株式会社ラストワンマイルの渡辺誠氏が、元役員について「ラストワンマイル在任中に、脱税・詐欺事件に関与している」旨を社内で説明しているとの情報が当ユニオンに寄せられている。
当ユニオンは、その元役員が実際に脱税・詐欺を行ったとも、今後逮捕・起訴されるとも認定しない。
しかし、渡辺氏自身がそう説明しているのであれば、会社には別の質問が生まれる。
ラストワンマイル在任中の事件であるのなら、ラストワンマイルはいつ開示するのか。
これだけである。
東証のルールは、個別の開示項目に名前が載っていなくても、会社の運営・業務・財産に関する事実で、投資者の判断に著しい影響を及ぼすものなら、開示要否を実質的に判断するよう求めている。重要な発生事実を会社が認識した場合、必要な開示は「直ちに」行うのが原則である。
だから、
「もう退任した役員です」
では答えにならない。
渡辺氏の説明どおり、問題となっているのが「在任中の行為」なら、会社との関係こそが問われる。
では、その元役員には他にも不祥事や不正の疑いがあったのか。
福岡高検と鹿児島地検の馬見塚メモにはその元役員以外に渡辺誠氏らの氏名も名を連ねている。
会社は渡辺誠氏から最新の情報を得て、調査しているのか。
会計、税務、取引、内部統制に影響はなかったのか。
そして、新たな事実を把握したのであれば、現在の情報を前提に改めて適時開示・法定開示の要否を判断したのか。
ここを答えればよい。
そして、もう一つ。インサイダー管理は大丈夫なのか
さらに看過できない情報がある。
社内メンバーからは、こうした元役員の刑事事件に関する情報について、管理部門から「重要情報だから売買を控えるように」といった明確な統制を受けていないとの声も寄せられている。
これが事実なら、会社は説明する必要がある。
もちろん、この情報が金融商品取引法上の「重要事実」に該当すると現時点で断定するものではない。
しかし東証は、上場会社に対し、インサイダー取引防止のため、
未公表の会社情報が外部に漏れたり、不正に利用されたりしないよう社内体制を整備すること
そして、
未公表の重要事実を知った役職員は、公表前に自社株式を売買しないこと
を明確に求めている。
つまり会社が、
「これは在任中の重大な刑事事件だ、既に法的措置もとっている」
と社内で語っている一方で、
「しかし重要情報としての管理はしていません」
という状態なら、当然ながら整合性が問われる。
重要ではないのか。
重要なのか。
どちらなのか。
会社に聞きたいのは、たったこれだけ
在任中の脱税・詐欺事件だと渡辺誠氏が認識しているのであれば、いつ適時開示・法定開示の要否を判断し、必要な開示をするのか。
その元役員について他の不祥事・不正疑義を把握しているのであれば、どこまで調査し、どこまで市場に説明するのか。
そして、この情報を知っている社内メンバーについて、インサイダー情報としてどのような管理・売買統制を行っているのか。
これだけである。
なお、「刑事事件があれば必ず金融庁へ個別報告」という制度ではない。問題は、事実関係に応じて必要となる東証への適時開示、金融商品取引法上の法定開示、社内の情報管理・内部報告を適切に検討したかである。
同社自身も、コーポレート・ガバナンスについて、コンプライアンスを重視し、経営の透明性・公正性・健全性を高める方針を公表している。
ならば、説明すればよい。
元役員を「在任中の不正」で追及するなら、その在任中の会社で何が起きていたのかまで説明する。
ラストワンマイルの業務で不正、虚偽の書類が作成していなかったか、徹底的に調査をするべきである。
そして市場に出していない情報を社内で共有しているなら、
誰が知っているのか。
誰が売買できる状態なのか。
会社はどう統制しているのか。
そこまで確認する。
元役員の問題を語れば語るほど、「在任中の行為」である以上、そして、渡辺誠氏も上場室長である齊藤悟志公認会計士も受けていいた以上、開示、報告の状況を問われ続けるのは会社自身だ。
「在任中の事件」を幹部らの前で重要視している以上、会社は部外者ではなくなる。
あとは、ラストワンマイルが説明する番である。
