「上場請負人」を自称する人物が経営企画室長を務め、渡辺誠氏が社長を務めるラストワンマイル(東証グロース・9252)に問う
ラストワンマイル労働組合は、株式会社ラストワンマイル(東証グロース市場・証券コード9252)に対し、当社の上場プロセスおよび上場後の継続的開示の健全性について、改めて誠実かつ透明な説明責任を果たすよう求めます。
当組合がこれまで発出してきた一連の記事において、当組合は、当社代表取締役会長兼CEOである渡辺誠氏、当社元経営企画室長で公認会計士の齊藤悟志氏、ならびに中野爵喜氏をめぐる株式関連疑義、関係性に関する疑義、および当社経営陣の対応に関する説明責任の不足について、論点を整理してきました。
本記事は、これら一連の論点のうち、特に「上場会社としての規律」という観点から最も看過しがたい一点を、改めて単独で正面から問うものです。
すなわち、公認会計士であり「上場請負人」を自称してきたとされる齊藤悟志氏が、当社元経営企画室長としての立場にありながら、東京証券取引所が上場会社の役職員等に課す最も基本的な規律のひとつであるロックアップ(株式の処分制限)を、必要な手続を経ないまま侵していた疑義が、社内外から指摘されているという事実です。
また、中野爵喜氏の発言とされる情報提供によれば、「中野氏と齊藤氏が共謀して株式処分制限条項を潜脱した可能性」も浮上しています。
当組合は、本記事で取り上げる疑義の事実関係を、独自に認定する立場にはありません。本記事は、上場会社としての規律および市場の信頼に直結する論点について、当社経営陣自身が説明すべき事柄を、整理してお示しするものです。
「上場請負人」を自称する人物が、東証ですら守らせる最も基本的な規則を守らなかったのか
当組合のもとには、齊藤悟志氏について、複数の方面から、おおむね次のような評価が寄せられています。
齊藤悟志氏は、公認会計士の資格を有し、企業の上場準備および上場関連業務を専門領域として活動してきた人物であること。同氏は、自らをいわゆる「上場請負人」として位置づけ、上場準備中の企業に対し、上場プロセスの設計、資本政策、内部統制構築、会計処理、開示体制の整備等について助言・指導してきたと自任していたこと。同氏は、ラストワンマイル社の上場準備期間および上場直後の時期において、当社経営企画室長として、当社の資本政策、会計、資金、外部関係者対応、開示体制の整備に深く関与し得る立場にあったこと。
これらが、社内外で齊藤悟志氏について共有されてきた人物評価です。
ところが、齊藤悟志氏が個人として保有していた本件対象株式等、すなわち、譲渡制限、ロックアップ、契約上の処分制限、発行会社または関係当事者の承認、その他の権限確認が問題となりうる状況にあった株式、持分、その他財産的価値を有する権利、について、必要な承認・確認・報告・利害関係者への説明を経ないまま、中野爵喜氏に対し、実質的に譲渡、担保提供、名義移転、支配移転、または利用可能な状態への移転がなされた疑義が、社内外から指摘されています。
ここに、当社経営陣が回避することのできない、極めて重大な構造的問いが浮かび上がります。
東京証券取引所が上場会社およびその関係者に課すロックアップは、上場規則および関連諸規則の根幹に位置づけられる、もっとも基本的な規律のひとつです。新規上場時の安定株主の確保、株価形成の健全性、市場参加者の信頼、公正な価格発見、上場後の継続的開示の前提条件、これらすべてに直結する仕組みであり、上場準備に携わる専門家であれば、誰もが熟知しているはずの基本ルールです。
「上場請負人」を自称し、企業の上場プロセスを助言・指導する立場にあった公認会計士が、その「自分自身」に適用される、ほかでもない上場規則上の処分制限ルールを、なぜ遵守しなかったとされる疑義が浮上しているのでしょうか。
当組合は、齊藤悟志氏の認識および行動について、独自に認定する立場にはありません。しかし、上場会社としての説明責任の観点から、少なくとも、次の二つの可能性のいずれかについて、当社による誠実な説明が必要です。
