【ラストワンマイル労働組合】現従業員からの労災申請書が読めない会社はどうやって上場したのか?

目次

「何を調べたのですか」に答えられない会社を上場させた、上場請負人を自負する齊藤悟志氏・渡辺誠氏

「現時点で業務上の疾病と認定する事情は確認されておりません」。10月15日、ラストワンマイルから従業員本人に、再び組合を送信先から外したメールが届きました。

では、その回答に至るまでに、何を調べたのでしょうか。誰に事情を聴き、どの資料を読み、誰が判断したのでしょうか。当組合が今回求めているのは、それだけです。難解な法律論でも、高度な会計判断でもありません。会社が自分で行ったはずの確認について、具体的に説明してくださいという、ごく単純な質問です。

今回、会社は、労災申請を拒否する趣旨ではなく、正式な申請書類を受領次第、事業主証明等に対応すると説明しました。一方で、業務上の疾病と認定する事情が確認されていないとした根拠については、調査の相手も、確認した記録も、判断者も示していません。

返事は出す。しかし、判断の根拠は出さない。文末は丁寧。しかし、質問の核心には届かない。不祥事を問われた政治家が、用意した答弁を繰り返して質問時間をやり過ごす場面を思わせます。もっとも、従業員の療養と生活には、答弁時間の終了を待っている余裕などありません。

「調べたが確認できない」と「調べていない」は、別の日本語です

本人の請求書には、疾病の原因として主張する役員・人事担当者の行為が記載されています。当組合の上申書にも、面談、懲戒、退職勧奨、性的な行為などの経過を、関係者と日時を含めて示しています。会社に届いているのは、病名だけが書かれた紙ではありません。

それを調査したのであれば、調査の内容を答えれば済みます。まだ調査していないのであれば、未調査であると答えれば済みます。調べていないことによって生じた情報不足を、業務との関係を否定する材料のように扱ってはいけません。

「現時点では」という言葉も、実に便利です。しかし、現時点までに何をしたのかを示さなければ、説明にはなりません。調べないまま時間を経過させれば、来週も来月も「現時点では確認されていない」と書けてしまいます。それは慎重な調査ではなく、確認しない状態を維持するだけです。

会社は、正式な申請書類が届くのを待つ間にも、自社の面談記録や決裁資料を確認できます。本人に追加確認が必要なら、既提出書面で希望されているとおり、メールで質問できます。書類の到着を待つことと、自社で何が起きたかを調べないことは、同じではありません。

従業員の説明は読み落とすのに、組合のアドレスは外せるようです

本人は、労災申請への協力と傷病手当金の並行手続を、請求書の別々の項目に記載しています。組合への同時送信と必要な情報共有についても、自分自身の意思として明記しています。それでも、会社から届くのは、繰り返し本人だけに向けたメールです。

「両方へ送ってください」という短い指定が、何度説明されても実行されません。内容の確認にはこれほど手間がかかるのに、送信先から組合を外す運用だけは一貫しています。会社が確実に共有しているのは、本人の希望ではなく、本人の希望を実行しない方法なのでしょうか。

本人が後から転送できるという話ではありません。療養中の本人に、会社側の引継ぎ不足を補わせ、同じ意思表示を繰り返させていることが問題です。読まない、核心に答えない、本人だけに送る。その繰り返しを、毎回別の事務上の事情として説明されても、受ける側の負担は積み重なります。

当組合は、多数の情報提供を通じて把握している労災隠しについて、意図的かつ悪質な問題として、全容の解明と是正を求めています。今回も、業務との関係を具体的に申告されながら、何を調査したのかを示さず、本人の指定した情報共有も行わない対応が続いています。被害を明らかにすることより、会社に不都合な事実を説明の対象から外すことに熱心なのではないか。経営陣には、その疑問に、調査記録と判断の経過で答えていただきます。

