元役員の犯罪の嫌疑を語り、逮捕や訴訟の見通しを説明するのであれば、その行為によって困っている人がいないかも、確認する必要があります。会社に求められる対応は、誰の責任を追及するかという話だけでは終わりません。
ラストワンマイルの幹部から伝えられる渡辺誠氏の説明には、元役員や会社関係者の投資・税務に関する問題が含まれています。会社がそれを重大な問題と認識しているのであれば、影響を受けた人の把握、同様の行為の防止、必要な救済についても、具体的な計画を示していただきたいと思います。
プルデンシャルは、補償を判断する窓口と進捗を示しています
プルデンシャル・グループは、グループから独立した「お客さま補償委員会」による審査と、専用の補償手続案内を設けています。相談を受け付け、事実を確認し、補償の判断と手続へつなげる仕組みを示しています。
さらに、2026年7月24日の公表資料では、同月8日時点の審査・補償の進捗を説明しています。窓口を作ったという発表だけでなく、その後にどこまで対応したかを確認できる形にしている点が重要です。
会社と各行為との関係、責任の範囲、補償対象は事実に基づいて判断する必要があります。その判断をするためにも、まず声を受け付ける場所と、判断を任せられる体制を用意することが出発点になります。
会社の肩書や人間関係が、投資の信用に使われていませんか
当組合は、ラストワンマイルの従業員や取引先への投資勧誘について、会社の肩書、役職員同士の関係、業務上の信用がどのように使われたかを問題にしてきました。個人名義の取引であっても、会社の関与の有無は、実際の説明と行動を調べなければ分かりません。
渡辺氏が元役員の行為を重大な問題として説明するのであれば、誰が勧誘を受け、何を説明され、どのような会社関係を信頼したのかを確認してください。問題を訴えた人が、職場や取引に影響することを恐れて相談できない状態であれば、表面に出た申告だけで全体像を判断することもできません。
馬見塚メモに記載された取引についても、資金を受け取った相手だけでなく、紹介者、説明者、会社側の承認、実際の業務を照合する必要があります。元役員の名前を強調する前に、その取引を信じた人に対し、会社が何を確認しているかを説明すべきです。
再発防止は、研修資料を配ることだけではありません
プルデンシャル生命は、2026年4月22日の発表で、報酬制度の基本設計の見直し、営業活動の管理強化、新たな顧客対応制度、新規契約の販売活動自粛の延長を説明しています。4月には、顧客が担当営業社員以外にも接点を持てる制度を開始したとしています。
ラストワンマイルが検討すべきなのは、保険会社と同じ自粛日数ではなく、今回の問題を防ぐために自社のどの仕組みを変えるかです。役職員の私的な投資勧誘、会社の連絡経路や人員の利用、取引先への紹介、利益相反の確認について、実際に点検できる管理が必要です。
禁止規定を置くのであれば、違反の情報が誰へ届き、誰が調べ、経営者に関する情報も同じように扱えるかまで決めてください。社員向け研修の一枚目に立派な方針を書き、経営者だけがその資料の外に立っているようでは、再発防止にはなりません。
渡辺誠氏と取締役会への公開質問
- 問題とする投資や取引について、勧誘を受けた従業員・取引先の範囲を確認していますか。会社への相談をためらう人が利用できる経路はありますか。
- 会社の肩書、人員、勤務時間、情報及び取引関係の利用を調べ、会社との関係に応じた責任や救済の要否を検討していますか。
- 役員の私的な投資勧誘や利益相反について、誰が承認・監督し、経営者に関する申告は誰が独立して扱いますか。
- 再発防止策について、担当者、実施期限、確認方法及び進捗の説明時期を示せますか。実施したことと、実際に機能していることを、どのように検証しますか。
当組合は、被害の確認と再発防止を並行して進めるよう求めます
- 関係者から独立した申告・相談経路を設け、契約、説明内容、入出金及び会社との関係を確認してください。
- 調査結果に応じた救済を検討するとともに、同様の勧誘や会社資源の不適切な利用を防ぐ当面の措置を講じてください。
- 相談の受付、調査、対応、再発防止策の実施状況について、個人情報に配慮した形で継続的に説明してください。
逮捕の見通しより、被害を防ぐ計画を示してください
関係する投資や取引について不安のある方は、勧誘時の説明、契約、送金、返還、相談の経緯を整理してください。別団体の「中野爵喜」被害者の会も、出資被害の申告集約、資金の流れの確認、被害回復を掲げています。誰に何を説明されたかを具体的にすることが、個々の対応を検討するための材料になります。
開示を一度行っただけで、被害の確認や再発防止まで終わるわけではありません。渡辺氏には、誰が逮捕されるかという見通しより、誰の被害をどう防ぐかという計画を示していただきたいと思います。経営者の説明が充実するべきなのは、相手を追い込む方法だけではありません。
