【ラストワンマイル労働組合】渡辺誠氏の「提訴宣言」が幹部から流出

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他社の上場廃止を語る前に、自社の開示準備はできていますか

ラストワンマイルの幹部から、またもや内部通報が寄せられました。株式会社ラストワンマイルの代表取締役会長兼CEO・渡辺誠氏が、特定の個人に対して訴訟を仕掛けたと幹部へ宣言し、その狙いや相手に突き付けるという問題点まで、具体的に説明していたとのことです。

他社を上場廃止へ追い込むための構想については、ずいぶん熱心な社内説明があるようです。では、その説明に次々と登場するラストワンマイルの元幹部、上場実務担当者、そして渡辺氏自身の関与について、自社の取締役会と監査等委員会には、どこまで報告しているのでしょうか。相手を追及する準備と、自分たちが説明する準備は、同じ会議室で進めても差し支えないはずです。

幹部へ語られた提訴と、齊藤悟志氏についての具体的な説明

幹部から寄せられた情報によれば、渡辺氏は、中野爵喜被告をめぐる脱税・詐欺事件の起訴状を入手し、それを使って特定企業へ開示を迫り、上場廃止へ追い込むという構想を語っていたとのことです。今回の情報では、さらに特定のラストワンマイル幹部について、役員としての欠格性や書類の虚偽性を問題にする趣旨の説明を行い、その具体的な内容まで幹部に伝えていたといいます。

その説明の中で名前が挙がったのが、ラストワンマイルの上場実務を担い、中野氏及び渡辺氏とともにエンジェル税制を利用した投資の勧誘・説明を主導してきたと当組合が把握する、公認会計士の齊藤悟志氏です。幹部からの情報では、渡辺氏は齊藤氏について、次のような経緯を具体的に述べていたとのことです。

  • 投資を勧めた元幹部から着手金を受け取ったものの、実際には約束した実務を行わなかったこと。
  • そのため責任を追及され、受領した着手金を返還したこと。
  • 東京国税局、横浜地方検察庁、熊本国税局、鹿児島地方検察庁による調査・捜査に関係し、押収や繰り返しの質問を受けた経緯があること。
  • これらについて、客観的な裏付けがある人物・事案だという趣旨の評価。

ここで伝えているのは、渡辺氏が幹部へ行ったという説明です。だからこそ、渡辺氏には、その説明の根拠と、自分自身がいつから何を知っていたのかを、同じ具体性で示していただきたいと思います。齊藤氏の問題を細部まで説明できるほど事情を把握しているのであれば、自社の監査機関に報告する材料も、相応にそろっているはずです。

当組合は以前から、渡辺氏が幹部に対して、他社や特定の人物への仕掛けを語っていたという内部通報を取り上げています。今回必要なのは、さらに大きな予告ではなく、実際に行った手続と、会社としての意思決定の説明です。

米国企業の上場廃止を語るなら、適用規則と時系列も用意してください

今回寄せられた情報では、渡辺氏が問題にしている取引や行為は、攻撃対象とする企業が米国市場へ上場する前の出来事に関わるとのことです。その場合、行為があった時期、会社が認識した時期、上場申請時の説明、その後の手続と現在の会社への影響を、それぞれ整理する必要があります。

米国の証券開示制度を検討する場面に、日本の適時開示についての印象をそのまま持ち込んでも、結論は出ません。例えば、外国企業の上場申請に用いるSECのForm F-1は、Form 20-Fの開示事項を参照しています。Form 20-FのItem 8.A.7も、会社の財政状態や収益性に重大な影響を及ぼし得る訴訟等を対象としています。

問われるのは、対象企業にどの規則が適用され、どの事実が重要で、どの書類に何が記載され、何が欠けているというのか、という点です。上場前の出来事かどうかは、その検討に必要な時系列の一部です。「起訴状を持っている」という説明だけでは、その作業の代わりにはなりません。