齊藤悟志氏、渡辺誠氏。この説明能力で上場審査を通過した「秘訣」は何ですか

ここまで来ると、もう一つ、ごく素朴な疑問が生じます。「誰が何を調べたのですか」という簡単な質問にすら具体的な根拠を示せない会社が、いったいどうやって上場審査を通過したのでしょうか。

「上場請負人」を自称してきたとされる齊藤悟志氏。そして、同氏をラストワンマイルに招き、自らも方々で「上場請負人」を自負しているという渡辺誠氏。上場に関する力量を語ってきたお二人にこそ、その「秘訣」を伺いたいと思います。

上場審査の際には、誰が質問を読み、誰が社内の事実を確認し、誰が証拠をそろえ、誰が回答を承認していたのでしょうか。その体制が当時は機能していたのであれば、従業員からの今回の質問には、なぜ同じことができないのでしょうか。反対に、現在と同じ程度の確認しかしていなかったのであれば、当時は何を根拠に会社の管理体制を説明したのでしょうか。

上場審査の質問は通れても、現従業員からの一問には答えられない。「上場請負人」の仕事には、上場後も質問を読み、事実と根拠を説明できる会社にしておくことは含まれていなかったのでしょうか。証券コードは残ったのに、説明できる人だけがいなくなったのであれば、ずいぶん不思議な成果物です。

齊藤氏の上場実務への関与と、渡辺氏による招聘については、これまでも取り上げています。肩書きと人脈を並べるだけでなく、実際にどの仕事を行い、どの管理体制を整えたのかを、記録で説明してください。

東証が公表する上場審査基準にも、企業経営の健全性、企業統治・内部管理体制の有効性、適切な情報開示が掲げられています。立派な組織図があることと、その組織で事実確認と説明ができることは別です。取締役会や監査等委員会という名前を設けても、誰も判断の根拠を示さなければ、看板の説明にしかなりません。

当組合は、監査独立性、上場審査、情報管理及び開示統制についても、既に具体的な調査と回答を求めています。今回突然、上場の話を持ち出したのではありません。従業員の申告をどう処理するかという現在の姿が、これまで会社に求めてきた管理体制の検証と、まさにつながっています。

「確認されていない」の前に、何を確認したのかを公開の場で問います

以下に、個人情報の保護に配慮した上で、当組合から取締役会及び監査等委員会に向けた照会・是正要求文を公開します。会社が行った調査の実態、判断者と承認者、対応責任者の変更、そして経営・監督機関としての説明を求めるものです。

齊藤氏と渡辺氏には、本記事で提起した上場時の体制との整合性についても、具体的に回答するよう求めます。上場を請け負う力量があるのであれば、「何を調べたのですか」に答える仕事も、ぜひ請け負っていただきたいものです。

不都合な質問をかわす政治家の答弁ではなく、自分たちが行った仕事の説明をしてください。従業員が必要としているのは、会社が回答を逃れるための「秘訣」ではありません。健康と生活を守るために、会社が何をしたのかという、具体的な答えです。

「業務上の疾病と認定する事情は確認されていない」とする判断の根拠及び対応責任者の変更について

各位

ラストワンマイル労働組合です。

当組合が10月5日付上申書で申し入れた職場の健康被害及び調査体制について、組合独自の立場から、以下の照会及び是正要求を行います。

貴社は、10月15日付の回答において、「現時点で業務上の疾病と認定する事情は確認されておりません」と説明しています。

そこで伺います。

何を、誰が、いつ、どの資料と聴取結果に基づいて調査し、その回答に至ったのでしょうか。

当組合が求めているのは、「確認されていない」という同じ一文の繰り返しではありません。その一文を会社の見解として発信するに至った、調査の実態と判断の根拠です。取締役会及び監査等委員会の責任において、具体的に回答してください。

1.労災保険の認定と、会社自身が行う調査・判断を混同しないでください

労災保険給付の支給・不支給を決定するのは、労働基準監督署長です。一方、職場で何が起きたのかを確認し、ハラスメントへの対応、健康保護及び社内の休職取扱いを判断する責任は、会社自身にあります。

