社外取締役「渡辺オーナー」がラストワンマイルの金でベストミライクルを宣伝、行政と損保への説明は本当か
前回の記事で、株式会社ラストワンマイル代表取締役会長兼CEOの渡辺誠氏は、自分を大株主から命令を受けて動く「サラリーマン社長」と位置付けていました。
ところが、ベストミライクル株式会社へ目を向けると、渡辺氏の肩書は一変します。同社の代表取締役である矢野寿氏からは「渡辺オーナー」と呼ばれ、重要事項について報告を受け、指示を出し、最終判断をする立場にいました。
しかも渡辺氏は、株式会社ラストワンマイルの社外取締役だった2020年後半から2021年前半にかけて、ラストワンマイル側の広告費、広告基盤、事業上の信用を使い、ベストミライクルの住宅設備保証や原状回復費用補填サービスを宣伝していました。
責任を問われる場面では、大株主から命令されたサラリーマン。利益を受ける会社では、代表者から指示を仰がれる渡辺オーナー。そして広告費を負担するのは、株式会社ラストワンマイルです。
問題は、渡辺氏の肩書が多いことではありません。ラストワンマイルの金と事業基盤を使って、自らが実質的に支配する会社へ顧客、売上、契約、信用を移しながら、その支配関係と利益相反を取締役会、株主、行政、損害保険会社、主幹事証券へ正確に説明していたのかという問題です。
広告を出した会社、広告で利益を得た会社、両社を動かした人物を一本の線で結べば、これは単なる広告施策ではありません。上場準備会社の取締役が、その会社を自分の支配会社専用の広告代理店として使った問題です。
渡辺誠氏はラストワンマイルの広告費でベストミライクルを宣伝した
当組合が確認している事実では、2020年後半から2021年前半にかけて、渡辺誠氏は株式会社ラストワンマイルの取締役という立場を利用し、ベストミライクル株式会社のサービスを、ラストワンマイル側の広告・集客施策で継続的に販売、宣伝させていました。
宣伝対象となったのは、住宅設備機器の故障等に対応する住宅設備保証と、賃貸住宅の退去時に生じる原状回復費用を補填するサービスです。いずれも、継続的な契約、利用料、顧客情報が積み上がる事業です。
ベストミライクルは、当時の株式会社ラストワンマイルの子会社でも連結会社でもありませんでした。公開上は別法人でありながら、広告を出す際にはラストワンマイル側の金と事業基盤が使われ、重要事項を決める際には「渡辺オーナー」の指示が求められていたのです。
本件の構造は、次のように整理できます。
- 渡辺誠氏は、株式会社ラストワンマイルの社外取締役として同社の利益を守る立場にあった。
- ベストミライクル株式会社は、ラストワンマイルとは別の外部法人として扱われていた。
- ベストミライクル側では、渡辺氏が「渡辺オーナー」と呼ばれていた。
- ベストミライクルの重要事項は、渡辺氏への報告、確認及び指示を経て決められていた。
- ベストミライクルの商品宣伝には、株式会社ラストワンマイル側の広告費、媒体、事業基盤及び信用が使用された。
- 広告によって獲得された顧客、契約、継続収益及び企業価値は、ベストミライクル側へ蓄積した。
- 渡辺氏の実質的支配関係、利益相反、ラストワンマイルが得る対価について、取締役会の適正な審議と開示が行われた形跡は示されていない。
株式会社ラストワンマイルが、正規の販売契約や広告契約を締結し、支出した広告費を上回る手数料や利益を得ていたのであれば、その契約と収支を開示すれば済みます。
反対に、ラストワンマイルが費用を負担し、顧客と継続収益だけがベストミライクルへ残り、渡辺氏が実質的オーナーとして利益を受けていたのであれば、事業提携ではありません。会社資金を使った利益移転です。
矢野寿代表が繰り返した「渡辺オーナーへ確認します」
ベストミライクルにおける渡辺誠氏の立場は、外部から勝手に推測されたものではありません。
当組合が確認する事実では、同社代表取締役である矢野寿氏は、重要事項の判断を求められるたび、次の趣旨を繰り返し説明していました。
「渡辺オーナーには連絡しました」
「渡辺オーナーから指示があると思います」
「渡辺オーナーと打ち合わせた内容を伝達したい」
登記上の代表取締役が、自社の重要事項について別の人物を「オーナー」と呼び、その指示を待っていたのです。
矢野氏が表の代表者であり、渡辺氏が実際の意思決定者だったのであれば、行政、損害保険会社、保険代理店、銀行、取引先、業界団体、株式会社ラストワンマイルの取締役会は、誰をベストミライクルの実質的支配者として認識していたのでしょうか。
会社経営では、代表取締役の名札だけを見て終わることはできません。誰が事業計画を決め、契約条件を決め、資金を出し、役員へ指示し、最終的な利益を得るのかが、実質的な支配関係を判断する核心です。
