【ラストワンマイル労働組合】「歩合は3か月に1回、賞与にまとめる」渡辺誠CEOの賃金コスト削減案

営業職にとって、歩合給は生活を支える賃金であると同時に、自らの成果に対する対価です。会社が定めた条件を達成すれば、いつ、いくら支払われるのかを明確にし、正確に支給する必要があります。

現ラストワンマイル在籍者から当組合に情報提供された株式会社ラストワンマイルの労務及び経理研修では、代表取締役会長兼CEOの渡辺誠氏が、毎月行われている歩合の計算を、事務負担を減らすため3か月ごと、又は半年ごとの賞与へまとめる案を示しています。

目次

毎月の歩合計算が面倒なら、3か月に1回

「労務が歩合を毎回計算しているなら、3か月に1回にするとか、帳簿に載せてまとめるとかして、毎回現場で集計する作業を省く」

歩合制度を新たに設計し、最初から四半期又は半期の業績賞与として定めることはあり得ます。しかし、既に毎月の売上や契約件数に応じて発生する賃金を、会社側の計算作業が面倒という理由だけで数か月後へ回すことは、別の問題です。

会社は事務作業を減らせますが、従業員は、その間、既に働いて獲得した対価を受け取れません。

賃金の支払時期は、経理部の都合だけで決められない

歩合が労働の対価として毎月発生する賃金に当たる場合、原則として毎月1回以上、定められた期日に全額を支払う必要があります。

名称を「賞与」に変えれば、既に発生した賃金が自動的に賞与へ変わるわけではありません。実際に何を条件として金額が確定し、いつ支払請求権が発生する制度なのかが重要です。

毎月確定していた歩合を、制度名だけ変更して3か月又は半年後へ回すのであれば、それは業務効率化ではなく、従業員の賃金を会社側が一時的に保有する仕組みになり得ます。

端数切捨ては、会社にとっての端数です

研修では、計算負担を減らすため、歩合の細かい端数を切り捨てる趣旨の案も語られています。

会社にとって数十円、数百円は端数でも、対象となる従業員が多く、毎月繰り返されれば総額は大きくなります。何より、従業員が条件を達成して得た金額である以上、会社の事務作業を減らすために一方的に消してよい金銭ではありません。

切捨てによって会社だけが利益を得る制度であれば、それは丸め処理ではなく、賃金の一部を支払わない制度ではないかが問われます。

従業員の生活は四半期決算ではありません

経営者は四半期、半期、年度という単位で業績を見ます。しかし、従業員の家賃、住宅ローン、食費、保育料、光熱費は毎月発生します。

毎月の成果に応じて支払われていた歩合を数か月後へ回すことは、単なる処理日の変更ではありません。従業員から会社へ、無利息で資金を貸し付けさせるのと同じ経済的効果を持ちます。

株式会社ラストワンマイルへの公開質問

  1. 毎月支払っていた歩合を3か月又は半年ごとの支給へ変更した制度はありますか。
  2. 変更対象となった従業員数、支給総額及び繰延期間を開示できますか。
  3. 変更前に、就業規則、賃金規程及び労働契約をどのように改定しましたか。
  4. 従業員又は労働者代表へ、変更理由と不利益の内容を説明しましたか。
  5. 歩合の端数を切り捨てる制度は導入されましたか。
  6. 切り捨てた金額の累計を算定していますか。
  7. 社会保険労務士又は弁護士から、賃金支払原則との整合性について意見を得ましたか。

給与計算を簡単にするために、給与を遅らせないでください

給与計算システムの導入、計算式の統一、締日の調整、自動集計によって、歩合計算を効率化することはできます。

しかし、最も簡単な方法として支払回数を減らし、端数を消し、従業員へ待たせることを選ぶのであれば、削減しているのは事務コストだけではありません。

従業員が受け取る金額と、受け取るまでの時間です。

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