当組合は、貴社に労働基準監督署長の代わりに行政処分を行うよう求めているのではありません。貴社が自ら私傷病休職として取り扱い、「業務上の疾病と認定する事情は確認されていない」と説明した以上、その会社判断を何に基づいて行ったのかを問うています。

「今後、労災認定等がされた場合には必要な対応を検討する」という説明は、将来の対応についての説明です。現時点で何を調査し、何を把握し、何を根拠に現在の取扱いを決めたのかという質問への回答にはなりません。

会社自身が判断した部分の根拠を問われているのに、将来の行政判断の話に置き換えないでください。

2.調べていないのであれば、「確認されていない」のは当然です

当該組合員は、正式な労災申請書類の完成に先立ち、既に本人名義の請求書で、疾病の原因として主張する職場での行為を具体的に説明しています。当組合も、上申書で、関係者、日時、反復した面談、懲戒、退職勧奨及び性的な行為の経過を詳細に示し、独立した調査を求めています。

会社に届いているのは、原因不明の病名だけではありません。誰の、どのような行為によって健康を損ねたと申し出ているのか、その調査対象が既に示されています。

それにもかかわらず、当該組合員に対する原因関係の具体的な追加確認は行われておらず、会社が誰に何を尋ね、どの記録を確認したのかも示されていません。

伊藤氏の性的な言動について、同氏及び関係者に何を確認したのでしょうか。飯島氏による反復した追及について、面談記録や関係者の説明を確認したのでしょうか。組合員探索、懲戒、賞罰委員会、退職勧奨及び異動について、社内の指示・承認・決裁記録を調べたのでしょうか。

そのような確認を行っていないのであれば、「確認されていない」のは当然です。それは、業務との関係を調べた結果ではなく、調べていないことの説明にすぎません。

調査をしなければ、調査結果が得られないのは当たり前です。その状態を、あたかも申告を検証した結果、業務上の原因を裏付ける事情が見当たらなかったかのように説明しないでください。

「確認できなかった」のか、「確認する作業をしていない」のか。この二つを区別せずに会社の見解を発信しているのであれば、事実確認と判断の手順そのものに問題があります。

正式な申請書類を受領した後に事業主証明へ対応するという説明と、既に受け付けた被害申告を会社として調査することは、別の問題です。申請書が完成するまで、自社の役員や従業員に事情を確認できないわけでも、自社の面談記録や決裁資料を確認できないわけでもありません。

書類の到着を待つことと、調査を進めることを、同じ業務として扱わないでください。

なお、本人が対面や通話を避け、メールでの連絡を求めていることを、事情確認ができない理由にしないでください。既提出書面を読み、会社内部の記録を確認し、それでも必要な追加質問があれば、本人の健康に配慮してメールで具体的に示すことができます。

3.取締役会及び監査等委員会から、調査と判断の実態を回答してください

次の事項について、取締役会は業務執行の監督の立場から、監査等委員会は監査の立場から、それぞれの把握内容と対応を明らかにしてください。

  • 「業務上の疾病と認定する事情は確認されていない」とする回答の作成者、判断者、確認・承認者及び各判断日。
  • 判断に先立って確認した本人書面、上申書、診断書、勤怠記録、面談記録、賞罰委員会資料、社内連絡及び決裁資料の範囲と、確認した内容。
  • 事情を確認した役員・従業員等、確認日、確認方法、質問事項及び得られた説明。誰にも事情を確認していない場合は、その旨と理由。
  • 上申書に記載した各行為について、事実として把握した事項、争いがある事項、未調査の事項及び、それぞれをどのように評価したのか。
  • 業務との関係を否定する具体的な根拠があるのか、それとも判断に必要な情報が不足しているだけなのか。不足しているのであれば、何が不足し、その情報を得るために誰が何を行うのか。
  • 取締役会及び監査等委員会への報告・付議の有無、その日時、検討内容及び対応方針。まだ報告又は検討をしていない場合は、その旨と今後の予定。