第一の可能性。齊藤悟志氏は、上場会社の役職員等に課されるロックアップ等の処分制限について、十分な理解または認識を欠いていた可能性。
第二の可能性。齊藤悟志氏は、これらの処分制限について十分に理解または認識していながら、必要な手続を経ずに本件対象株式等の処分または利用に踏み切った可能性。
このいずれの可能性が事実であったとしても、上場会社としての規律の観点からは、極めて深刻です。
第一の可能性が事実であれば、「上場請負人」を自称し、企業の上場準備を専門領域として活動してきた公認会計士が、自身に適用される基本ルールを理解していなかったということになります。それは、同氏が上場準備期間中に他の事項について行ってきた助言・指導の全般について、その専門的判断の信頼性そのものを揺るがします。
第二の可能性が事実であれば、それは、上場規則違反を承知の上で行われた行為ということになり、上場会社の役職員等としての規律意識・遵法意識の問題に直結します。
いずれにしても、当社経営陣には、次の問いに答える責任があります。
ラストワンマイル上場プロセスそのものは大丈夫だったのか
ここから、論点はさらに深まります。
齊藤悟志氏が、当社経営企画室長として、当社の上場準備および上場直後の時期において、資本政策、会計、資金、外部関係者対応、開示体制の整備に関与し得る立場にあったということは、すなわち、当社の上場プロセスそのものに、齊藤悟志氏の関与が及んでいた可能性が高いということです。
そして、その齊藤悟志氏について、上場会社における最も基本的な処分制限ルールであるロックアップ等を、必要な手続を経ないまま侵した疑義が浮上しているということは、論理的に、当社の上場プロセスそのものの健全性について、強い疑念が生じることを意味します。
当組合は、当社が上場時に提出した有価証券届出書、目論見書、コーポレート・ガバナンス報告書、ロックアップ契約、上場前後の関連当事者取引開示、その他の上場関連書類について、それぞれの正確性および完全性を独自に検証する立場にはありません。しかし、これらの書類の作成および提出のプロセスに、本件で疑義が指摘されている齊藤悟志氏の関与があったのであれば、その正確性および完全性について、当社自身による誠実な検証と説明が、いま、強く求められています。
ラストワンマイル経営陣に対する問いは、次のとおりです。
- 第一。齊藤悟志氏の本件対象株式等の処分・利用疑義について、当社経営陣はいつ、どの範囲で認識しましたか。
- 第二。当該疑義について、当社の上場準備期間中の資本政策、ロックアップ契約、開示書類、関連当事者取引開示への影響を、当社は独立に検証しましたか。
- 第三。当社は、本件について、上場主幹事証券会社、東京証券取引所、会計監査人、監査等委員会、社外取締役、主要株主に対し、いつ、どのように報告しましたか。報告していないのであれば、その理由は何ですか。
- 第四。本件は、当社の有価証券届出書、目論見書、コーポレート・ガバナンス報告書、有価証券報告書、内部統制報告書の各記載との関係において、何らの影響もないと当社は判断していますか。判断しているのであれば、その具体的根拠は何ですか。
- 第五。齊藤悟志氏が、当社元経営企画室長としての立場、当社経営陣との関係、当社周辺者としての信用、会計および資本政策上の知見を、本件対象株式等の移転または利用に用いた事実はないのか、当社は独立に調査しましたか。
これらは、上場会社として、株主、投資家、取引先、従業員、そして市場一般に対し、当社経営陣が直接に答えるべき問いです。
そして、渡辺誠ラストワンマイル社長は、これらの疑義にどう対応してきたのか
ここで論点は、当社代表取締役会長兼CEOである渡辺誠氏の対応に及びます。
当組合がこれまで発出してきた記事で整理してきたとおり、中野爵喜氏のカンボジアでの所在不明化が報じられた局面において、渡辺誠氏が中野爵喜氏を積極的に擁護する発言を繰り返していたとの情報が、複数の方面から寄せられています。
