「東証の経歴」と「相談済み」は何を保証するのですか
「東証で上場審査に携わった人がいます」「経済産業省へ相談しています」「警察の組織犯罪対策部門にも相談しています」。こうした言葉が並ぶと、ずいぶん心強い体制に聞こえます。ところが、本当に知りたいのは、名前の挙がった機関の立派さではなく、誰が何を説明し、どの仕事を行い、どこから報酬を受け取ったかです。
今回、ラストワンマイル労働組合が回答を求めるのは、アスエネ株式会社の衛藤和也氏と、ラストワンマイルの上場実務を担った齊藤悟志氏です。両氏の業務上の関係について、所属先への説明、契約、報酬の経路、情報の共有に関する疑義が示されています。公認会計士同士の協力という説明で済む関係だったのか、その説明から外れている仕事や金銭の流れがあったのかを、具体的に明らかにしていただきたいと思います。
その先には、中野爵喜氏が語っていたという警察への相談と、エンジェル税制について経産省へ照会したという経緯があります。相談先の名前を一つずつ増やせば、実際の行為についての質問が減るわけではありません。むしろ相談したというのであれば、確認できる記録と、説明していただく事項が増えるはずです。
衛藤和也氏の東証出向歴は公開されています。次は実際の仕事を説明してください
衛藤和也氏について、アスエネは2024年11月28日付の会社発表で、「執行役員 IPO推進室長兼財務経理部長」と紹介しています。上場準備と財務・経理に関わる職責を、会社自身が公表している人物です。
また、本人の公開プロフィールには、2011年に現在のEY新日本有限責任監査法人へ入り、監査や上場支援に従事したこと、2017年から2019年まで日本取引所の上場審査部へ出向したこと、その後監査法人へ戻り、2021年にアスエネへ参画したことが記載されています。
ここで確認できるのは、公表された経歴です。衛藤氏がラストワンマイルの上場審査を担当したとか、東証の立場で同社を支援したということまで、このプロフィールに書かれているわけではありません。だからこそ、当時の立場、関与した時期、行った業務を分けて確認する必要があります。
上場審査や監査の仕組みを知る専門家が、企業の準備を支援することには価値があります。その価値を正面から説明できるのであれば、依頼者、契約、成果物、報酬、必要な承認も、同じように説明できるはずです。経歴の欄だけ解像度が高く、仕事内容の欄へ進んだ途端に輪郭がぼやけるようでは、依頼した側も働く側も困ります。
「審査を知っている」という経歴は、審査に必要な説明を正確に整えるために生かされるべきです。何を説明しなくても済むかを考えるための経歴ではありません。衛藤氏には、その経験をどのように使ってラストワンマイルの仕事に関わったのか、まずご自身の言葉と記録で示していただきたいと思います。
齊藤悟志氏を介した業務と報酬は、誰に説明されていたのですか
当組合が公開している調査・回答要求では、齊藤氏が、当時EY新日本に所属していた衛藤氏を、所属先へ明示しない形でラストワンマイルの業務に関与させたとの情報を取り上げています。対価についても、会社から衛藤氏へ直接支払うのではなく、齊藤氏が受け取った報酬等から分配していたことをうかがわせる情報があるとして、調査を求めています。
同じ公開記事では、監査・上場審査に関連する情報の取得や、その情報が渡辺誠氏側へ共有された可能性についても確認を求めています。いずれも、業務の実態と記録によって検証すべき事項として提起しているものです。
この問いに必要なのは、「知人同士で協力した」という関係の説明だけではありません。業務を依頼した者と費用を負担した者は誰か、齊藤氏は何を取りまとめ、衛藤氏は何を担当したのか、会社は実際の作業者と支払先を把握していたのか。その対応関係を示してください。
齊藤氏を経由した支払いであっても、業務の再委託や共同受任など、取引の形は具体的に確認する必要があります。経由したことだけで違法と決めるのではなく、契約上の役割、会社の承認、所属先への申告、実際の仕事が一致しているかを調べるということです。正式に説明されていたのであれば、その説明と承認を示すことができます。
