【ラストワンマイル労働組合】「そんな情緒不安定な人はいない」渡辺誠CEOが人事部へ示した従業員観

人事部門の役割は、単に人を採用し、給与を計算することではありません。従業員が安心して働ける環境を整え、組織の課題を把握し、適切な採用、配置、教育、評価、相談対応を行うことです。

現ラストワンマイル在籍者から当組合に情報提供された株式会社ラストワンマイルの人事研修では、代表取締役会長兼CEOの渡辺誠氏が、従業員満足度調査、採用面接、採用後の責任について、上場企業の経営者として疑問を抱かせる発言を繰り返しています。

目次

従業員満足度が毎月変わるのは「情緒不安定」

人事担当者が、職場環境の根本的課題を把握し、長期的な改善へつなげるために従業員満足度調査を実施していると説明した場面です。

「毎月毎月、そんなに心変わりするのか。そんな情緒不安定な人はいないから」

毎月調査する必要性について議論すること自体は問題ありません。質問項目、集計負担、回答率、改善速度を踏まえ、四半期や半年ごとに変更する判断もあり得ます。

しかし、従業員の満足度が短期間で変動することを「情緒不安定」と表現することは、職場で起きる問題を従業員個人の感情のせいにする姿勢です。

上司の発言、業務量、人間関係、評価、異動、顧客対応、体調、家庭環境によって、働きやすさは日々変化します。頻繁に変化しているのであれば、「従業員がおかしい」のではなく、職場で何かが起きていないかを調べるべきです。

二次面接は不要、採用後に教育すればよい

「基本的に二次面接なんかいらない。全部、事後の教育でよい。採用する人がオーケーならよい」

採用手続を簡略化し、現場責任者へ権限を移すことには合理性があります。しかし、二次面接や人事確認をなくすのであれば、その代わりに、労働条件の整合性、採用差別の防止、本人確認、配属適性、給与水準、情報管理等を担保する別の仕組みが必要です。

研修では、その制度設計よりも、問題が起きた後に採用担当者へ責任を負わせることが強調されています。

採用された人が問題を起こしたら、面接官が全部責任

「その採用した人が問題を起こしたら、面接した人が責任を取らないといけない。全部です。だから気合を入れて面接しろということです」

採用担当者が、面接時に確認できる情報を見落とした場合、一定の評価責任を負うことはあります。しかし、入社後に別の人間が行った行為について、面接官へ「全部」の責任を負わせることは合理的でしょうか。

人は入社後の教育、上司、職場文化、業務量、評価制度によって行動が変化します。採用時点で将来の全行動を予言することはできません。

それでも面接官へ全責任を負わせれば、採用担当者は能力や可能性を見るのではなく、自分が処罰されない人だけを選ぶようになります。年齢、経歴、障害、病歴、家庭事情などを理由として、少しでもリスクがあると感じた応募者を排除する方向にも働きかねません。

「間違って採用しても、経営に支障がない」

一方で渡辺誠氏は、採用スピードを優先し、多少の採用ミスは会社経営に支障がないとして受け入れる趣旨も述べています。

経営側は採用ミスを許容する。しかし、採用された人が問題を起こせば、面接官が全部責任を取る。

この組合せでは、経営者が設計した採用制度の問題が、現場の面接官と採用された従業員へ転嫁されます。

株式会社ラストワンマイルへの公開質問

  1. 従業員満足度調査の結果を理由として、従業員を「情緒不安定」と評価した事例はありますか。
  2. 研修後、従業員満足度調査の頻度又は内容を縮小しましたか。
  3. 採用した従業員が問題を起こしたことを理由として、面接担当者の評価、給与又は役職を下げた事例はありますか。
  4. 二次面接又は人事確認を廃止した部署はありますか。
  5. 採用担当者へ「全部の責任」を負わせる根拠は、就業規則又は評価規程に記載されていますか。
  6. 人事部門は、渡辺誠氏の判断に異議を述べられる体制でしたか。

従業員は、経営者の失敗を押し付ける箱ではありません

従業員の満足度が下がれば「情緒不安定」。採用した人物が問題を起こせば「面接官が全部責任」。一方で、経営者が採用統制を緩めることは「経営に支障がない」。

この人事思想に欠けているのは、人間が組織の中で育ち、変化し、周囲から影響を受けるという当然の視点です。

人を採用した後の教育、配置、管理、職場環境を作る責任は、面接官一人ではなく、経営者と会社にあります。

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