既に調査したのであれば、その調査記録に基づいて回答してください。調査していないのであれば、「未調査です」と明確に回答してください。

「現時点では」という言葉を付けても、現時点までに何をしたのかという説明は不要になりません。調査をしないまま時間だけを経過させれば、いつまでも「現時点では確認されていない」と書けてしまいます。それでは、確認状況の説明ではなく、確認しない状態の固定化です。

調査が未了であるならば、その事実と判断の留保を明示し、未調査・未確認であることを、業務外であることの根拠として扱わないでください。

4.必要な確認と説明ができる責任者へ交代してください

貴社は佐藤愛加氏を担当責任者としていますが、今回示されたのは、私傷病休職の適用条項と、調査内容を伴わない「確認されていない」という回答です。

担当責任者が、その判断の根拠、確認した資料、事情を聴いた相手及び承認者を説明できないのであれば、説明可能な責任者を別途置く必要があります。

本件に必要な制度を理解し、提出された文書を正確に読み、必要な事実確認を行い、その結果を責任を持って説明できる方へ、当組合に対する対応責任者を交代してください。

それができないのであれば、代表取締役会長兼CEOの渡辺誠氏が、会社としての回答責任者となり、自ら説明してください。

佐藤氏が自分で判断したのであれば、その根拠を明らかにする必要があります。上司や役員の判断を伝えているのであれば、その判断をした者が説明すべきです。判断した者は表に出ず、窓口の担当者だけが根拠の示されない結論を繰り返す体制では、責任ある対応とはいえません。

渡辺氏に求めているのは、会社の意思決定及び会社回答についての説明責任です。同氏の関与自体が申告対象に含まれている以上、同氏に独立した調査の結論を委ねる趣旨ではありません。調査は、監査等委員会及び利害関係のない社外取締役等の下で、申告対象者から独立して実施してください。

また、これは、渡辺氏その他の関係者が当該組合員を直接呼び出したり、対面・通話で事情を聴いたりすることを求めるものではありません。当組合への回答と、本人の健康を守るための接触方法は、明確に区別してください。

5.一般的な手続案内ではなく、会社が行った調査について回答してください

貴社が、労災申請を拒否する趣旨ではなく、正式な申請書類を受領次第、必要な事業主証明等に対応すると説明したことは確認しています。その対応は、説明どおり進めてください。

しかし、その説明によって、「どのような調査に基づいて業務上の疾病と認定する事情が確認されていないとしたのか」という問いが解消するわけではありません。

当組合が今回求めているのは、会社がこれから受け取る申請書の説明ではなく、会社が既に発信した判断の根拠です。

本人の欠席や水道料金については、繰り返し事情を確認してきた会社です。役員や人事担当者の行為が疾病の原因として申し出られた途端に、誰に何を確認したのかも示せなくなるのであれば、確認能力の問題なのか、確認する対象を選んでいるのか、経営及び監督機関として説明が必要です。

調査記録、関係者への照会と回答、社内の指示・承認記録、今回の会社回答の作成・確認過程を保全してください。

本照会到達後3営業日以内に、少なくとも、調査実施の有無、実施済みの調査内容、判断及び回答の責任者、対応責任者の変更に関する回答を求めます。追加調査を要する事項は、その対象、担当者及び回答予定日を示してください。既提出の上申書等について求めた回答期限を、今回の照会によって延長するものではありません。

従業員の申告を調べた上での見解なのか、調べる前の事務処理上の扱いなのか。その基本さえ曖昧なまま、「確認されていない」という言葉で済ませないでください。

以上、取締役会及び監査等委員会として、調査の実態、判断の根拠及び責任の所在を明らかにするよう求めます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次