行政や損害保険会社へは「矢野代表が独立して経営する会社」と説明し、実際の社内では「渡辺オーナー」の指示で動いていたのであれば、審査した側に示された会社像と、現実の会社像が一致していません。
渡辺氏の名前を申請書や契約書の表面から外しても、渡辺オーナーの指示まで消えるわけではありません。
「すべての会社を売却した」はずなのに、売却後も渡辺オーナー
渡辺誠氏は、2026年に公開された株式会社ラストワンマイルの個人投資家向け説明会で、2018年前後の自らの経歴について、「その年の前後で、すべての会社をM&Aで売却しました」と説明しています。
この説明だけを聞けば、渡辺氏は自らの会社を全て売却し、その後は売却先の経営や利益から離れた人物であるように見えます。
しかし、2020年後半から2021年前半にかけて、ベストミライクル代表者は、重要事項のたびに渡辺氏を「オーナー」と呼び、その指示を待っていました。さらに、現在公開されている矢野寿氏へのインタビューでも、渡辺氏はベストミライクルの創業者として紹介されています。
創業者という過去の肩書だけであれば、株式を売却した後も使用できます。しかし、売却後に現代表者が「渡辺オーナー」へ重要事項を報告し、指示を受けていたのであれば、単なる名誉創業者ではありません。
確認すべきなのは、売却契約書の表紙ではなく、売却後にも残った権利と利益です。
- 渡辺誠氏が売却したとするベストミライクル株式の数、割合、売却日、相手方及び売却価格。
- 株式売却後に締結された議決権委任、買戻し合意、売買予約、担保設定、名義保有その他の契約。
- 渡辺氏が役員、顧問、業務委託先、貸付人その他の立場で保持した意思決定権。
- 渡辺氏又は関係法人へ支払われた役員報酬、顧問料、業務委託費、貸付利息、配当その他の利益。
- 矢野寿氏が渡辺氏を「オーナー」と呼び、指示を仰いでいた根拠。
- 金融機関、損害保険会社、行政機関及び取引先へ申告した実質的支配者。
本当に全ての会社を売却し、支配も利益も残っていなかったのであれば、なぜ売却後も「渡辺オーナー」だったのかを説明してください。
売却後も実質的な支配と利益が残っていたのであれば、投資家向け説明における「すべての会社を売却した」という言葉が、どこまでの事実を意味していたのかを説明してください。
前回の記事では、渡辺氏は大株主から命令を受けるサラリーマン社長でした。本件では、別会社の代表者から最終判断を仰がれる渡辺オーナーです。
責任を負う場面だけサラリーマンへ戻り、利益を動かす場面だけオーナーになる経営方式は、会社法にも上場規則にも記載されていません。
ラストワンマイルはいくら払い、ベストミライクルはいくら得たのか
会社が他社の商品を広告すること自体は、珍しいことではありません。正規の代理店契約や販売契約があり、広告費、紹介手数料、販売報酬、個人情報の利用範囲、契約責任が明確であれば、通常の事業提携として説明できます。
本件で問題なのは、渡辺誠氏が広告費を負担するラストワンマイルの取締役である一方、広告によって利益を得るベストミライクルでは「オーナー」として最終判断を行っていたことです。
一人の人物が、費用を出す会社と利益を受ける会社の双方へ影響力を持っていた以上、一般の外部取引より厳格に、価格、対価、利益帰属を確認しなければなりません。
株式会社ラストワンマイルが明らかにすべき収支は、次のとおりです。
- ベストミライクルのために支出した広告費、制作費、運用費、システム費及び外注費の総額。
- 広告に使用した媒体、広告アカウント、掲載期間、表示回数、問い合わせ件数及び成約件数。
- 広告、制作、顧客対応及び契約管理へ投入したラストワンマイルの人員と労働時間。
- ベストミライクルからラストワンマイルへ支払われた広告料、紹介料、販売手数料その他の対価。
- ラストワンマイルが負担した一件当たりの顧客獲得費用と、同社が受け取った一件当たりの利益。
- ベストミライクルが広告によって獲得した契約数、利用料、継続収益及び顧客生涯価値。
- ラストワンマイルの顧客情報、取引先情報、見込顧客情報又は営業先情報を利用した範囲。
- 広告終了後もベストミライクルへ残った顧客、契約、データ、制作物、ブランド価値及び継続収益。
- 渡辺誠氏又は渡辺氏の関係者へ帰属した株式価値、報酬、配当、顧問料その他の経済的利益。
ラストワンマイルが広告費を払い、それを上回る利益を得ているのであれば、数字を出してください。
ラストワンマイルが費用と人件費を負担し、契約と継続収益だけがベストミライクルへ残っているのであれば、一時的な広告支援ではありません。上場準備会社から渡辺オーナーの会社へ、会社資産と将来収益を移したことになります。
