- 対象売上に対応するコールセンター業務は、どの部署が、いつ、どの体制で行ったものですか。契約、稼働記録、実績報告、検収、請求及び入金を、案件ごとに照合できますか。
- 対象取引と、当時の労働組合関連の交渉・支援活動との関係は何ですか。実際に提供した役務、その権限と適法性、売上科目及び対価の合理性を、誰が確認しましたか。
- 売上の計上、修正、取消しを指示・承認した者は誰ですか。工藤氏らの関与と、入力・資料作成を担当した従業員の役割を分け、取締役会、当時の監査機関、監査法人及び主幹事証券への説明まで調べていますか。
- 対象取引は、上場時及び上場後のどの開示書類へ反映されていますか。修正が必要な場合の財務数値への影響と、上場審査の前提への影響を、誰が評価しますか。
- 当該売上が、役員の評価・報酬、部署の業績、従業員の目標、人員配置等へ使われていなかったかを確認しますか。不適切な数字に基づく社内判断があった場合、その影響をどう是正しますか。
- 会社は馬見塚メモをいつ入手し、誰が読み、どの記載を自社資料と照合しましたか。国税・検察へ説明した内容と、監査・上場審査で説明した内容の一致を確認していますか。
- 貨物車による押収物返還が指摘されている件について、会社は何を把握していますか。返還された会社資料・端末の有無、受領者、現在の保管先、利用・複製・廃棄の履歴を説明してください。
- 監査等委員会は、検証対象者から独立した資料確認と聞き取りを行いますか。調査範囲、外部専門家の関与、会計監査人・東証への報告、訂正・開示の判断と予定を示してください。
- 従業員への責任転嫁、説明の強要、情報提供を理由とする不利益取扱いをどう防ぎますか。会社の問題による負担を、現場の人員削減や処遇の悪化へ安易に転嫁しないための方針も説明してください。
守るべきものは、経営者の過去の成功談ではなく、現在の雇用と会社の信用です
架空売上の疑義に向き合うことは、会社を壊すための行動ではありません。実際の仕事で会社を支えてきた人が、不透明な取引や経営者の判断の後始末によって、雇用や処遇を脅かされないようにするための活動です。問題を見えなくして時間を稼ぐほど、後から会社が引き受ける負担が大きくならないかを考える必要があります。
当組合は、会社に次の対応を求めます。調査の開始だけを成果にせず、記録の確保から、事実認定、必要な訂正、責任の検証、現場を守る改善まで進めてください。
- 対象取引と関与者を特定し、会計、業務、指示・決裁、国税等への提出・返還に関する記録を直ちに保全してください。会社外にある資料についても、適切な経路で所在と取得可能性を確認してください。
- 監査等委員会を中心に、必要な独立性と専門性を備えた調査体制を設けてください。契約や会計の説明だけでなく、現場で何の仕事が行われたかまで検証してください。
- 調査結果に応じて、法定開示書類の訂正、東証や会計監査人への報告、適時開示、内部統制の改善を進めてください。会社に損害が生じている場合は、責任を負う者への請求や利益の回復も検討してください。
- 従業員の証言と正当な業務を守り、調査協力による不利益を防いでください。不適切な数字が人事評価や業務目標へ影響していた場合には、その見直しと不利益の回復を行ってください。
当時の仕事に関わった方は、自分が直接行った業務、受けた指示、作成した資料、報告した相手を、日時とともに整理してください。実際に経験したことと、後から他人に聞いたことを分け、記憶が曖昧な部分を無理に補わないことが重要です。適法に保有している記録は、原形と前後の経緯が分かる状態で残してください。
架空売上や開示情報に関する具体的な情報は、証券取引等監視委員会の情報提供窓口でも受け付けています。情報を伝える際には、会社名と人物名だけでなく、対象取引、時期、計上内容、実際の業務、資料の所在を整理することが有用です。確認すべき仕事と記録を具体化することで、抽象的な否定だけでは終えにくい質問になります。
検察ユニオンが公表した金融庁への情報提供は、上場時の数字と、その検証を可能にする証拠の所在を問題にしています。ラストワンマイル労働組合は、そこから自社の現場へ問いを向けます。その売上を生んだ仕事は何で、誰が判断し、会社は従業員と市場へ何を説明していたのでしょうか。
会社の持続可能で健全な存続と、労働者の雇用、生活、健康、尊厳と福祉を守るために必要なのは、経営者の説明へ現場を合わせることではありません。現場で実際に行われた仕事へ、会社の数字と説明を合わせることです。正当な仕事をしてきた従業員に、存在しなかった仕事まで背負わせないでください。
工藤健二氏、渡辺誠氏、中野爵喜氏の関与が指摘された取引について、会社は原資料で答えてください。上場の成果を語る言葉があるなら、その成果の根拠を示す言葉もあるはずです。売上を作った経緯は曖昧なまま、責任だけを現場へ計上する。そのような会計処理も経営管理も、当組合は認めません。