衛藤氏が自ら監査を担当していたのか、監査業務とは別の支援をしたのか、どの情報へアクセスできたのかも重要です。異なる立場をまとめて「会計士だから問題ない」とすることも、「監査法人にいたから全て違法」とすることも、実態の説明にはなりません。
当組合が求めているのは、経歴を取り下げることではなく、仕事の説明を付け足すことです。会社の費用で行った仕事であるなら、その会社が担当者と報酬の根拠を説明できる状態にしてください。専門家が二人いることで会計が分かりやすくなるのであれば歓迎しますが、誰に支払ったのかが二倍分かりにくくなるのであれば、確認が必要です。
「トクリュウ」という言葉で問われるのは、肩書ではなく行為の実態です
「トクリュウ」は、匿名・流動型犯罪グループの略称です。警察庁の警察白書は、犯罪収益を吸い上げる中核部分が匿名化され、実行するメンバーが入れ替わりながら活動するなどの特徴を説明しています。単に複数の専門家が協力した、仕事の担当者が変わった、というだけの意味ではありません。
衛藤氏や齊藤氏について、警察がそのような犯罪グループへの関与を認定したとする資料を、本記事は示していません。今回の公開質問で確認するのは、両氏が共同で行った業務の内容と、所属先や会社への説明を欠いた関与、不適切な情報共有、実態と異なる説明への協力があったかという具体的な事項です。
犯罪グループへの関与を論じるなら、そもそも、どの犯罪行為があり、誰がその目的や内容を認識し、何を分担し、誰が利益を得たのかを確かめる必要があります。肩書の印象だけでその確認を省略することはできませんし、反対に、立派な肩書があることを理由に確認を不要とすることもできません。
そのため、当組合は両氏に、共同して行った業務と、その業務が適切に説明・承認されていたかを回答するよう求めます。「トクリュウではありません」という呼び名への反論だけでは、契約と報酬の質問への回答にはなりません。問われた事実を一つずつ確認し、違うのであれば、何がどう違うかを示していただきたいと思います。
上場企業の仕事であることや、専門家が関わったことを安心材料にするなら、その仕事の中身も同じように見える状態にする必要があります。顔写真と経歴はよく見えるのに、指示者、支払先、資料の出所だけが見えなくなる。そのような説明上の空白を、会社の看板で埋めないでください。
東証の経験を信用に使うなら、東証へ何を説明したかも確認してください
当組合は以前、渡辺氏の社外取締役としての扱いと、実際の業務執行との整合性を問いました。その記事では、上場審査で説明を求められた際、渡辺氏が市川康平氏と齊藤氏に、当初から非常勤取締役だったという説明を貫くよう指示したとの情報を取り上げています。
衛藤氏がこの個別の回答に関与したかどうかは、本人と会社へ確認すべき事項です。仮に上場準備の仕事をしていたのであれば、どの資料を作り、どの説明を確認し、どの判断には関与していなかったのかを区別してください。関わっていない仕事まで責任を負わせるためではなく、実際の担当範囲を特定するための質問です。
審査への回答を専門家が支援したのであれば、会社からどのような原資料と説明を受け、それをどう確かめたかが重要です。会社の説明をそのまま文章にしたのか、実際の職務や決裁と照合したのか、相違を発見した際に修正を求めたのか。その過程を確認することで、誰がどの判断をしたかが見えてきます。
また、東証の出向歴と、東証を代表して行う仕事とは別です。過去の在籍経験を専門能力の説明として用いることと、現在の個別取引について東証の承認や保証があるかのように説明することの間には、明確な違いがあります。後者のような説明を誰かが行ったのであれば、誰が、どの場面で、何を伝えたかを確認してください。
経歴の信用は、説明を丁寧にするために使っていただきたいと思います。「東証にいた人が関わっています」と紹介することができるなら、「その人が何を確認したのか」にも答えられるはずです。東証の看板は、個人が関わる仕事へ自由に押せる認証印ではありません。
中野爵喜氏は、組織犯罪対策部門へ何を相談したと説明していたのですか