広告費は支出した瞬間に消えますが、獲得した月額契約と顧客基盤は、その後もベストミライクル側へ残ります。調査すべき金額は広告費だけではなく、現在まで積み上がった契約価値と企業価値です。
「渡辺オーナー」の利益相反を取締役会は承認したのか
取締役は、自分又は自分が支配する第三者の利益を優先し、在籍する会社の財産を自由に使える立場ではありません。
会社法第355条 取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
渡辺氏が忠実に職務を行うべき相手は、ベストミライクルでも、渡辺オーナー個人でもありません。株式会社ラストワンマイルです。
会社法第356条第1項 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
取締役会設置会社では、利益相反取引の承認を行う機関は取締役会です。取引後には、取引を行った取締役から重要な事実を取締役会へ報告しなければなりません。
会社法第365条第1項 取締役会設置会社における第三百五十六条の規定の適用については、同条第一項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。
同条第2項 取締役会設置会社においては、第三百五十六条第一項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。
会社法第369条第2項 前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。
取締役会へ開示すべき重要な事実は、単に「他社の商品を広告します」という一文ではありません。
- 渡辺誠氏がベストミライクルの創業者であること。
- 同社代表者が渡辺氏を「オーナー」と呼び、重要判断について指示を仰いでいたこと。
- 渡辺氏が保有又は実質的に支配する株式、議決権、契約上の権利及び利益分配。
- ラストワンマイルが負担する広告費、人件費、設備費及び機会損失。
- ベストミライクルが得る売上、契約、継続収益、顧客情報及び企業価値。
- ラストワンマイルが受け取る対価、手数料率、利益率及び取引条件の比較資料。
- 渡辺氏自身へ帰属する直接又は間接の経済的利益。
これらを開示した上で、渡辺氏を議決から外し、取締役会が取引を承認し、実績報告まで受けていたのであれば、その議事録を公表してください。
渡辺氏の紹介だから、少額だから、将来利益につながるかもしれないからという説明で会社資金を使ったのであれば、それは利益相反審査ではありません。
渡辺オーナーへの社内カンパです。
株式会社ラストワンマイルの2021年11月期有価証券報告書では、渡辺氏は取締役として掲載されていますが、関連当事者情報にベストミライクルの名称は確認できません。
開示対象であったかは、取引額、支配関係、重要性及び会計基準上の判断によって決まります。だからこそ、渡辺氏が関連当事者調査票へベストミライクルとの関係をどのように記載し、監査法人と主幹事証券が何を確認し、誰が開示不要と判断したのかを明らかにする必要があります。
会社法第423条第1項 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
ラストワンマイルが正当な対価を得ないまま広告費を負担し、ベストミライクル又は渡辺氏だけが利益を得ていたのであれば、広告費、人件費、機会損失、逸失利益の返還と損害賠償が問題になります。
行政が審査した会社と「渡辺オーナー」が支配した会社は同じだったのか
ベストミライクルが行政を騙していないというのであれば、行政へ提出した申請書、変更届、事業説明、役員・株主・実質的支配者に関する資料を示せば済みます。
問題は、登記簿に矢野寿氏の名前があったかどうかだけではありません。行政が審査した際、重要事項について渡辺氏が報告を受け、指示を出す「渡辺オーナー」であることまで伝えられていたのかです。
行政、損害保険会社、保険代理店、銀行、業界団体、取引先へ、矢野氏が独立した最終意思決定者であるかのように説明しながら、実際には渡辺氏の指示を待っていたのであれば、審査した側へ示された会社像の前提が崩れます。
確認すべき申告と説明は、次のとおりです。
- 会社設立、役員変更、株主変更及び本店移転に関する登記と、その実質的な意思決定者。
- 建設業許可の申請書、役員等一覧、経営業務管理責任者、専任技術者及び営業所の実態。
- 特定液化石油ガス設備工事事業に関する届出又は登録時の事業体制、施工者及び責任者。
- 損害保険会社、保険代理店及び再保険関係者へ提出した会社概要、株主、実質支配者、兼職及び利益相反の説明。
