【ラストワンマイル労働組合】馬見塚メモと録音の公開を望む渡辺誠氏へ

目次

幹部から届いた「公開要求」と、職場の不安

ラストワンマイルの幹部から、さらに情報提供がありました。渡辺誠氏本人が、馬見塚メモの公開と、自らの脅迫的言動として問題視されている発言の録音の公開を迫り、強く望んでいるとのことです。公開を求めるのであれば、その内容について説明する準備も整っているのでしょう。

一方、同じく幹部から寄せられた情報には、会社への強い不安を訴え、精神的に不調となり、退職を考えている幹部がいるという内容も含まれています。経営者は公開と裁判に意欲を示し、働く側は会社を離れることを考えています。このすれ違いを、取締役会は単なる個人間の言い争いとして処理できるのでしょうか。

公開してほしいというなら、何を認め、何に反論するのですか

幹部からの情報によれば、渡辺氏は馬見塚メモだけでなく、自身の発言を記録した録音についても、公開を求めているとのことです。当組合が問題にしてきたのは、発言の刺激の強さだけではありません。誰に何を求め、応じなければ何をすると伝えたのか、その際に会社の役職、人員、信用が使われたのかという点です。

渡辺氏が公開を望むのであれば、どの発言を自らのものと認め、どの部分に異議があり、前後の文脈をどう説明するのかを示してください。馬見塚メモについても、どの版のどの記載を事実として採用し、どこを否定するのかが必要です。単に公開を要求することと、記載内容や発言に責任を持って答えることは、別の作業です。

公開の対象には、第三者の個人情報や捜査・裁判に関わる情報が含まれ得ます。本人が公開を希望することは、自分以外の人の情報まで一括して処分できる権限を意味しません。公開を論じるなら、必要な範囲と説明責任をセットにしていただきたいと思います。

資料を出せと大きな声で求める一方、自分の説明は小さな声で済ませるという公開方式を、当組合は想定していません。公開を望むほど自信があるのであれば、回答にも同じ音量を期待しています。

「インサイダー情報」と呼びながら、なぜ幹部へ広めるのですか

幹部からの情報では、渡辺氏は、入手したという起訴状に関係する情報をインサイダー情報と位置付けながら、その内容を幹部へ具体的に伝えているとのことです。自ら市場に重大な影響を与える秘密だと評価するのであれば、まず説明していただきたいのは、その情報を扱う社内手続です。

どの会社の、どの未公表事実を指しているのでしょうか。既に公になっている内容と、まだ公になっていない内容をどう区別し、共有する相手をなぜ選び、何の業務上の必要から伝えたのでしょうか。対象市場と適用法を確認し、情報管理の担当者へ相談したのでしょうか。こうした確認を抜きに、本人が呼び名を付けるだけでは、法的な評価にはなりません。

日本の上場会社としての情報管理について、JPXの公式説明は、適時適切な開示、未公表情報の適切な管理、役職員による規制の理解を重視しています。重要情報だと考えるなら、必要な相手へ管理された経路で伝え、利用と共有を統制する必要があります。それが会社に求められる対応です。

渡辺氏の発言について問うべきなのは、重要だという情報を知っていることの自慢ではなく、その情報をどう管理したかです。役職員や関係者の売買、取引推奨との関係があるなら、それも別途確認すべき事項になります。「秘密を持っている」という社内向けの演出を、情報管理規程の代わりにしては困ります。

国税・検察から入手したという説明は、どの経路を指しているのですか

渡辺氏が幹部へ語ったとされる情報の入手経路も、そのままにはできません。国税や検察から起訴状に関係する情報を得たというのであれば、何を、いつ、どの立場で、どのような手続を通じて得たのかを説明してください。

この点については、別媒体「オカミのユニオン」の検察ユニオンも、ラストワンマイル幹部・渡辺氏の秘書からの内部通報を基に、起訴状情報の入手経路を問題提起しています。そこで伝えられているのも、渡辺氏が社内で語ったという説明であり、実際の取得経路は、具体的な記録に基づいて確認する必要があります。

公開された内容、訴訟関係者から適法に提供された資料、国税・検察内部の非公開情報は、別々に整理すべきものです。起訴状の写しを持っていることだけで当局からの違法な漏洩が証明されるわけではありませんが、当局由来の秘密であることを自ら強調しているのであれば、その説明の裏付けを求められるのは当然です。

会社は、資料の名称だけでなく、取得した版、取得日、提供者の立場、利用条件、共有範囲を確認したのでしょうか。国税又は検察からの職務上の提供を意味する説明なのであれば、当該機関に対する事実確認も必要になります。当局名を挙げることで話に重みを持たせながら、取得手続を問われた途端に説明を省略するのでは、情報の信用を自分で支えられません。

他人の情報管理には厳しく、自分の情報の出所は口頭説明だけです。そんな取扱説明書を、上場会社の幹部へ配るつもりなのでしょうか。

幹部から「怖い」「辞めたい」の声。会社の安全方針は機能していますか

今回の幹部からの情報には、「反社の会社は怖い」という受け止めまで伝えられています。これは幹部が表明した恐怖の言葉であり、当組合が会社の属性を認定することとは区別されます。ここで経営陣に答えていただきたいのは、働く人がそのような言葉で不安を表すに至った具体的な言動と、それに対する会社の対応です。