別媒体「オカミのユニオン」の検察ユニオンは、中野爵喜氏が警察との相談関係を周囲へ語っていたという記事を掲載しています。同記事によれば、中野氏は、鹿児島県警の組織犯罪対策部門へ相談している、警察と密な関係を作っているという趣旨を繰り返し話していたとされています。
この記事が示しているのは、中野氏がそのように語ったという情報です。衛藤氏と齊藤氏の共同業務について相談したのか、別の問題について相談したのか、警察がどのような事実を把握したのかは、相談の内容を確認しなければ分かりません。ここは、中野氏の説明を聞いていた人や、相談の実態を把握する側に答えていただく部分です。
仮に相談の中で、ラストワンマイルの上場実務、齊藤氏や衛藤氏の役割、報酬又は情報の流れに触れていたのであれば、誰のどの行為について、どの資料を示して相談したのでしょうか。自分に対する被害を訴えたのか、他人の行為を通報したのか、事業上の関係を説明したのかによって、意味は大きく異なります。
本人が語る「相談した」という事実と、警察が何を聞き、何を確認し、何を回答したかは、同じ一文にまとめられません。さらに、その回答が周囲へどう説明されたかまで確認する必要があります。相談を受け付けたことを、事業や取引全体が認められたことへ言い換えていたのであれば、その言い換えをした人物の説明が問題になります。
警察に相談すること自体は、被害や不安を抱える人にとって必要な行動です。今回問うのは、相談先の名前が、別の取引相手を安心させたり、具体的な質問を遠ざけたりする材料として使われていなかったかという点です。相談窓口で話を聞いてもらったことと、事業全体の保証人を引き受けてもらったことは違います。
経産省への照会と、その後のエンジェル税制事件が残した問い
経済産業省への照会についても、同じく別媒体の検察ユニオンが、中野氏が投資前に制度を照会し、回答を記録して株主らへ示していたという情報を取り上げています。投資前にどのような確認が行われ、その内容を投資家がどう理解したかは、エンジェル税制をめぐる刑事事件でも検証を求められている論点です。
ラストワンマイル労働組合も、齊藤氏と中野氏が金本重徳氏に制度を説明し、投資先の紹介や出資の実務に関わったとする情報を取り上げてきました。誰が何を説明し、資金を出した側が何を知っていたのかは、説明者と投資家を分けて確認すべき事項です。
「事前に経産省へ相談したのに、後から脱税の問題として扱われる」という経緯があるなら、行政照会の記録を消さずに検証することが重要です。どの事実を前提に質問し、どの条件について回答を受け、実際にはどの取引を行ったのかを照合しなければ、説明を信じた人の認識も、説明した人の責任も正確に判断できません。
正確な取引内容を示して相談し、行政の回答に沿って行動していたのか。一般的な制度説明を、個別の資金移動まで保証した回答として紹介していたのか。照会後に取引条件が変わったのか。これらは、それぞれ違う事実関係です。「相談した」の一言を退けることも、その一言で検証を終えることも、どちらも資料を読まない対応です。
この点は、警察への相談についても変わりません。相談があったのであれば、その記録を具体的な事実の確認に使えばよいのです。相談した機関の名前だけを大きく印刷し、何を相談したかを小さくする必要はありません。大事なのは役所の看板の大きさではなく、相談用紙の中身です。
齊藤氏には、制度を説明する立場として、行政へ示した前提と投資家へ示した前提が一致していたかを説明していただきたいと思います。衛藤氏にも、関連する業務や情報共有に関わったのであれば、その範囲を明確にしていただきたいと思います。人物同士のつながりから関与を推定するのではなく、どの仕事に参加し、どの仕事には参加していなかったのかを記録で区切ることが必要です。
公認会計士の独立性は、勤務先に内緒で働くという意味ではありません
公認会計士の仕事について、制度は明確な方向を示しています。公認会計士法第1条は、次のように定めています。
公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。
日本公認会計士協会の独立性の解説でも、監査人には、公正不偏な態度に加え、特定の利害関係や、その疑いを招く外観を避けることが求められると説明しています。実際にどの規律が関係するかは、当時の職務、監査への関与、経済的関係を確かめて判断する必要があります。