- 金融機関による口座開設、融資、本人確認及び実質的支配者確認へ提出した資料。
- 業界団体への加入申請で説明した経営者、資格者、営業所、施工体制及び過去の事業実績。
- 株式会社ラストワンマイルの上場審査、関連当事者調査及び反社会的勢力確認で申告したベストミライクルとの関係。
- ラストワンマイル側の広告費負担、従業員による広告実務及び渡辺氏の二重の立場を説明した記録。
行政へ提出した紙に矢野氏を代表者として記載し、実際の経営判断を渡辺氏が行うこと自体が、直ちに全て違法になるという話ではありません。
しかし、許認可、保険提携、銀行取引、上場審査において、誰が会社を実質的に支配しているかが判断へ影響するにもかかわらず、その人物を意図的に隠していたのであれば、単なる名義と実態の違いではありません。行政や取引先が、重要な事実を知らされないまま判断させられた問題です。
行政を騙していないと説明する最も簡単な方法は、「適法に運営しています」と発表することではありません。行政へ実際に何を提出し、何を説明したのかを示すことです。
事業開始は2013年、建設業許可は2023年、LPガス設備工事の登録は2025年
ベストミライクルの公式沿革には、同社の事業開始と許認可取得について、次の時系列が掲載されています。
- 2013年6月、設備管理サポート事業及び住宅設備機器販売事業を開始。
- 2017年4月、リフォーム及びLPガス販売コンサルティング事業を開始。
- 2019年9月、住宅設備保証事業を開始。
- 2019年12月、原状回復費用補填サービス及び安心入居サポート事業を開始。
- 2023年3月、建設業許可、一般建設業第156565号を取得。
- 2025年2月、特定液化石油ガス設備工事事業者登録、第6828号を取得。
- 2025年8月、東北液化石油ガス保安協議会及び一般社団法人宮城県LPガス協会へ加入。
設備販売、設備管理、リフォーム、LPガス関連事業を開始してから、建設業許可の取得までは約10年、特定液化石油ガス設備工事事業者として掲げる登録までは約12年あります。
この期間の全取引が直ちに無許可工事だったという話ではありません。実際の工事を許可業者へ委託し、ベストミライクル自身は販売、取次ぎ、管理、保証だけを担当していた案件もあるでしょう。
だからこそ、許認可取得前の案件について、抽象的に「当社は施工していません」と答えるのではなく、契約単位で役割を明らかにする必要があります。
- 許認可取得前に締結した設備販売、修理、交換、リフォーム、原状回復及びLPガス設備工事の契約一覧。
- 各契約の発注者、請負金額、工事内容、施工場所、施工時期及び実際の施工業者。
- 各施工業者が保有していた建設業許可、資格、届出及び登録。
- ベストミライクルが元請、下請、販売者、紹介者、管理者、保証提供者又は事務受託者のいずれだったのか。
- 顧客との契約書、見積書、請求書及びウェブサイトで、施工主体をどのように表示していたのか。
- 許認可が不要と判断した法的根拠、行政への照会及び専門家の意見。
- 行政へ提出した過去の施工実績や事業実績が、実際の契約内容と一致しているか。
許可を取得した2023年以降だけを見せても、2013年から2022年までの契約は説明できません。現在の許可証は、過去の全取引を遡って適法にするタイムマシンではないからです。
渡辺氏が実質的なオーナーとして事業内容、取引先、施工体制を決めていたのであれば、許認可前の事業についても「矢野代表が判断した」と切り離すことはできません。
渡辺氏は金融庁の許認可も取得済みと嘘をつき、金商法違反で書類送検されているため、この辺りの調査は網羅的に実施すべきでしょう。
損害保険会社は矢野寿氏の利益相反だけ確認し、渡辺オーナーを見落としたのか
ベストミライクルの住宅設備保証に関する公式説明では、国内大手損害保険会社と提携し、保証商品に再保険を付けていると説明されています。
また、矢野寿氏への公開インタビューでは、ある損害保険会社から、矢野氏とガス業界との利益相反を解消した後でなければ保証事業を支援できないという趣旨を伝えられたことが説明されています。
損害保険会社が矢野氏の利益相反を問題にしたことは、当然です。
それでは同じ損害保険会社や代理店は、ベストミライクルの創業者であり、重要事項の最終判断を行う「渡辺オーナー」が、株式会社ラストワンマイルの取締役を務め、その会社の金と広告基盤をベストミライクルへ使わせていたことを知っていたのでしょうか。
矢野氏の過去の勤務先との利益相反だけを厳しく確認し、渡辺氏と上場準備会社との利益相反を知らされていなかったのであれば、損害保険会社が行った審査は、不完全な会社情報を前提としていたことになります。