精神的な不調や退職意向が伝えられていることを、忠誠心の不足で片付けてはいけません。誰かへの訴訟や上場廃止の話を繰り返し聞かされ、自分も巻き込まれるのではないかと感じている人がいるなら、会社は、その不安を聞き取る必要があります。退職届が出てから人員補充を考えるだけでは、原因に向き合ったことにはなりません。

ラストワンマイルは、反社会的勢力との関係遮断に関する基本方針を公表し、組織的な対応や従業員の安全確保を掲げています。会社に対する不安が社内から出ているのであれば、その方針に照らして、何を調べ、どう安心を回復するかを説明すべきです。方針の掲載場所を案内することと、従業員の安全を確保することは、同じ仕事ではありません。

労働者に当たる役職員について、労働契約法第5条は次のように定めています。

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

厚生労働省の解説では、この安全には心身の健康も含まれます。会社には、本人の意向に沿った産業保健上の支援、負担の原因となる業務や指示系統の見直し、安心して相談できる経路の確保を求めます。訴訟の準備で忙しいので社員の不調は後回し、という優先順位を、労働組合が受け入れることはありません。

渡辺誠氏と取締役会・監査等委員会への公開質問

公開を望み、裁判を進めるというのであれば、まず会社として答えられる事項から説明してください。当組合は次の点を質問します。

  1. 渡辺氏は、馬見塚メモ及び自身の発言の録音について、公開を求めましたか。どの資料・発言を指し、そのうち何を認め、何に反論するのでしょうか。
  2. 国税・検察から入手したと説明する情報について、実際の取得経路、提供者の立場、取得時点及び利用条件を、会社の監督機関へ示していますか。公開情報と非公開情報をどう区別しましたか。
  3. インサイダー情報に当たると判断した根拠は何ですか。どの発行会社のどの事実を対象とし、どの市場・法令に基づいて評価したのでしょうか。幹部への共有目的と必要性を、誰が確認しましたか。
  4. 情報の取得・保管・共有、他社への連絡及び訴訟準備に、会社の人員、設備、勤務時間、費用を使用していますか。会社としての目的と承認、個人の利益との区分を説明できますか。
  5. 幹部から伝えられている強い不安、精神的不調、退職意向について、取締役会と監査等委員会は把握していますか。本人が不利益を恐れずに説明できる聞き取りと、必要な支援を実施していますか。
  6. 渡辺氏自身の言動が検証対象となる事項について、同氏から独立した確認経路を確保していますか。情報管理、職場環境、会社費用の使用を横断して調べ、その結果をどのように説明する予定ですか。

組合が求めるのは、公開合戦より先に働く人を守ることです

録音の公開や裁判の進行が、働く人の安全を後回しにする理由にはなりません。ラストワンマイル労働組合は、幹部からの情報提供を受け、会社に次の対応を求めます。

  1. 経営者の個人的な対立に役職員を巻き込む指示がないかを調べ、会社業務として必要な対応と、それ以外を区分してください。問題を申告した人を、調査や人事で不利益に扱わないでください。
  2. 起訴状関連情報や録音等の取得・共有・利用の経緯を保全し、監査等委員会が独立して確認できる状態を確保してください。情報提供者を探すことではなく、経営者自身の情報管理を検証してください。
  3. 不安や不調を訴える役職員に対し、本人の意向を尊重した相談、産業保健支援、業務上の負担軽減を行い、職場環境の原因調査と改善を進めてください。

仕事上の発言や指示によって不安を感じている人は、適法に保有する記録と、自分が見聞きしたことを、日時と経緯が分かる形で残してください。社内で相談しにくい場合には、当組合への相談のほか、厚生労働省「こころの耳」の相談窓口案内から、仕事や心の健康についての外部窓口を確認できます。経営者の対立を、働く人が一人で抱え込む必要はありません。

会社が守るべきものは、幹部会で披露された筋書きの体面ではなく、働く人の生活と会社の信頼です。資料の公開には積極的なのに、職場の不安には消極的という透明性の使い分けは、監査等委員会にこそ見直していただきたいものです。

裁判の予告編より、渡辺氏自身の説明を待っています

渡辺氏が公開を望むというのであれば、注目すべきなのは、録音の再生そのものだけではありません。発言の意味、馬見塚メモの扱い、起訴状情報の入手経路、会社の費用と人員、そして幹部が恐怖や退職意向を口にする職場について、どのような説明が示されるかです。

他人に説明を求めるための訴訟であっても、自分の発言と会社の判断が、質問から免除されるわけではありません。大きく宣伝するのであれば、見られるのは相手側だけだと思わない方がよいでしょう。取締役会も監査等委員会も、どうぞ内容をよく確認したうえで臨んでください。

公開を望む声は幹部を通じて届きました。次に届いてほしいのは、威勢のよい予告ではなく、根拠と記録を伴う説明です。その説明まで含めて、渡辺氏が仕掛けるという裁判に、どうぞご期待ください。

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