その確認に必要なのが、今回尋ねている業務と報酬の実態です。所属先が把握すべき関係を把握していたか、必要な承認を得たか、情報へのアクセスと外部への提供をどう管理したか。その記録を示せば、適切な業務だった部分と、説明や是正が必要な部分を分けられます。
独立性とは、誰にも仕事を知らせずに独立して動くことではありません。身内との連携が緊密になるほど、外部からも役割と利害関係を確認できるようにする必要があります。専門家同士がよく知っていることは、会社側の承認担当者や監督機関まで全てを知っていることを意味しません。
アスエネに対しては、衛藤氏本人への照会を適切な窓口へ取り次ぐとともに、現在の職務や自社の情報管理に関係する事項があるかを、必要な範囲で確認するよう求めます。過去の他社業務を、そのまま現在の勤務先全体の行為として扱うことはできません。だからこそ、どこまでが本人の過去の仕事で、どこからが現在の会社に関係する事項なのかを明確にしていただきたいと思います。
現在の勤務先名を並べることが目的ではありません。上場や財務に関わる経歴を公開している本人に、その経歴と関係する具体的な業務について回答を求めています。勤務先が変わったことと、過去の仕事の説明が不要になることは別です。
衛藤和也氏・齊藤悟志氏と、関係会社への公開質問
ラストワンマイル労働組合は、次の事項について、確認できた事実と判断の根拠を区別した回答を求めます。関与していない事項がある場合には、どの部分に関与していないのかを具体的に示してください。機密情報や無関係な第三者の情報は適切に処理した上で、質問に対応する説明をお願いします。
衛藤和也氏・齊藤悟志氏への質問
- 両氏がラストワンマイルに関して共同で行った業務はありますか。ある場合、開始時期、依頼者、契約当事者、担当範囲、成果物、指示者及び報告先を示してください。
- 衛藤氏の関与について、当時の所属先であるEY新日本にどのような説明・申告を行いましたか。必要な承認や独立性の確認を受けた場合、その時期と対象範囲を説明してください。
- 衛藤氏への対価が、齊藤氏の受領した報酬等から分配された事実はありますか。ある場合、その期間、原資、支払理由、契約上の位置付け及び会社側の承認を示してください。
- 両氏の間、又はラストワンマイル・渡辺氏との間で、監査や上場審査に関係する情報を共有しましたか。公開情報、会社自身の資料、第三者の非公開情報を分け、取得元、提供権限、利用目的及び対価の有無を説明してください。
- 所属先への説明を欠いた業務受任、権限のない情報提供、又は事実と異なる審査回答の作成・提出に、両氏が共同で関わった事実はありますか。指摘を否定する場合も、契約、承認、成果物その他の確認できる事実に即して回答してください。
- 衛藤氏の東証グループへの出向歴が、ラストワンマイルや関係する取引の信用を説明するために使われたことを把握していますか。東証の承認・保証があるかのような説明があった場合、その内容と対応を明らかにしてください。
- 中野氏が組織犯罪対策部門へ相談していると語ったことについて、何を把握していますか。その相談に両氏の業務、ラストワンマイルの取引又は情報共有が含まれていた事実を知っていますか。知っている内容と推測を区別して回答してください。
- エンジェル税制に関する照会、投資家への説明、資料作成、紹介又は金銭授受について、それぞれ関与した事実はありますか。関与がある場合、行政へ示した条件と実際の取引が一致していたかを、何によって確認しましたか。
ラストワンマイル及び関係先への質問
- ラストワンマイルは、両氏の実際の業務、報酬及び情報共有を、取締役会、監査機関、会計監査人へどのように説明していましたか。当時の説明と今回把握した情報の整合性を、誰が確認しますか。
- EY新日本への確認が必要な事項について、会社側の資料と当時の申告・承認の有無を照合する予定はありますか。対象者の説明だけで確認を終えない体制を設けますか。
- アスエネは、本件のうち自社の職務、情報、資源又は利益相反管理に関係する事項の有無について、本人から確認しますか。自社に関係する範囲と、過去の他社業務に属する範囲を区別した対応を求めます。