同じインタビューでは、ベストミライクルの住宅設備保証について、利用料金の大部分を保険会社へ保険料として納め、故障時には保険金を修理費へ充当する仕組みや、器具直販会社との共同運営によって保険の資格がなくても運営できるという趣旨が説明されています。
ここで確認すべきなのは、商品名に「保証」と書けば全ての保険募集規制から外れるのかという言葉遊びではありません。
- 保険契約者、被保険者、保険料負担者、保険金受取人及び保証サービス利用者が、それぞれ誰だったのか。
- ベストミライクル、器具直販会社、損害保険会社、保険代理店及び販売元が、それぞれ何を担当したのか。
- 顧客への商品説明、勧誘、契約締結、料金徴収、更新案内及び事故受付を誰が行ったのか。
- 保険募集に当たる行為は、登録を受けた保険募集人又は保険代理店が行っていたのか。
- 「資格がなくても運営できる」と判断した契約構造、法的意見及び損害保険会社の承認記録。
- 株式会社ラストワンマイルが、広告、顧客紹介、申込み又は契約獲得へどこまで関与したのか。
- ラストワンマイルによる広告費負担と、渡辺誠氏の実質的支配関係を、損害保険会社及び代理店へ説明したのか。
- 渡辺氏又はラストワンマイルへ、紹介料、募集手数料、販売報酬その他の金銭が支払われたのか。
損害保険会社の名称と信用は、保証商品に安心感を与える大きな看板です。その看板を使って顧客を集める以上、契約構造、募集資格、実質的支配者、販売費用の負担者を正確に説明しなければなりません。
矢野氏へ利益相反の解消を求めたのであれば、渡辺オーナーにも同じ基準を適用してください。
ベストミライクル経由の会社経費で渡辺誠氏個人にポイントまで帰属
ベストミライクルをめぐる会社資金の問題は、広告費だけではありません。
当組合が把握する事実では、本来は株式会社ラストワンマイルの経費として処理されるべき支出について、ベストミライクルや株式会社ブロードサポートを含む渡辺氏の関係会社へ一旦負担させ、渡辺氏個人名義のクレジットカードで決済する処理が反復して行われていました。
その結果、会社事業のために支出された金銭から生じるポイントやマイレージが、渡辺氏個人へ帰属していました。
この処理には、二つの利益が同時に発生します。
- ベストミライクルは、ラストワンマイル側の費用負担によって広告、顧客、契約及び売上を得る。
- 渡辺誠氏は、会社事業の支出を個人カードで決済することにより、ポイントやマイレージを得る。
- 関係会社を経由させることで、株式会社ラストワンマイルの通常の経費承認や内部監査から取引実態が見えにくくなる。
ベストミライクルの売上を増やし、渡辺氏個人のポイントも増やし、最終的な費用だけを株式会社ラストワンマイルへ戻す。これを合理的な経費処理と呼べるのは、渡辺氏の家計簿だけです。
会社経費から生じたポイントやマイレージも、経済的な価値を持ちます。渡辺氏が個人で取得し、私的に使用していたのであれば、会社への返還、役員給与又は経済的利益としての会計・税務処理、源泉所得税及び開示の適否が問題になります。
会社カードを私的利用した従業員については、減給又は解雇すればよいと研修で語りながら、自分自身は会社経費を関係会社へ迂回させ、個人カードのポイントを取得する。
従業員には事後処罰、代表者には関係会社経由のポイント優待というのであれば、内部統制ではなく身分制度です。
ベストミライクル、ブロードサポート、HOTEL STUDIOに共通する別法人マジック
ベストミライクルの問題を単独で見ると、一社分の広告費と利益相反だけに見えるかもしれません。
しかし、直近までに確認してきた渡辺誠氏をめぐる問題と並べると、共通する手法が浮かびます。
- ベストミライクルでは、外部法人の形を使い、ラストワンマイルの広告費と事業基盤を渡辺オーナー側へ利用した。
- 株式会社ブロードサポートでは、別法人を経由する形で、33か月間に約4,620万円の資金流出が行われた。
- 株式会社HOTEL STUDIOでは、一つの工事を複数の請求書へ分割し、違法性を指摘された後に記録と説明を整えようとした。
- 大株主との関係では、問題が起きても大株主が後始末をするため、自分は命令を受けただけのサラリーマン社長だと説明した。
法人を分ける。請求書を分ける。支払経路を分ける。名義上の代表者と実際の意思決定者を分ける。そして問題が起きれば、責任まで分けようとする。
しかし、費用を負担した会社、利益を得た会社、最終判断をした人物をつなげれば、分割された全ての線は渡辺氏へ戻ります。
別媒体である「オカミのユニオン」の検察ユニオンが公開した馬見塚メモの記事では、資料の表題に「株式会社ラストワンマイルグループによる不正全体図」と記載されています。