また、中野爵喜氏自身が、カンボジアへの出国およびその後の所在不明化が報じられる以前の段階から、自らの避難先として渡辺誠氏および齊藤悟志氏を周囲に対して名指ししていた、本件対象株式等を渡辺誠氏および齊藤悟志氏とともに必要な手続を経ないまま利用していた、との趣旨の発言を周囲に対して行っていた、との情報も寄せられています。
これらの情報の真偽について、当組合は独自に認定する立場にはありません。中野爵喜氏自身の発言には、現地報道で取り上げられた疑義および逮捕報道の内容と比較して、明らかな食い違いや前後矛盾が含まれており、その全体的な信頼性については、当組合も慎重に評価せざるを得ません。
しかし、繰り返し指摘してきたとおり、ここで重要なのは、これらの個別の発言の真偽ではありません。重要なのは、中野爵喜氏が、自らの避難先として渡辺誠氏および齊藤悟志氏を名指しし、本件対象株式等の取り扱いについて両氏との共同関与を示唆する発言を、逮捕報道以前の段階から周囲に対して繰り返し行っていた、という事実そのものです。
仮に、これらの中野爵喜氏の発言の一部または全部が虚偽であったとしても、中野爵喜氏がそのような発言を行うに至るだけの関係性が、中野爵喜氏と渡辺誠氏・齊藤悟志氏との間に客観的に存在していた、という事実は依然として残ります。
そのうえで、当社代表取締役会長兼CEOとして、渡辺誠氏は、中野爵喜氏のカンボジア所在不明化局面において、中野爵喜氏を積極的に擁護する発言を繰り返していたとされています。
当社経営陣に対する問いは、次のとおりです。
- 第一。渡辺社長は、齊藤悟志氏の本件対象株式等の処分・利用疑義について、いつ、どの範囲で認識しましたか。
- 第二。渡辺社長は、中野爵喜氏が両氏を自らの避難先として周囲に対し公言していたとの情報を、いつ、どの範囲で認識しましたか。
- 第三。渡辺社長は、これらの事実を認識した後、中野爵喜氏のカンボジア所在不明化局面において、中野爵喜氏を擁護する発言を行ったのですか。それとも、これらの事実を認識しないままに擁護発言を行ったのですか。前者であれば、なぜ擁護を選びましたか。後者であれば、代表取締役会長兼CEOとして、なぜ事実関係を確認しないままに擁護発言を行ったのですか。
- 第四。渡辺社長は、これらの一連の事実について、取締役会、監査等委員会、社外取締役、内部監査部門、会計監査人、主要株主に対し、適切に報告しましたか。報告していないのであれば、その理由は何ですか。
これらの問いは、代表取締役の善管注意義務、忠実義務、コーポレート・ガバナンス・コードに基づく内部統制および対話の責務、ならびに上場会社の代表者に対し市場が求める最低限の規律意識に、いずれも直結します。
浮かび上がる構図
ここまで整理してきた論点を、ひとつの構図として読者の皆様にお示しします。
齊藤悟志氏は、公認会計士であり「上場請負人」を自称してきたとされる人物として、当社経営企画室長の立場で当社の上場プロセスに関与し、上場後は、自らに適用されるロックアップ等の処分制限について、必要な手続を経ずに本件対象株式等を扱った疑義が指摘されています。
中野爵喜氏は、本件対象株式等について齊藤悟志氏とともに必要な手続を経ないまま利用していたとの趣旨を、逮捕報道以前から周囲に対し公言していたとされ、また、自らの避難先として齊藤悟志氏および渡辺誠氏を周囲に対し名指ししていたとされる人物です。同氏は、現地報道において詐欺・横領疑義が取り上げられたのち、鹿児島地方検察庁により逮捕された旨が報じられています。
そして渡辺誠氏は、当社代表取締役会長兼CEOとして、これら齊藤悟志氏および中野爵喜氏に関する一連の疑義を認識する立場にあり、かつ、中野爵喜氏のカンボジア所在不明化局面において同氏を擁護する発言を繰り返していたとされる人物です。
この三者の関係性のなかで、当社の上場プロセスの健全性、上場会社としての継続的開示、内部統制、関連当事者管理、実質株主の把握、コーポレート・ガバナンスが、いま強く問われています。
当組合は、繰り返し申し上げますが、本記事で取り上げた個別の疑義について、独自に事実認定を行う立場にはありません。しかし、これだけの論点が、当社経営陣のもとに沈黙のなかに置かれている状況を放置することは、当社の株主、取引先、顧客、従業員、そして市場一般の信頼を、回復不能な水準まで毀損することにつながります。