相手の書類が虚偽だと指摘するなら、書類名、該当箇所、事実と異なる点、適用される基準を示してください。役員の欠格性を指摘するなら、誰のどの行為が、どの資格要件に、いつ抵触するというのかを示していただきたいと思います。結論だけ国際展開し、根拠は国内の口頭説明に置き忘れてきたのでは、上場会社の事業計画としても心許ないものです。

齊藤氏を問題視する説明は、渡辺氏自身の関与へ戻ってきます

幹部からの情報を踏まえると、今回の話は、ラストワンマイルと無関係な人物の過去を渡辺氏が偶然知ったという構図ではありません。齊藤氏は同社の上場実務に関わり、中野氏や元幹部らを含む関係を築くうえでは、渡辺氏自身の紹介や関与があったと当組合は把握しています。

さらに、渡辺氏自身も国税当局の調査を受け、中野氏及び齊藤氏と説明を合わせる、いわゆる口裏合わせを行ったという情報も伝えられています。何を聞かれ、何を答え、二人と何を相談したのでしょうか。事実確認のための相談だったのでしょうか。それとも、事実と異なる説明をそろえるための調整だったのでしょうか。その具体的な内容こそ検証対象になります。

当組合が把握する問題には、ラストワンマイルの上場申請期における取引や関係者の関与と重なる部分があります。取引が行われた時期と、後から調査を受けた時期を分けたうえで、当時の上場審査への回答や、その後の会社説明と突き合わせる必要があります。

齊藤氏について「客観的な証拠がある」と幹部へ説明するのであれば、その資料は、自分の訴訟に都合のよい部分だけを読むためのものではありません。ラストワンマイルの上場実務、渡辺氏の指示、関係者の役割についても、同じ基準で確認すべきです。登場人物を自ら紹介しておきながら、問題が表面化した場面だけ第三者の解説席へ移動するという構成には、説明が必要です。

日本の開示基準は、ラストワンマイル自身にも適用されます

ラストワンマイルは、日本の上場会社として、自社に関する重要な事実を検討する立場にあります。東証の上場規程第402条第2号xは、会社の運営、業務、財産等に関する重要な事実のうち、次の要件を満たすものについて開示を求めています。

「投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」

東証の公式説明も、事実の内容や影響を踏まえ、実質的に判断するよう求めています。つまり、会社が確認すべきなのは、誰かが逮捕されたかという一点だけではなく、会社の事業、財産、統治、既存の説明へどのような影響が及ぶかという点です。

渡辺氏が幹部へ語る内容に、自社の上場実務担当者や元幹部の行為、国税調査、書類の虚偽性、役員としての適格性が含まれるのであれば、それらを会社としてどう調査し、監査等委員会や会計監査人へ何を伝えたのかを説明してください。必要に応じた東証への相談と、開示するか否かの判断記録も、その説明に含まれます。

他社には開示を求め、自社については個人の問題と整理するのであれば、その違いを事実と基準で示せばよいのです。既に検討を終えているのであれば、対象範囲と結論を示せばよいのです。他社に要求する説明の詳しさと、自社が提供する説明の詳しさが、反比例する理由はありません。

元幹部の刑事報道を想定するなら、自社の対応も準備できていますか

渡辺氏が描く展開どおり、仮に元幹部らの逮捕や起訴が報じられる局面になったとしましょう。その際、報道の中に「ラストワンマイルの元幹部」「上場実務に関与した人物」という説明が登場した場合、会社は何を確認し、誰が説明するのでしょうか。渡辺氏がそこまで重大な展開を想定しているのであれば、自社への影響も当然、検討しているはずです。

当組合が求めるのは、誰かの逮捕を期待することではなく、そのような展開を経営者が語る会社としての準備です。会社が備えるべき事項は、少なくとも具体的に挙げられます。

  • 問題となる人物の在籍期間、職務、権限、対象取引を確認し、会社の関与と個人の行為を整理する体制。
  • 関係者が調査や訴訟対応に時間を取られる場合の、業務と決裁の代替体制。
  • 過去の上場審査資料、会計資料、契約、業務上の連絡を保全し、独立した立場で検証する体制。
  • 従業員、取引先、株主からの問い合わせに対応し、開示の要否を速やかに判断する体制。

