中野爵喜氏らの指示系統と資金の行方を問います
事業への協力を求め、組合員には業務として働くよう命じる。ところが、事業が実を結び、助成金が入金された後も、協力した外注先や出向関係者への約定した支払いが行われない。間柴医院ユニオンに、医療法人新正会と有限会社間柴メディカルサービスの助成金事業をめぐる、重大な申告が寄せられています。
申告したのは、給与未払いとハラスメントの被害を訴えている組合員です。その説明によれば、カンボジアにいた中野爵喜氏から労務全般のサポートを命じられ、その一環として、両法人の助成金事業に関する雑務も従業員として担当していました。しかし、入金後になっても約定した支払いは履行されず、中野氏が保坂美紀氏、田中継一郎氏と結託し、支払いを求める連絡を無視していると訴えています。
当組合が問うのは、支払いが遅れているという結果だけではありません。誰が事業を指揮し、誰が協力を取り付け、誰が入金を把握し、誰の判断で支払いが行われていないのか。そして、受け取った資金はどこにあり、何に使われたのか。契約上の支払義務を追及するとともに、医療法人や関係者を利用した組織的な資金獲得・処分の実態がないか、捜査機関による確認を求めることを検討します。
中野爵喜氏からの業務命令。組合員は労務サポートの一環として補助作業を担当していました
今回の経緯を理解するうえで重要なのは、組合員が、どの立場で、誰の指示を受けて仕事をしていたのかという点です。組合員の説明では、労務全般をサポートするよう命じたのは、当時カンボジアにいた中野爵喜氏でした。助成金事業に関する雑務も、この業務命令の一環として担当していたということです。
事業の対象となった医療法人新正会は間柴医院の運営法人であり、有限会社間柴メディカルサービスは同じグループの法人です。両法人の沿革や事業展開は、間柴グループの公式サイトでも紹介されています。
組合員が申告する実際の指揮関係では、中野氏が両法人の助成金事業を実質的に動かしていました。また、新正会の理事である田中継一郎氏と、人事・経理を含むグループの管理全体を率いる総務課長の保坂美紀氏が、今回の支払問題の関係者として挙げられています。
ここで、従業員として補助作業をしたことと、事業の方針、契約条件、支払先、資金の使途を決めたことは、具体的な事実に即して区別する必要があります。書類や連絡に関わった人の名前だけを拾うのではなく、その作業を命じた人、内容を承認した人、資金を管理した人まで確認することが、責任の所在を明らかにする出発点です。
仕事を命じるときには経営側の権限を使い、支払いの問題が起きたときには現場の従業員だけが対応に追われる。そのような状態を生まないためにも、中野氏らには、事業を動かした立場に応じた説明が求められます。
入金まで進んだ事業で、なぜ外注先・出向関係者への支払いが行われないのか
組合員の申告によれば、両法人に関する助成金事業は実施され、助成金の入金に至っています。それにもかかわらず、外注先や出向関係者に約束していた支払いが行われず、連絡にも応じない状態が続いているということです。
外注先にも、人員や時間を投入して業務を行うための負担があります。出向関係者への支払いも、何の費用を、誰が、誰に支払う約束だったのかを明確にしなければなりません。事業の成果を受け取る側だけでなく、それを支えた側にも契約上の権利と生活があります。
当組合は、中野氏、保坂氏、田中氏および両法人に対し、少なくとも次の点を明らかにするよう求めます。
- 外注先や出向関係者への支払いを、誰が、どの法人の立場で、どのような条件により約束したのか。
- 助成金の入金を誰が把握し、入金後の資金管理と支払判断を誰が担っていたのか。
- 約定した支払いが履行されていない理由と、その判断に中野氏、保坂氏、田中氏がそれぞれどう関与したのか。
- 支払いを求める連絡に対応していない経緯と、解決について判断する権限を持つ責任者は誰なのか。
契約内容や業務の履行について異なる認識があるのであれば、どの点が違うのかを具体的に説明すべきです。支払済みというのであれば、その記録を示せます。未払いがあるのであれば、金額と支払日程を示す必要があります。連絡を無視することは、そのいずれの説明にもなりません。
