当社の持続可能な成長と健全な労働環境の擁立に、日頃より熱心に問題提起していただいている組合員の皆様に、「監査独立性・上場審査・情報管理・開示統制等に関する調査及び回答要求書」を提出したことをお知らせいたします。
これまでの数多くの質問にも、一度も回答をしないという姿勢を貫き続けるラストワンマイル経営陣ですが、組合員の悲痛の声は日に日に増しているため、当組合としてはこれまで以上に精力的に活動を続けてまいります。
監査独立性・上場審査・情報管理・開示統制等に関する調査及び回答要求書
2026年9月28日
株式会社ラストワンマイル
代表取締役 殿
取締役会 御中
監査役・監査等委員 御中
社外取締役 各位
内部監査部門・コンプライアンス部門 御中
情報取扱責任者・開示責任者 御中
ラストワンマイル労働組合
監査独立性・上場審査・情報管理・開示統制等に関する調査及び回答要求書
当労働組合は、会社が従業員に対して、欠勤、私生活上の事項その他について極めて厳格な説明責任を要求し、懲戒、賞罰委員会、反復的な事情聴取等を実施してきたことを踏まえ、同一のコンプライアンス原則が、当然に会社自身、取締役、上場準備責任者、監査関係者及び情報管理体制にも適用されるべきものと考えます。
コンプライアンスとは、使用者が従業員を統制するための一方向的な装置ではありません。
従業員に「報告せよ」「説明せよ」「規律に従え」と要求する会社であるならば、会社自身について、より重大な監査独立性、上場審査、監査情報、職業紹介規制及び内部統制上の疑義が提起された場合には、少なくとも同等以上の厳格さで調査し、説明するのが当然です。
しかも、今回当労働組合が把握している情報は、単なる過去の一回的な採用問題にとどまりません。
監査法人に秘匿された可能性のある採用、報酬の迂回分配、監査法人関係者を介した継続的な情報取得、人材紹介、そしてその情報の流入先として当社経営陣が関係している可能性まで示す記録が流通しているとの情報があります。
これが事実であるならば、本件は「一人の公認会計士の転職」などという次元では到底処理できません。
会社の上場審査、監査独立性、秘密情報管理及び現在の内部統制そのものを問い直す問題です。
以下、正式な調査及び回答を要求します。
1 衛藤和也氏の採用がEY新日本に秘匿されていたとの情報について
当労働組合には、当社の上場責任者であった齊藤悟志氏が、当時EY新日本有限責任監査法人に所属していた公認会計士である衛藤氏について、EY新日本側に明示しない形で当社業務に関与させ、さらに、衛藤氏に対する対価についても、会社から衛藤氏に直接支払うのではなく、齊藤氏に支給された報酬等の中から衛藤氏に分配されていたことをうかがわせる記録が流通しているとの情報を把握しています。
これが事実であるならば、問題の性質は飛躍的に重大になります。
単に「監査法人所属者を採用した」という問題ではありません。
なぜ会社が直接契約・直接支払を行わず、齊藤氏を介在させる必要があったのか。
なぜEY新日本に対して衛藤氏の関与を正面から開示しなかったのか。
なぜ報酬を齊藤氏経由で分配する構造を採用したのか。
これらについて合理的な説明ができないのであれば、監査法人側の兼業規制、独立性管理又は社内承認手続から当該関係を不可視化する目的が存在しなかったかという疑義が当然に生じます。
当労働組合は、EY新日本の個別の就業規則や当時の副業規程の内容を現時点で断定するものではありません。
しかし、監査法人に所属する公認会計士が、その監査先又は上場準備会社から、所属監査法人に秘匿された形で経済的利益を受領していたのであれば、少なくとも、監査人の独立性、利益相反管理、秘密情報管理、
監査法人内部の承認手続、職業倫理について極めて重大な検証が必要になります。
2 問題は「副業」ではなく、監査独立性そのものです
本件を単純に、「副業禁止規程に違反したかどうか」という社内就業規則の問題に矮小化することは許されません。
監査制度の基礎は、監査人と被監査会社との間に十分な独立性が存在することです。
実際に監査意見を曲げた証拠があるか否か以前に、被監査会社又はその上場責任者から監査法人所属者に対して、監査法人に把握されない経済的利益が提供されていたのであれば、
自己利益の脅威、親密性の脅威、自己レビューの脅威、監査判断への不当な影響が生じていなかったかを検証しなければなりません。
しかも、その報酬が会社から正面から支払われるのではなく、上場責任者の報酬を経由して支払われていたというのであれば、形式ではなく経済的実質に着目した検証が不可欠です。
誰が資金の原資を負担したのか。
誰のために業務を行ったのか。
誰が指示を出したのか。
誰が成果物又は情報の提供を受けたのか。
この実質によって判断されるべきです。
3 監査法人内部情報・監査情報の流出がなかったかを全面的に調査してください
さらに重大なのは、衛藤氏その他のEY新日本出身又は関係する公認会計士を通じて、監査法人内部の情報、監査上の判断過程、上場審査対応に関する情報、監査チームの関心事項、会社側が本来知り得ない内部的な検討事項が当社又は齊藤氏側に提供されていなかったかという点です。