検察と国税が、本当にラストワンマイル周辺の資金、関連法人、実質的支配者を追っているのであれば、ベストミライクルを調査対象から外す理由はありません。
株式会社Nの投資家には、名義と実態、資金の流れ、最終受益者を厳しく尋ねながら、上場会社の取締役が「渡辺オーナー」と呼ばれる外部会社へ会社資金を使った問題を調べないのであれば、国税と検察が追っているのは金ではありません。
自分たちが作った筋書きへ入れやすい人物だけです。
ラストワンマイルとベストミライクルの関係者が保全すべき記録
本件では、渡辺誠氏の指示を業務命令だと受け止め、広告、制作、経費処理、顧客対応を行った従業員だけが、後から取引の実行者として責任を負わされる危険があります。
誰が取引を設計し、誰が予算を承認し、誰が利益を得たのかを明らかにするため、次の記録を保存する必要があります。
- ベストミライクルに関する広告、販売、紹介、業務委託その他の契約書及び覚書。
- 広告費、制作費、運用費、システム費、外注費及び人件費の予算・実績資料。
- 広告アカウント、管理画面、掲載期間、入稿内容、成果報告及び請求記録。
- ベストミライクルへ紹介又は送信された顧客情報、問い合わせ情報及び契約情報。
- 渡辺誠氏、矢野寿氏、株式会社ラストワンマイル役員その他の間のメール、チャット、通話及び会議記録。
- 矢野氏が「渡辺オーナー」と説明し、渡辺氏の指示を待っていた記録。
- 取締役会、経営会議、関連当事者審査及び利益相反審査の議事録・決裁記録。
- 渡辺氏が提出した関連当事者調査票、兼職届、株式保有届及び利益相反申告。
- ベストミライクルの株主名簿、株式譲渡契約、議決権委任、買戻し合意及び担保設定。
- 損害保険会社、保険代理店、銀行、行政機関及び業界団体へ提出した会社・支配関係の説明資料。
- 2013年から各許認可取得までに締結した工事、設備販売、修理、保証及びLPガス関連契約。
- ベストミライクル、ブロードサポートその他の関係会社を経由した経費、個人カード決済、ポイント及びマイレージの記録。
- 問題発覚後に行われたデータ削除、説明変更、議事録修正、契約書の差替え又は口裏合わせの指示。
会社の原本を改変したり、説明を他人と合わせたりする必要はありません。自分が実際に見聞きしたこと、指示されたこと、処理したことを独立して整理することが、従業員自身と会社を守ります。
渡辺誠氏・矢野寿氏・ベストミライクルへの公開質問
渡辺誠氏への公開質問
- 2020年後半から2021年前半にかけて、株式会社ラストワンマイルの広告費及び事業基盤を使い、ベストミライクル株式会社の商品を宣伝させましたか。
- 広告に使用したラストワンマイルの費用、人員、媒体、システム及び顧客情報の総額と範囲を明らかにしてください。
- ベストミライクルから株式会社ラストワンマイルへ支払われた対価、紹介料、販売手数料及び利益を明らかにしてください。
- 矢野寿氏から「渡辺オーナー」と呼ばれ、重要事項について報告を受け、指示を出していましたか。
- 2020年から2021年当時、ベストミライクルの株式、議決権、利益分配権、買戻し権、担保権その他の経済的権利を保有していましたか。
- 2018年前後に「すべての会社を売却した」とする一方、売却後も「渡辺オーナー」として意思決定した理由を説明してください。
- ベストミライクルとの取引について、株式会社ラストワンマイルの取締役会へ実質的支配関係と全ての利益を開示しましたか。
- 取締役会による利益相反取引の審議と決議から、自らを除外しましたか。
- 関連当事者調査票、兼職届、株式保有届及び上場審査資料へ、ベストミライクルとの実際の関係を記載しましたか。
- 行政、損害保険会社、保険代理店、金融機関及び業界団体へ、自らが実質的オーナーであることを説明しましたか。
- ベストミライクル又はブロードサポートを経由して会社経費を個人カードで決済し、ポイントやマイレージを取得しましたか。
- 取得したポイント、マイレージその他の経済的利益を株式会社ラストワンマイルへ返還しましたか。
- 本件に関する株式、契約、口座、広告、経費、行政申請及び損害保険会社との記録を、独立した第三者調査へ提出しますか。
矢野寿氏・ベストミライクル株式会社への公開質問
- 矢野寿氏は、渡辺誠氏を「渡辺オーナー」と呼び、重要事項について同氏の確認と指示を受けていましたか。
- 渡辺氏がベストミライクルの最終意思決定者だった期間と、具体的な権限を明らかにしてください。
- ベストミライクルの現在及び過去の株主、実質的支配者、議決権行使者、貸付人及び利益受領者を明らかにしてください。