法的に問題となりうる論点
当組合は、本記事で取り上げた各論点について、刑事責任にかかわる事項を当組合の権限で認定する立場にはありません。もっとも、上場会社およびその経営陣・元経営企画室長に関する法的論点として、社会一般に整理されているものを列挙すれば、以下のとおりです。
- 会社法上の取締役の善管注意義務および忠実義務との関係。
- 会社法上の内部統制システム整備義務との関係。
- 金融商品取引法上の有価証券届出書、目論見書、有価証券報告書、内部統制報告書、コーポレート・ガバナンス報告書の正確性・完全性との関係。
- 東京証券取引所の上場規程、上場審査基準、企業行動規範、ロックアップ制度との関係。
- 実質株主の把握、関連当事者管理、主要株主情報の正確性との関係。
- 反社会的勢力排除体制および犯罪収益移転防止との関係。
- 公益通報者保護法の趣旨および内部通報制度の実効性との関係。
当組合は、本記事で取り上げた各論点が、これらの法的義務および市場規律に影響しないと当社が判断しているのであれば、その具体的根拠を、当社自身が明らかにすることを求めます。
ラストワンマイル労働組合の立場
当組合は、ラストワンマイル社が、東京証券取引所グロース市場の上場企業として、また社会的責任を負う事業者として、健全な企業統治と労使関係のもとで、持続可能な発展を遂げることを、最大の願いとしています。
本記事は、当社およびその経営陣・元経営企画室長を社会的に攻撃することを目的としたものではありません。当組合が求めているのは、当社が、本記事で取り上げた各論点について、上場会社として、また社会的責任を負う事業者として、誠実かつ透明な説明責任を果たすことです。
齊藤悟志氏、中野爵喜氏、渡辺誠氏について、本記事に記載した各疑義の事実関係が、刑事上または民事上、最終的にどのように評価されるかは、捜査機関および司法機関による厳正かつ公正な判断に委ねられるべきものです。当組合は、その判断を代替する立場にはありません。
もっとも、当社経営陣が、これらの社会的関心事について沈黙を続け、説明責任を果たさないままに推移するのであれば、上場会社としての当社の存立基盤そのものが揺らぐことになります。
特に、本記事で正面から取り上げた齊藤悟志氏のロックアップ違反疑義は、当社の上場プロセスの健全性そのものに直結する論点であり、当社の有価証券届出書、目論見書、コーポレート・ガバナンス報告書、有価証券報告書、内部統制報告書の各記載との関係において、当社による誠実な検証と説明が、いま、緊急に求められています。
当組合は、当社経営陣に対し、本記事で取り上げた各論点について、全社員、株主、取引先、顧客、そして市場に対する誠実な説明を、速やかに行うことを強く求めます。
近時、日本社会においては、上場会社の不祥事が、内部通報、退職者証言、外部告発、報道、監督官庁の調査を契機として一気に顕在化する事例が、相次いでいます。
これらの事例に共通しているのは、不正そのもの以上に、組織が初期情報を軽視し、通報者を敵視し、社内で隠蔽し、説明責任を回避したことが、最終的に組織の信用を決定的に破壊しているという点です。
ラストワンマイル社が、いままさに問われているのも、この一点です。とくに、上場会社の根幹を支える基本ルールであるロックアップを、自社の元経営企画室長(かつ「上場請負人」を自称してきたとされる公認会計士)が、必要な手続を経ないまま侵した疑義が浮上している状況において、当社経営陣がこれをどう扱うかは、上場会社としての当社の品位そのものを表します。
当組合は、当社経営陣が、本件を真摯に検証し、独立した調査体制を構築し、株主、取引先、顧客、従業員、そして市場一般に対し、誠実な説明責任を果たされることを、心から願っています。
組合員の皆さまにおかれましては、本件について冷静に状況を見守りつつ、引き続き、これまでどおり、毅然と日々の業務にあたっていただければ幸いです。