公認会計士の守秘義務は、単に顧客企業の秘密を外部へ漏らしてはならないという一方向の義務ではありません。
監査法人、勤務先、顧客その他の職業上の関係を通じて得た秘密情報を、正当な理由なく第三者の利益のために利用することも、職業倫理上重大な問題となります。
しかも守秘義務は、所属関係の終了後も継続する性質を有します。
したがって、「既にEY新日本を退職しているから自由に情報提供できる」という理屈は成立しません。
会社は、監査法人関係者又は元関係者から提供を受けた情報について、情報提供者、提供日、提供方法、情報内容、提供の目的、対価の有無、社内での共有先、意思決定への利用の有無を調査してください。
4 上場審査そのものの公正性を害していなかったか
仮に、上場準備責任者である齊藤氏が、当社の監査を担当又は関係していた監査法人側の公認会計士を秘密裏に利用し、監査法人内部の判断、監査上の重点事項、上場審査で問題となり得る事項、財務報告又は内部統制上の指摘事項について事前情報を得ていたのであれば、それは通常のコンサルティングとは全く異なります。
上場審査及び監査という、本来独立した外部検証手続について、被審査側が内部情報を取得して対策を行っていた可能性の問題となります。
それが事実であれば、審査を通過したという結果だけを見て「問題がなかった」と結論付けることは論理的にできません。
審査対象者が審査側の内部情報を事前に得ていたのであれば、むしろ、その情報取得が審査結果に影響しなかったのかこそ再検証されるべきです。
会社は、EY新日本、当時の主幹事証券会社、東京証券取引所その他の上場審査関係者に対し、本件を説明したことがあるのか明らかにしてください。
説明していないのであれば、なぜ説明不要と判断したのか、その根拠を回答してください。
5 齊藤悟志氏がその後もEY新日本出身公認会計士を利用しているとの情報について
さらに当労働組合には、本件が衛藤氏一名限りの過去の問題ではなく、齊藤氏がその後もEY新日本出身の公認会計士その他の関係者との人的ネットワークを利用し、様々な企業への人材供給又は内部情報の取得を継続しているとの情報が寄せられています。
これが事実であるならば、会社として最も深刻に受け止めるべきなのは、過去の違反可能性が現在も継続していることです。
過去の一回的な不適切行為であれば、事実確認、是正、再発防止という通常のガバナンス対応が考えられます。
しかし、同一人物、同一人的ネットワーク、同一又は類似の情報取得方法が現在まで反復されているのであれば、問題は個人の一過性の行動ではありません。
会社の内部統制が、継続的な外部情報取得ルートを認識しながら許容又は利用してきたのではないか、という構造的問題になります。
6 無許可の職業紹介に該当する可能性について
さらに、齊藤氏が、公認会計士その他の人材を企業に紹介し、その紹介について報酬その他の経済的利益を得ていたというのであれば、職業安定法との関係も確認する必要があります。
職業安定法上、有料職業紹介事業を行うには、原則として厚生労働大臣の許可が必要です。
したがって、特定の企業と人材との間を取り持ち、雇用成立に向けた具体的なあっせんを行い、その対価として報酬その他の経済的利益を得るという行為を反復・継続していたのであれば、単なる「知人の紹介」ではなく職業紹介事業に該当する可能性があります。
重要なのは名称ではありません。
「コンサルティング料」
「紹介謝礼」
「業務委託料」
「顧問料」
など、別の名称を付したとしても、実質が職業紹介であれば、その実態に即した評価が必要です。
したがって会社は、
齊藤氏又はその関係先が有料職業紹介事業の許可を有していたか、
人材紹介の回数、
紹介先、
報酬の有無、
報酬支払者、
雇用成立との連動性
を調査してください。
7 渡辺誠代表取締役会長が情報提供先であったとの記録について
さらに重大な点があります。
当労働組合には、これら監査法人出身者その他の人的ネットワークから取得された情報について、その提供先又は共有先として渡辺誠会長が指示していることをうかがわせる記録まで流通しているとの情報が寄せられています。
具体的例の一つとしては、東京証券取引所が保有する特定の人物の反社性などの情報を、齊藤氏を通じて不正に取得し渡辺誠氏に流し、渡辺氏がその情報を多方面に再流通させている、という情報です。
当労働組合は、これを現時点で確定事実として断定しているものではありません。
しかし、仮にこれが事実であるならば、本件は齊藤氏個人の問題では終了しません。
会社の経営トップが、情報の取得経路を認識していたのか、情報の出所を確認していたのか、監査法人又は元監査法人関係者由来の秘密情報である可能性を認識していたのか、その情報を経営判断、人事判断、上場関連判断その他に利用したのかが問題となります。
そして、出所に疑義のある情報を経営陣が継続的に受領・利用していたのであれば、問題の中心は「情報を漏らした側」だけではありません。
会社側の情報受領統制、コンプライアンス統制、取締役の善管注意義務及び内部統制の問題になります。