- 株式会社ラストワンマイルが負担した広告費、人件費、制作費及びシステム費の総額を把握していますか。
- 同社から提供された広告、顧客、契約、データ及びその他の利益に対し、ベストミライクルはいくらを支払いましたか。
- 行政、損害保険会社、保険代理店、金融機関及び業界団体へ、渡辺氏の実質的支配を説明しましたか。
- 建設業許可及び特定液化石油ガス設備工事事業者に関する申請・届出で、実際の経営者、営業所、技術者、施工体制を正確に申告しましたか。
- 各許認可取得前に受注した工事、修理、交換、リフォーム及びLPガス関連案件を一覧化できますか。
- 住宅設備保証について、保険募集、料金徴収、契約締結、更新案内及び事故受付を誰が担当しましたか。
- 「保険の資格がなくても運営できる」という仕組みについて、損害保険会社又は保険代理店から正式な法的確認を得ていますか。
- 株式会社ラストワンマイル、ベストミライクル、渡辺誠氏個人カードの間で行われた全ての経費精算とポイント取得を明らかにしてください。
- 本件に関する全ての申請書、契約書、会計記録、メール、チャット及びカード明細を保全していますか。
株式会社ラストワンマイル取締役会・監査等委員会への公開質問
- 取締役会は、渡辺誠氏がベストミライクルの創業者かつ実質的オーナーであることを把握していましたか。
- ベストミライクル代表者が渡辺氏を「オーナー」と呼び、重要事項について指示を受けていた事実を調査しましたか。
- 株式会社ラストワンマイルがベストミライクルの広告費、制作費、人件費その他を負担した事実を把握していますか。
- 本件を利益相反取引として取締役会で審議し、渡辺氏を議決から除外しましたか。
- 承認した場合、取引条件、会社側の利益、広告費上限、手数料率及び審議資料を明らかにしてください。
- 取引後、渡辺氏から会社法第365条第2項に基づく重要事実の報告を受けましたか。
- 関連当事者調査票と有価証券報告書に、ベストミライクルとの関係及び取引を記載しなかった理由を明らかにしてください。
- 上場審査時、主幹事証券、東京証券取引所及び会計監査人へ本件を報告しましたか。
- ベストミライクルやブロードサポートを経由した個人カード決済とポイント取得を調査しましたか。
- 行政又は損害保険会社へ提出された資料に、渡辺氏の実質的支配関係が正確に記載されていたか確認しましたか。
- 会社に損害が生じている場合、渡辺氏、ベストミライクルその他の受益者へ返還及び損害賠償を求めますか。
- 現在の代表取締役である渡辺氏を、本件調査の委託先選定、証拠管理、関係者聴取及び調査結果承認から外しますか。
- 本件を知る従業員、元従業員、取引先及び調査協力者への探索、口止め、不利益取扱いを禁止しますか。
- 調査結果、会社負担額、ベストミライクルの利益、最終受益者、返還額及び役員処分を市場へ公表しますか。
損害保険会社・行政機関・東京証券取引所への公開質問
損害保険会社・保険代理店への公開質問
- ベストミライクルとの提携、保険契約又は再保険関係を開始する際、同社の実質的支配者を確認しましたか。
- 渡辺誠氏が同社の創業者であり、「渡辺オーナー」として重要事項の指示を行っていたことを把握していましたか。
- 渡辺氏が株式会社ラストワンマイルの取締役であり、同社の広告費がベストミライクルのために使用されていたことを把握していましたか。
- 矢野寿氏に関する利益相反だけでなく、渡辺氏と株式会社ラストワンマイルとの利益相反を審査しましたか。
- 顧客への説明、勧誘、契約締結、料金徴収、更新及び事故受付を、登録を受けた保険募集人が行っていたか確認しましたか。
- 資格を持たない事業者でも運営できるとした契約構造について、保険業法上の適法性を確認した記録を保有していますか。
- 不完全又は事実と異なる会社情報に基づいて提携判断が行われていないか、再調査しますか。
許認可行政庁・業界団体への公開質問
- ベストミライクルが建設業許可その他の申請・届出を行った際、渡辺誠氏の実質的支配関係を把握していましたか。
- 申請書に記載された役員、経営管理責任者、技術者、営業所及び施工体制が、実際の事業運営と一致していたか確認しますか。
- 許認可取得前に同社が受注した工事、リフォーム、設備交換及びLPガス設備工事を調査しますか。
- 同社が元請又は施工主体でありながら、許可業者による施工又は単なる取次ぎであるように説明した案件がないか確認しますか。
- 行政への申請、届出又は業界団体への加入資料に事実と異なる記載が確認された場合、許認可、登録及び会員資格を再審査しますか。
- 株式会社ラストワンマイルの資金、人員及び顧客基盤がベストミライクルの事業実績として利用されていないか確認しますか。