- 調査の結果、上場審査時の説明や監査の前提、現在の情報管理に関する問題が確認された場合、どのような報告・相談・是正を行いますか。その判断者と確認手順を示してください。
会社の信用と従業員を守るため、記録による検証を求めます
ラストワンマイルが上場企業として健全に存続するためには、上場を支えた実務と現在の情報管理について、説明できる状態を保つ必要があります。外部の専門家や元役職員が関係するという理由だけで、会社が何を依頼し、何を受け取り、何を支払ったかが分からなくなっては困ります。
日本取引所自主規制法人の不祥事対応のプリンシプルも、疑義を把握した場合の事実関係・原因の解明、適切な調査体制、再発防止及び情報開示を重視しています。制度の名前を信用として使うのであれば、その制度が求める確認にも向き合っていただきたいと思います。
- 契約、報酬の支払い、業務指示、成果物、所属先への申告・承認、情報の取得・共有に関する記録を保全し、実際の仕事と説明の一致を確認してください。
- 両氏だけでなく、業務を依頼・承認し、情報を受領・利用した会社側の判断も検証してください。渡辺氏その他の関与が確認対象となる場合、本人から独立した判断経路を確保してください。
- 行政や警察への相談を対外的な信用の説明に用いた場合は、相談内容、回答、実際の行為、第三者へ伝えた内容を照合し、説明に相違があれば是正してください。
- 問題を報告した従業員や調査協力者への不利益取扱いを防ぎ、確認された事実と是正措置を、個人情報や正当な機密を保護しながら説明してください。
実務を担当した従業員や取引関係者は、自分が直接受けた指示と、後から聞いた説明を分けて整理してください。誰が作業を依頼し、どの資料を渡し、誰が完成物を確認したかという記録は、後から役割を正確に確認するための材料になります。肩書の大きい人物の説明に合わせて、自分の記憶を書き換える必要はありません。
別団体の「齊藤悟志」被害者の会も、担当業務や説明責任について検証可能な説明を求め、関係者からの情報を集約しています。関係する仕事や説明について疑問のある方は、契約、支払記録、実際の成果、説明を求めた経緯を整理し、適切な相談先へ伝えてください。
当組合の目的は、勤務先の看板を傷つけることではありません。会社の信用を誰がどう使い、従業員がどのような指示で働いてきたかを明らかにし、問題があれば是正することです。説明すべき人が説明することで、無関係な従業員や正当に仕事をした専門家まで、同じ疑問の中へ巻き込まれることを防げます。
経産省の次は組織犯罪対策課。「相談済み」の次の一行をお願いします
エンジェル税制では、経産省へ事前に照会したという経緯がありながら、その後、投資の実態が刑事事件で問われています。そこで必要なのは、相談の存在を消すことでも、相談したという一事で全てを決めることでもなく、相談の前提と実際の取引を照合することです。
今度は、中野氏が組織犯罪対策部門へ相談していたと語ったという情報があります。もし、その相談まで関係者の活動全体を保証する材料として使っていたのであれば、「経産省に相談したのに脱税の問題を問われ、今度は警察に相談したのに『トクリュウなのか』と問われる」という、相談実績ばかり立派な話になりかねません。これは犯罪集団への該当性が確認されたという話ではなく、相談した機関の名前だけでは、実際の行為についての質問を終わらせられないということです。
衛藤氏と齊藤氏には、そうした呼び名の応酬になる前に、何を共同で行い、何を所属先へ説明し、どの対価を受け取り、どの情報を誰へ渡したかを示していただきたいと思います。適切な仕事であったという説明は、東証の出向歴や警察の部署名を重ねるより、契約と承認と成果物を一組そろえる方が伝わります。
「相談しました」は、確認の出発点です。その次に、何を相談し、何と答えられ、その後どう行動したかを書いてください。行政機関を何か所回っても、説明責任のスタンプカードが満了して免責券に変わる制度はありません。衛藤和也氏、齊藤悟志氏、次に見せていただきたいのは相談先の看板ではなく、ご自身の仕事の中身です。