8 会社には直ちに証拠保全を要求します
本要求書受領後、会社には、本件に関連する資料について直ちに保存措置を講じることを要求します。
具体的には、渡辺会長、齊藤氏、衛藤氏のメール、LINEその他のメッセージ、社内チャット、報酬支払記録、
給与・業務委託料その他の会計記録、採用関係書類、すべてのEY新日本関係者との通信記録、人材紹介に関する通信、渡辺会長との通信、当社役職員間で共有された資料、上場準備時の資料について、削除、改変又は廃棄が行われないよう保存措置を講じてください。
特に、本要求書受領後に関連資料が消失した場合には、会社の内部統制そのものについて、さらに重大な問題が生じます。
9 EY新日本への正式照会を要求します
会社内部の調査だけでは十分ではありません。
本件では、当時の監査法人側が、衛藤氏の外部業務を把握していたか、当社との経済的関係を認識していたか、独立性審査を実施したか、副業その他の承認手続を行ったか、監査業務からの除外その他の措置を取ったかを確認する必要があります。
したがって会社は、EY新日本有限責任監査法人に対して正式な照会を行い、その回答を取締役会及び監査機関に報告してください。
10 本件を単なる「過去の退職者問題」にしないでください
会社が本件について、
「齊藤氏は既に退職した」
「衛藤氏も現在は関係がない」
などと回答することは、本質的な回答になりません。
本件で問われているのは、現在の在籍状況ではありません。
上場時に用いられた監査及び審査手続の信頼性、その後の情報取得体制、現在まで継続している可能性のある人的ネットワーク、現在の経営陣が齊藤氏の情報を受領・利用している可能性です。
むしろ、現在も同種の情報取得が続いている情報が出回っている以上、現在進行形の内部統制問題です。
11 上場維持への影響について正式判定してください
東京証券取引所の現行制度上、虚偽記載、不適正意見・意見不表明、重大な上場契約違反、新規上場時の宣誓事項への重大な違反、内部管理体制の重大な問題等は、上場廃止その他の重大な措置につながり得ます。
当労働組合は、本件について直ちに「上場廃止である」と断定するものではありません。
しかし、今回指摘している事項が事実であり、かつ上場申請時又は監査時に秘匿されていたのであれば、
監査意見の前提、
上場審査の前提、
会社の宣誓事項、
内部管理体制、
開示統制
への影響を正式に検討しないことの方が不合理です。
東証は、虚偽記載や重大な上場契約違反、新規上場時の宣誓事項違反、内部管理体制の重大な不備等を上場廃止等の判断対象としています。
したがって会社は、外部弁護士、公認会計士その他独立した専門家による調査を実施し、
東証への報告要否、
過去の上場申請資料の訂正要否、
監査法人への報告要否、
開示要否、
再監査その他の対応要否
を正式に判定してください。
12 会社に求める追加回答
以上を踏まえ、従前要求した事項に加えて、以下を回答してください。
- 衛藤氏と当社又は齊藤氏との最初の業務関係開始日
- 当該関係についてEY新日本が認識していたか
- 衛藤氏への報酬を齊藤氏経由で支払った事実の有無
- 事実である場合、その金額、期間及び支払理由
- 直接契約ではなく齊藤氏を介在させた理由
- 衛藤氏又は他のEY新日本関係者から監査又は上場審査関連情報を受領したことがあるか
- 情報を受領した者は誰か
- 渡辺誠会長がこれらの情報を受領したことがあるか
- 齊藤氏がEY新日本出身者その他を第三者企業に紹介した事実があるか
- その紹介について金銭その他の利益を受領したか
- 有料職業紹介事業の許可の有無を確認したか
- 現在も同種の情報提供、人材紹介又は報酬関係が継続しているか
- 本件についてEY新日本へ正式照会するか
- 東証、監査法人、主幹事証券会社その他への報告要否を誰が判断するか
- 本件について外部独立調査を実施するか
について、書面で回答してください。
13 従業員には「一日の欠席」、会社には「上場の根幹」
会社は従業員に対して、一日の欠席について事情聴取し、私生活上の水道料金についても説明を求め、懲戒まで行っています。
それほど厳格なコンプライアンスを標榜するのであれば、本件について説明できない理由はありません。
今回問われているのは、
監査人の独立性、
上場審査の公正性、
公認会計士の秘密情報、
人材紹介規制、
経営陣への情報流入、
そして現在の内部統制
です。
一従業員の一日の欠勤より軽い問題であるはずがありません。
従業員に対して細部まで説明責任を求めながら、会社自身について上場制度の根幹に関わる疑義が示された途端に沈黙するのであれば、会社が従業員に求めてきた「コンプライアンス」という言葉そのものの意味が失われます。
当労働組合が求めるのは、特別な扱いではありません。
会社自身にも、会社が従業員に要求してきたのと同じ基準を適用すること。
ただそれだけです。
本要求について、取締役会、監査機関及び社外取締役による正式な取扱いと、当労働組合を通じた文書回答を要求します。
以上