東京証券取引所・証券取引等監視委員会への公開質問
- 株式会社ラストワンマイルの上場審査時、渡辺誠氏とベストミライクルとの実質的な支配関係及び取引を把握していましたか。
- ラストワンマイル側の広告費負担と、ベストミライクル側に帰属した利益を関連当事者取引として審査しましたか。
- 渡辺氏が「すべての会社を売却した」と説明する一方、売却後も「渡辺オーナー」として指示を行った事実について、上場審査資料との整合を確認しますか。
- 関連当事者情報、有価証券報告書、内部統制報告書又はコーポレート・ガバナンス報告書に、不記載又は不正確な記載がないか調査しますか。
- ベストミライクル、ブロードサポート、HOTEL STUDIOその他の関係会社取引を横断し、同一の実質支配者と利益帰属を確認しますか。
ラストワンマイル労働組合が求める措置
- 株式会社ラストワンマイルは、本件を直ちに取締役会及び監査等委員会の正式議題とすること。
- 渡辺誠氏及び本件へ関与した役員を、調査委託先の選定、証拠管理、関係者聴取及び調査結果の承認から外すこと。
- 会社から独立した弁護士、公認会計士、保険業法及び建設業法の専門家、デジタル調査専門家による第三者調査を行うこと。
- 株式会社ラストワンマイルがベストミライクルのために負担した全ての広告費、人件費、制作費、設備費及び機会損失を算定すること。
- ベストミライクルが得た顧客、契約、売上、継続収益及び企業価値を算定し、会社負担との対応を検証すること。
- 渡辺誠氏によるベストミライクルの株式、議決権、指揮命令、利益分配その他の実質的支配を明らかにすること。
- 関連当事者取引の承認、取引後報告、会計処理及び有価証券報告書等の開示を再検証すること。
- 行政、損害保険会社、保険代理店、金融機関、業界団体及び上場審査へ提出された全資料を相互に照合すること。
- 許認可取得前に行われた工事、設備交換、リフォーム及びLPガス設備関連案件を全件調査すること。
- 住宅設備保証の勧誘、契約、料金徴収及び事故対応について、保険業法上必要な登録と資格を確認すること。
- ベストミライクル及びブロードサポートを経由した経費処理、個人カード決済、ポイント・マイレージの取得を全件調査すること。
- 正当な対価なく会社資産が利用された場合、渡辺氏、ベストミライクルその他の受益者へ返還と損害賠償を求めること。
- 会計、税務、許認可、保険募集又は上場開示に誤りが確認された場合、関係当局へ報告し、必要な訂正を行うこと。
- 本件を知る従業員、元従業員、取引先及び調査協力者への探索、口止め、異動、降格、解雇その他の報復を禁止すること。
- 調査結果、会社負担額、受益者、返還額、訂正内容、役員処分及び再発防止策を、従業員、株主、取引先及び市場へ公表すること。
責任を負うときはサラリーマン、利益を受けるときは渡辺オーナー
渡辺誠氏は、株式会社ラストワンマイルでは、大株主から命令を受けて動くサラリーマン社長だと説明しています。
しかし、ベストミライクルでは、登記上の代表取締役から「渡辺オーナー」と呼ばれ、重要事項について報告を受け、指示を出していました。
その渡辺オーナーの会社を宣伝するために、株式会社ラストワンマイルの金、広告基盤、人員及び信用が使われました。さらに、関係会社を経由した会社経費の決済から、渡辺氏個人へポイントやマイレージまで帰属していました。
行政と損害保険会社へは、矢野寿氏が代表する独立した会社として説明し、実際には渡辺オーナーが最終判断をしていたのであれば、表の会社説明と裏の指揮命令が一致していません。
事業開始から許認可取得までの長い期間についても、現在の許可証を掲げるだけでは説明になりません。誰が契約し、誰が施工し、誰が顧客へ説明し、誰が保険募集を行ったのかを、案件ごとに明らかにしてください。
ベストミライクルが正当な独立会社であり、株式会社ラストワンマイルとの取引が公平だったのであれば、株主名簿、取締役会議事録、広告契約、収支、行政申請、損保との契約を公開すれば済みます。
それを示さず、「渡辺オーナー」という実態だけが残るのであれば、会社を売却したという説明も、利益相反はなかったという説明も、行政へ正しく申告したという説明も成立しません。
株式会社ラストワンマイルは、渡辺誠氏の個人会社を育てるために上場したのではありません。そこで働く労働者、会社へ投資した株主、取引先及び顧客のために運営される会社です。
責任を負うときだけサラリーマンへ戻り、利益を得るときだけオーナーになることはできません。
渡辺オーナーが受けた利益を、ラストワンマイルの帳簿、ベストミライクルの契約、行政へ提出した書類から、全て明らかにしてください。