「自分の仕掛けが動いた」と説明する準備だけでは足りません。その仕掛けに自社の関係者が登場するのであれば、会社への質問も同時に増えます。「相手を追い込む計画書」はあるのに、「自社が質問されたときの対応表」はないというのでは、危機管理まで相手任せになってしまいます。

渡辺誠氏、取締役会、監査等委員会への公開質問

ラストワンマイル労働組合は、幹部から寄せられた情報について、次の点を質問します。個人への攻撃の成果ではなく、会社として確認できる事実と判断を示してください。

  1. 渡辺氏が幹部へ説明した訴訟について、実際の提訴の有無、原告が個人か法人か、請求の概要及び会社としての関与を説明できますか。会社が費用又は人員を負担している場合、その目的と承認手続は何ですか。
  2. 齊藤悟志氏の着手金受領、業務不履行、返還、押収及び質問の経緯について、渡辺氏は何を根拠に説明したのでしょうか。その情報を監査等委員会と会計監査人へ報告し、事実確認を求めましたか。
  3. 渡辺氏自身が国税調査に際して中野氏・齊藤氏と説明を調整したという情報について、会社は、実際の連絡内容、当局への回答及び原資料の整合性を検証しましたか。
  4. 元幹部らの行為について、ラストワンマイルの上場申請期の職務・取引・審査回答と突き合わせましたか。現在の経営陣自身の指示、承認、紹介及び利益の有無も、同じ調査対象としていますか。
  5. 対象企業の米国での開示義務や役員資格を問題にする際、どの規則、時点、提出書類、事実認定に基づいて判断したのでしょうか。その評価を行った者は、訴訟の当事者から独立して確認できる立場にありますか。
  6. 本件の自社への影響について、取締役会、監査等委員会及び情報取扱責任者は、いつ、何を検討しましたか。刑事報道等が生じた場合の説明、業務継続、従業員保護、東証への相談及び開示判断の体制は整っていますか。

会社のリソースを使うなら、監督まで会社一体でお願いします

日本取引所自主規制法人の「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」は、問題の根本原因を調べ、調査の独立性・中立性を確保し、必要な情報を迅速・的確に説明することを重視しています。会社一体の対応とは、経営者の言葉に全員で拍手をすることではなく、調査、監督、説明をそれぞれの担当者が果たすことです。

当組合は、会社の資金・人員が本件へ投入されているという情報について、次の対応を求めます。

  1. 訴訟の目的、会社の利益、予算、委任契約及び人員配置を整理し、渡辺氏個人の利益と会社の利益が重なる部分について、独立した監督を行ってください。
  2. 齊藤氏、中野氏、元幹部らだけでなく、渡辺氏及び現経営陣の関与も検証範囲に含め、上場審査資料とその後の会社説明の整合性を確認してください。
  3. 調査協力者への不利益取扱いを防ぎ、会社としての調査結果と開示判断について、必要な範囲で株主・従業員へ説明してください。

当時の投資説明、委託した仕事、返金の経緯、会社から受けた指示について事情を知る人は、適法に保有する記録を、日付と前後の経緯が分かる状態で残してください。誰かの自信に満ちた説明より、何を依頼し、誰が実行し、どこへ報告したかを示す記録の方が、会社の実態を明らかにします。

せっかく会社のリソースを使って訴訟に取り組むのであれば、どうぞマネジメントも最後までやり遂げてください。予算は会社、作業は幹部、成果は渡辺氏個人、説明責任だけは担当者不在という配分では困ります。

他社へ向ける追及の熱量を、自社の調査と開示にも向けてください。その意味であれば、当組合も申し上げます。会社一体となって、しっかり頑張ってください。監査等委員会まで観客席に置かないことを、どうかお忘れなく。

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