事業を進めるための指示は出せるのに、事業を支えた人への支払いについては説明が出てこない。今回の申告が突きつけているのは、この不均衡です。成果を受け取った後に、協力した側だけが負担を抱え続ける状態を、当組合は看過しません。
カンボジアでの詐欺・横領報道と、今回の指示・資金管理を照合する必要があります
中野爵喜氏については、カンボジアでの詐欺・横領に関する報道を、同じ「ミンナのユニオン」内のラストワンマイル労働組合が、2026年5月18日付の記事に保存しています。
同記事は、約460万米ドル規模の詐欺・横領を取り上げた現地発信の内容を紹介するとともに、ラストワンマイル労働組合が現地の捜査機関等に問い合わせた結果として、当時「カンボジア内での指名手配中」であるとの説明を受けたと記録しています。今回、当組合に寄せられた情報には、カンボジアで詐欺容疑の刑事告訴がなされているという内容も含まれています。
海外の別件について報道や告訴があること自体が、今回の支払問題の犯罪成立を証明するものではありません。しかし、今回の申告で実質的な指示者として挙げられているのも中野氏である以上、契約時の説明や資金管理の方法を確認するうえで、無関係として切り捨てるべき情報でもありません。
当組合が求めたいのは、人物の印象による判断ではなく、具体的な行為と記録の照合です。協力者に何を説明して事業へ参加させたのか、支払う意思や計画はあったのか、入金後の資金を誰が支配していたのか。国内外の事案に共通する指示関係や資金移動があるのかどうかも、記録に基づいて確かめる必要があります。
中野氏が国外から指示していたのであれば、その指示を国内で受け、実行し、経理や支払いへ反映した人が誰なのかも重要です。国外の人物の説明だけでも、国内の担当者の説明だけでも、事業全体の実態は明らかになりません。
「支払いの問題」で終わるのか。契約時の説明と入金後の資金処分を調べます
当組合は、契約上の債務不履行として支払いを求める一方で、その背後に刑事上の問題がないかについても検討します。そのためには、不払いという結果から一足飛びに罪名を決めるのではなく、協力を取り付けた時点から入金後までの経緯を確認することが必要です。
支払う意思があると装い、役務や費用負担を引き出していなかったか
刑法第246条の詐欺罪は、欺く行為によって金品を受け取る場合だけでなく、財産上の不法な利益を得る場合も対象としています。同条第2項は、次のように定めています。
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
今回、確認すべきなのは、外注先や出向関係者に協力を求めた際、支払う意思がないにもかかわらず、支払うように装って役務の提供や費用負担を引き出していなかったかという点です。誰がどのように説明し、相手方は何を信じて協力し、その結果として誰が利益を得たのかを明らかにする必要があります。
入金後の対応だけでなく、契約時の説明、当初の支払計画、関係者間の意思連絡、実際の業務履行をつなげて検証することが重要です。支払意思についての虚偽説明があったのか、それとも別の原因で不履行に至ったのか。その違いを判断するためにも、関係者が説明せずに済む問題ではありません。
法人に入った資金を、誰が、何の権限で、どこへ動かしたのか
もう一つの確認対象は、入金後の資金処分です。法人に帰属する資金を業務上管理する者が、これを不正に領得した事情があれば、刑法第253条の業務上横領罪が問題になります。また、法人のために財産上の事務を処理する者が、自己や第三者の利益を図り、または法人に損害を加える目的で任務に背き、法人に財産上の損害を与えた事情があれば、刑法第247条の背任罪が検討対象になります。
ここで調べるのは、取引先に代金を支払わなかったという事実に加え、法人資金を管理する者による不正な処分がなかったかという問題です。どの法人に資金が帰属し、誰が口座を管理し、誰が送金を決め、どのような名目と根拠で支出したのか。会計処理と実際の資金移動を照合する必要があります。
医療法人新正会と有限会社間柴メディカルサービスは、それぞれの契約に応じて支払義務を負う主体となり得ます。一方、法人の資金が関係者によって不正に処分されていた場合には、その法人自身が被害を受けている可能性もあります。法人と個人をひとまとめにするのではなく、誰の財産が、誰の行為によって、どのように損なわれたのかを特定することが必要です。
なお、助成金の受給自体の適否は、対象制度の要件と申請内容に照らして確認する別の論点です。今回の中心は、事業への協力を求めた際の説明と、約定した支払いの不履行、入金後の資金管理・処分の実態にあります。
「トクリュウ」的な構造はあるのか。指示役・実行役・資金管理者の実態を問います
当組合は、医療法人や関係者が、組織的な資金獲得・処分に利用されていないかという観点から、いわゆる「トクリュウ」的な指示・役割分担・資金移動の有無についても確認を求めたいと考えています。
「トクリュウ」は「匿名・流動型犯罪グループ」を指す呼称です。警視庁匿名・流動型犯罪グループ対策本部の説明では、犯罪収益を吸い上げる中核部分が匿名化されていることなどが特徴として挙げられています。複数人で事業を行っていたことや、国外から指示があったことだけで、この類型に該当するわけではありません。
だからこそ、呼称を先に当てはめるのではなく、実態を確かめる必要があります。名義上の契約者と実際の指示者は同じだったのか、補助作業をする人と資金を管理する人の間で何が共有されていたのか、最終的に利益を得たのは誰なのか。役割を分けることで、指示者や資金の帰属が見えにくくなっていなかったかを確認します。
刑法第60条は、共同正犯について次のように定めています。
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
犯罪の実行について意思を通じ、役割を分担していたのであれば、全員が同じ作業をしていなくても共同正犯としての責任が問題になります。反対に、同じ職場にいたことや、指示された補助作業をしたことだけで、犯罪への認識や共同関与まで決まるものではありません。
当組合は、組合員が実際に何を指示され、何を知り、どの範囲の作業を行ったのかを整理するとともに、中野氏、保坂氏、田中氏が事業と支払いについて何を認識し、何を決定していたのかを問います。手を動かした人の名前だけで話を終わらせず、指示と決裁、資金管理の中心まで確認することを求めます。
中野爵喜氏・保坂美紀氏・田中継一郎氏と、両法人への公開質問
間柴医院ユニオンは、医療法人新正会、有限会社間柴メディカルサービスおよび関係者に対し、次の事項について具体的な回答を求めます。組合員の申告と異なる事実があるというのであれば、その点と根拠を明らかにしてください。
- 中野爵喜氏は、カンボジアから組合員に労務全般のサポートと、両法人の助成金事業に関する補助作業を命じていましたか。どの立場と権限に基づく指示だったのか、事業の方針や支払いに関する決定権限と併せて説明してください。
- 外注先および出向関係者に対し、誰が、どの法人の名義で、どのような支払いを約束しましたか。契約ごとに、債務者、金額、支払条件、支払期日、業務の履行状況を明らかにしてください。
- 対象となる助成金の制度名、受給法人、支給額、入金日と、入金を確認した責任者は誰ですか。入金後の資金について、管理責任者と支出の承認者を示してください。
- 保坂美紀氏は、約定した支払いと助成金の入金をいつ把握しましたか。支払手続について、誰からどのような指示を受け、誰に報告し、どのような処理を行いましたか。
- 田中継一郎氏は、事業の契約、入金後の支出、支払いが履行されていない状態について、何を承認し、どのように関与しましたか。中野氏および保坂氏との情報共有と判断の経緯を説明してください。
- 入金後の資金は、現在どのように保管され、または支出されていますか。別法人や個人等への送金がある場合、その目的、契約上の根拠、承認者および会計処理を説明してください。
- 支払いを求める連絡が無視されているとの申告に、どのように回答しますか。対応方針を決めた者とその理由、未払いがある場合の支払日程を示してください。
- 関係する契約、業務指示、入出金、会計処理、支払いに関する連絡の記録を保存し、独立した立場による事実確認に協力しますか。調査と解決について判断できる責任者を明らかにしてください。
必要なのは、「担当者に任せていた」「詳しくは分からない」という説明で責任を移し合うことではありません。指示した人、承認した人、資金を管理した人が、それぞれの行為について記録を示し、一つの経緯として説明することです。
刑事告訴・被害届の提出を検討し、約定した支払いも求めます
当組合は、医療法人新正会、有限会社間柴メディカルサービスおよび関係者の行為について、被害を受けた各当事者と連携し、刑事告訴または被害届の提出を検討します。法人については適用法令上の責任を、個人については具体的な指示、実行、資金管理への関与を整理し、捜査を求める対象と事実を特定していきます。
告訴については、直接被害を受けた人や法人など、告訴権を持つ当事者の立場と意思を確認して進めます。当組合自身の立場から犯罪事実の申告を行う場合には、告発という方法も含めて検討します。提出を検討している段階と、実際の提出・受理・捜査の状況は区別してお伝えします。
確認・保存すべきものは、今回の事業がどのように始まり、誰の指示で動き、誰が利益を得たのかを明らかにできる記録です。関係者には、少なくとも次の資料を適切に保存することを求めます。
- 外注や出向関係の契約内容、発注内容、支払条件と、その合意に至るまでの説明が分かる記録。
- 中野氏らによる業務指示、担当者間の連絡、承認・決裁の経緯と、実際に行われた業務が分かる記録。
- 助成金の申請・支給に関する資料と、受給法人への入金、入金後の支出・送金が分かる記録。
- 未払金の計上、支払処理の状況、資金の使途と承認者を確認できる会計上の記録。
- 支払いを求める連絡、その応答、関係者間で支払方針を協議した経緯が分かる記録。
当組合は、捜査機関に対し、請求書の未払いという一場面だけでなく、契約時の説明、役務の提供、助成金の入金、その後の資金処分と連絡対応までを一連の経緯として確認するよう求めたいと考えています。事実を整理し、必要に応じて弁護士とも連携しながら、犯罪の成否と責任の所在を検討します。
同時に、契約上の支払義務については、刑事面の判断を待つことなく、各契約と履行実績に基づく解決を求めます。外注代金、出向関係の費用、組合員本人の未払い賃金は、それぞれ権利者と根拠を整理する必要があります。当組合は、組合員の労働問題に取り組むとともに、事業に協力した当事者との情報共有を通じて、実際の被害回復につなげます。
支払義務を負う法人には、約定した支払いを履行することを求めます。中野氏、保坂氏、田中氏には、その支払いが行われていない経緯と、自らの関与について説明することを求めます。刑事責任の検討と、支払義務の履行は、それぞれの根拠に基づいて進めるべき問題です。
事業の成果だけを受け取り、働いた人と協力した人に負担を残してはなりません
今回の申告は、組合員本人の給与未払いだけにとどまらず、同じ事業に協力した外注先や出向関係者への支払いにも問題が及んでいるというものです。一人の従業員の困りごととして切り離すのではなく、人を動かし、契約を結び、資金を受け取り、支払いを管理する仕組み全体を確認する必要があります。
医療や介護を支える現場の職員、事業に協力した人々の仕事と、経営・管理の判断をした人の責任を混同してはなりません。現場の努力によって事業が進んだのであれば、その成果だけでなく、約束した支払いや労働者への処遇にも、責任を持って向き合うべきです。
中野爵喜氏、保坂美紀氏、田中継一郎氏、医療法人新正会、有限会社間柴メディカルサービスに求めます。約束した支払いについて説明し、履行すべきものを履行してください。そして、事業を誰が動かし、受け取った資金を誰が管理し、何に使ったのかを明らかにしてください。
事業を動かすときに存在した責任者が、支払いを求められたときだけ見えなくなる。そのような状態で、問題を終わらせることはできません。
